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数分後、コップに一杯の水と、一粒の錠剤を手渡した。静かに口にする。まだ飲んだばかり、だから直ぐに効き目が出ることはない。
「疲れちゃったのかな.......」
「何もしてないよ.......。でも耳鳴りが酷くて.......」
母が心配そうに、顔を見る覗き込んでいる。気を使って私の体に毛布を掛け、部屋の照明を橙に変えてくれる。頭痛を起こした時に何時もやってくれる、母の愛。今日はそれに感謝して、眠りについた。
昔から..............そうだった。一人でいる時、皆といる時、関わらず頭の奥で金属が鳴っているかのように、耳鳴りが止まない。だから人と会話をする時苦労した。顔を顰め、頭を抑えると、皆怪訝な顔をする。心配も沢山された。
でも、でもこれ以上この「体質」に皆を付き合わせる訳には行かない。何時までも不機嫌な私に、合わせる必要など何処にもない。気が付くと、周りから距離を置くようになっていた。
多くの友達とつるむこと無く、日々耳鳴りに耐えながら、過ごす日々。何件か病院を巡ったが、検査結果は全て正常。もう諦めて一生の付き合いとしていく事にした。僅かな希望は時に人を絶望に叩き落とす。期待するのは..............もう辞めよう。
人に気を使い過ぎて距離を置いている子です。
でも根っこは明るいので、頭痛がなければグイグイ来ます。