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あとがきはこれからも何時も通り。
私のヤバさを存じ上げている方向け。
平安貴族のような柔和な顔。雰囲気だって最初に会ったときと同じように品がある。線のような糸目が印象的。でも.......それに反して剃刀で切り落としたようなざんばら髪が異質だった。
「有難う御座います」
ビニールな中身を覗くと、袋いっぱいに柿が詰まっていた。私は頂いた柿を受け取りながら頭を下げる。次に顔を上げると菩薩の如き微笑み。全ての罪を許すような柔らかなものだった。数十年しか生きていないが、勘が告げる。この人は決して悪い人ではないと。
「それではまた」
優雅な足取りで崇島さんはその場を去った。その姿はまるで上流階級の貴族のようだった。
彼が去った後をぼんやりと眺めてた後、玄関を閉じようとした時だった。コツンと何かが引っかかった。拾い上げて見ると、それは扇子。どうやら柿を頂いた際に、誤って落としてしまったようだ。私は玄関を後にし、隣の洋館を訪れた。
隣の大きな洋館。時代と言う名のニスが何重にもなり、重厚な雰囲気を醸す。崇島さんはまだ庭に何も植えていないようで、大きな庭には植物一つ見えない。ただ玄関へと続く石の道があるだけ。
黙ってインターホンを押す。彼が顔を見せるまで、そう時間は掛からなかった。
「あの落し物です」
「おや、探していたのです。有難う御座います」
そう言って柔らかく微笑んだ後、急に真顔になり、そっと私の肩に触れた。傷付いた小動物にするような繊細な手つき。不覚にもドキリとする。赤くなる私の顔を見て、彼は黙って頷いた。
「失礼致しました。虫が着いておりましたので。もう大丈夫」
こんな綺麗な人にニコニコされて、好きにならない子がいるのだろうか...................?
※私は凄くチョロいので、秒で堕ちます。