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厨二病が恋をしたらどうなるか!愚かな貴様らに教えてくれよう!

作者: 夕日色の鳥

括弧内はとある方のツッコミです。

ラブコメなので気楽に読んでください。

「……ああ。今日も天照(あまてらす)が我を焼く。

 さあ、重き(まぶた)をこじ開けて、軋む我が躯体を持ち上げ……くっ! 痛む! 我が駆動関節が悲鳴をあげている!

 ……やはり昨夜の激戦の影響が未だ我が肉体を蝕むか」


「おーい。直樹。朝メシ出来てるぞ~。

 さっさと起きろ~」


 我の名前はブレイブ・アレクサンダー。直樹というのは今世に転生した際の仮の名だ。

 前世での我は自分のあまりにも強大な魔力で世界そのものを破壊してしまいかねないほどの存在だったため、世界を守るために自ら転生魔法を使って別次元のこの世界線に転生してきたのだ。(という設定だ)


「……ふっ。そうしたいのはやまやまなのだがな。

 我が魂の拡張領域に肉体が追い付かずに悲鳴をあげておる。今しばし待たれよ」


 この女は今世での我の母親だ。我に前世の記憶があることは言っていない。

 無力だった赤ん坊の我を育ててくれた恩があるからな。

 無下に扱うこともないだろう。


「あんた、また推しのMV見ながら踊ってたんだろ。一晩中踊ってれば、そりゃ筋肉痛にもなるよ」


「ふっ。もう少し魂が肉体に馴染んだら往こう」


「ったく。今日はあんたの好きな甘い玉子焼きもあるから早くしなよ」


「え! マジで! いくいく!」



 こうして、いつもの我の優雅な1日が始まるのだ。








「いってくるぞ」


「はい、いってらっしゃい」


 好物を大量に食し、我が魔力は十分に満たされた。

 起きたては我が(かいな)も存分に動かせなかったが、魔力でカバーすれば何てことはない。(ホントはけっこう我慢してる)


「うむ! 今日も良い天気だ!」


 天照に活力があれば我が魔力も漲る! (好物を食べて機嫌がいいだけ)


「おはよ~」


「むっ! 貴様は……」


 我の後ろに音もなく忍び寄れる者は1人しかいない。


「ひよりか」


「おはよう、直樹……あ、違う。ブレイブ・アレクサンダー(笑いを堪えてる)」


 そう。こいつは我の正体を知っている唯一の現世人類。

 今世での我の幼馴染みであり隣家の住人である一ノ瀬ひより(16)だ。

 うむ。今日も長くてサラサラな黒髪が美しい。

 黒目がちな大きな瞳でこちらを見据えるひよりは実は前世では我の婚約者であったのだが、残念ながらひよりに前世の記憶はなかった。(と思いたいと思っている)

 初めはわずかな期待を込めて我が素性を打ち明けたのだが、ひよりは当時を思い出すことはなく、されどその事実を拒絶せず受け入れようとしている。(幼馴染みの偉大な包容力)

 今は彼女が目覚めるのを待っている状態だ。(つまりは絶賛片思い中)


「今日はちゃんと起きれたんだね~。

 一緒に学校いこーよ♪」


 ふっ。ひよりのほんわかした雰囲気は前世で血で血を洗う激戦を繰り広げていた我にとって唯一の癒しだった。

 記憶はなくとも、今世でもそれは健在だな。(つまりベタぼれ)


「うむ。いいだろう。

 我について参れ!」


「ん~?」


「な、なんだ!?」


 なぜそんなに顔を近付ける!?

 や、やめろ! 我が心の臓が! 封印されし魔王が解き放たれてしまう!


「んんん~?」


 ま、まて! ち、ちかい!

 鼻が、鼻がちょんて! ちゅ、ちゅーしちゃうから~!!


「目の下にクマ~。

また夜ふかししてたでしょ~」


「……へ?」


 あ、こっち指差してむ~ってなってるひよりもかわいい。(素に戻ってる)


「もう。学校で居眠りしちゃっても知らないぞ~」


 指くるくるするでない! (ちょっと戻った)

 かわいすぎるから! (でもまた素に戻る)


「い、居眠りなどせぬわ!

 さ、さっさといくぞ!

 我についてこい!」


「はは~! (幼馴染みの偉大な包容力)」


 ……さすがはひより。かつての我の婚約者。

 我のツボは熟知しているということか。(たんにチョロいだけ)












「なぁなぁ直樹~」


「……なんだ、(あきら)


 昼食を終えると、前の席に座る明がこちらを向いて話しかけてきた。

 こいつは前世では我の小間使いだった男だが、こいつにも前世の記憶はない。(という設定だ)

 今世においても腐れ縁のようで、中学から高校に至るまですべて同じクラスという運命をたどっている。


「ひよりちゃんってかわいいよな~」


「んなっ!!」


「ほんわかしてて、やわらかそうで、優しくて、美人で。

 おまけに料理も上手なんだろ?

 めちゃくちゃ良い奥さんになりそうだよな~」


「ななななななっ!」


「あ~、あんな子が俺の奥さんになってくれたら人生楽しいんだろうなぁ~」


「なっ! なっ! んなななな、なぁにぃ~~~っ!!!」


 こ、こやつはいったい何を申しておるでござるか! (パニックでキャラを忘れる)

 ひ、ひよりはぼぼぼ、僕……わ、我の婚約者で、あ、前世での。だからそんなことはダメで、ダメで、えっと、ダメだぁ~~!! (必死)


「ふ~。ご飯食べたあとって眠くなるよね~」


「あ、ひよりちゃんおかえり~」


「ただいま~、明くん。直樹」


「お、お、お、お、おかえり(キャラ忘れてる)」


 ひ、ひより。我の机に突っ伏している場合ではないぞ!

 ええい! そんな上目遣いをするな! ……かわいいな。違う! それを明にも見せるでない! そんなことされたら明がさらにひよりに惚れてしまうではないか! ……いや、ホントかわいいな。


「ん~? 直樹どうしたの~?

直樹も眠くなった~?」


「おおぅ!」


 頭なでなでせんといてぇ~!! (キャラ崩壊)











「……はぁ」


 あかん。ほんまどないしよ。

 明がひよりのこと好きやってんて。

 奥さんにしたいんやって。

 え? 嫌なんやけど。(ちなみに関西人ではない)


 にゃーにゃー。


「……ふっ。おまえ、我を慰めているつもりか」


 ギルドからの依頼で収得物(お母さんに頼まれた買い物)を運んでいる途中に河川敷でたまたま見つけた野良猫。

 腹をすかせているようだったから果物を少しだけくれてやったのだが、どうやらこいつは前世で俺の使い魔だったオルフェノクという不死鳥だったようだ。

 我が禁断の果実を食したことで前世での記憶に目覚めたのだろう。

 我によく懐いておるわ。


 にゃーにゃー。


「……ふっ、よしよし。

 そうだな。我には前世での婚約者というアドバンテージがあるが、それにいつまでも甘えていてはいけないな。

 ひよりが記憶を取り戻せないならば、再び我の想いを伝えてやらねば。

 明などに、ひよりは渡さん!」











「ひ、ひ、ひ、ひ、ひより!」


「どーしたの? 直……ブレイブ」


 2人の時はちゃんと真名で呼んでくれるひより好き。(幼馴染みの偉大な包容力)


 翌日の放課後。

 我はひよりを学校の屋上に呼び出した。


「あ、の、え、と、えとえとえとえと」


「干支? 私は卯年だよ~」


 やった! 一緒だ! じゃなくて!


「……え~と……!」


 その時、不思議なことが起こった。(ライダー風に)


 我の前世での記憶が突然フラッシュバックしてきたのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『……どうしても、行ってしまうのですね』


『……ああ。このままでは我の魔力はこの世界を滅ぼすだろう。その前に我は転生する。

 おまえのいるこの世界を、我は滅ぼしたくはないのだ』


『……ブレイブ・アレクサンダー。私を置いて往くのですか?』


『……すまない。転生は我一人しか出来ぬのだ』


『……分かりました。でも、私は諦めません』


『……え?』


『私もいずれ魂の旅に出るでしょう。その時はまた、巡りめぐってブレイブの元へと現れましょう。

 必ず、またあなたを好きになりましょう。

 だから、その時はまた、私を婚約者にしてくださいますか?』


『……ああ、もちろんだ』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あの~、ブレイブさん?

 帰っておいで~(幼馴染みの偉大な優しさ)」


「……そうだったな」


「ふえ?」


「……ひより、好きだ」


「ふぇ!?」


「前世からずっと、今日(こんにち)に至るまで我はおまえのことが好きだ。

おまえのすべてが好きだ。

かわいくて優しくてちょっとドジなところも、すべてが愛おしい」


「ひゃ、ひゃ~///」


「だから頼む、我と付き合ってくれ!」


 し、鎮まれ! 我のハートビート!

 今だけはおとなしくしていてくれ! 封印されし魔王よ!


「お、お願いします~」


「へ?」


 ワット? 今この人なんて言いました? 魔王様? (オッケーだってよ)



「やれやれ、やっとうまくいったぜ~」


「あ、明!? み、見てたのかよ!」


 な、なぜだ! 明が帰ったことは確認していたはず! ま、まさか空間転移!?


「ごめんね~、明くん。

 変な役を頼んじゃって~」


「……え?」


 魔王様、ひよりさんはなんて? (ワシにもわからん)


「いーってことよ。いつまでも煮え切らないコイツのことは俺も見てらんなかったからさ。

 ひよりのラブラブ大作戦に協力したまでよ」


「もう! そんな名前つけてないよぉ!」


 ……もしかして、我はハメられたのか? (たぶんね)


「だ、だってぇ。

 直樹ってば、こんなに好きだよアピールしてるのに全然気付かないんだもん。私、もう我慢できなくって」


「……ほぇ?」


 我の魔力容量がアウトブレイク寸前なんですが、もう封印から出てきていいから魔王様助けて。(胃もたれするからヤダ)


「直樹のちょっとおバカなところも、ネコちゃんに優しいところも、全部大好きだよ~」


「……ぽ?」


 ムリぽ。理解不能ぽ。(頑張れ)


「……んもう」


 ちゅっ。


「……へ?」


「お~。やるね~」


 え? いま、ほっぺに、ちゅって。 え?


「大好きって言ってんの~。もう~」


「あ、待って!」


 顔隠しながら走ったら危ないでこざるよ~じゃなくて……えーと、


「ほら。早く追いかけろ!」


「あ、明」


(いってこい)


「ひ、ひより、待って!」


 ブレイブ、いっきま~す!! 

(そしてキャラはブレていくのだった)





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― 新着の感想 ―
[良い点] 中2全開! だけどちゃんと言えた! エライ! ヽ(〃´∀`〃)ノ
[良い点] 現世で結ばれて良かったですね☆彡 当時だったら痛いと思いますが、今大人になって俯瞰してみると可愛らしいなと思えます( *´艸`)
[一言] なるほど。 中二病という属性は、キャラを壊して楽しむものだったのですね。 さすがにござるは笑いました( ´∀` ) 勢いで告白するところとか、逆にキスされて慌てるところとか、最後はほっこり…
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