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人類の敵になってとお願いされたが

注意:導入兼説明的文章です。

その日、わたしは若くして息を引き取ったはずだった。

詳細は割愛させていただくが、死因は指定難病だったと思う。自分が病床にて意識を失う前のことしか覚えていないが、おそらくはそうであろう。


しかし、気づけば四方全てが白い空間にいた。自分の体を見てみると、病床に伏せていた頃と同様に貧相な体ではあるものの、点滴の管は刺さっておらず針の跡もない綺麗な腕がそこにはあった。


混乱しつつ部屋の中をみれば、そこには一台のデスクトップパソコンとキーボード、マウスが机の上にあった。画面にはメッセージアプリらしきものが立ち上がっており、そこには


X:「おはようございます。本日はお願いがありましてあなたをお呼びしました。」


とのメッセージがあった。


「なんだこれ、夢か??」


しかし自分は死んだはず。意識が失われる際のあの喪失感は生々しく記憶に焼き付いており、到底夢とは思えない。正直言って現在発狂していないのが不思議なくらいだ。

死の間際の走馬灯だとしても生前こんな経験をしたことは一度もない。


思案していると、重ねて


X:「混乱するのは当然ですが、とりあえず私の説明をお聞きください」


と表示された。


X:「まずあなたはあなたの記憶の通り、病気を原因に死亡しました。


X:「そして現在のあなたは次の輪廻転生を待つ魂だけの状態にあります。


X:「通常であればその個人の生前の行いに鑑みて次の輪廻転生先が植物から人間まで決定されることになるのですが、ここで一つお願いがありまして。


X:「あなたの魂のコピーをあなたのいた世界とは並行して存在する別の世界にダンジョンマスターとして送りたいのです。


X:「その理由としては、その別世界の特殊性にあります。


X:「その世界では、人類の敵として魔物が存在します。

通常の野生生物との違いとして、魔物はいわゆる魔素によって強化されています。また、通常の個体は知性はなく、魔物同士に食物連鎖の関係もなく、すべて人間のみを襲うよう設定されています。


X:「また、魔素が存在する影響から、魔物のみならず人類も魔法を使うことができます。


X:「魔物は基本的にダンジョンから発生します。設定次第ではありますが、ダンジョンの中にある魔物は食事・排泄を必要とせず、生殖により増えることもありません。他方で、ダンジョンから外に出た魔物は通常の生物同様に食事等を必要とするようになります。


X:「ダンジョンの最奥にはダンジョンの核、およびダンジョンの核を操作して魔物を生み出すダンジョンマスターが存在します。


X:「あなたのコピーにはこのダンジョンマスターの役割を担っていただきたいのです。


X:「とりあえず説明は以上となります。

質問がありましたらお手元のキーボードから質問事項を入力してお聞きください。」


なるほど。わからん。


とりあえず質問してみるか。


「なぜ私に?」


X:「あなたを選んだ理由は、あなたが若くして死亡したこと、および一定程度の知識・教養をそなえていることからです。老化した魂ではコピーによる劣化が著しく、言い方は悪いですが実用に向かないからです。」


「あなたは誰?神様?」


X:「私は先ほど述べた別世界の管理システムの管理者、Xといいます。魔物及びダンジョンに関するシステムを管理していますが、人類を直接管理はしていませんし、崇拝の対象でもありません。」


「魂のコピーとは何をするのか?」


X:「魂のコピーとは、あなたの魂に刻まれた知識・記憶を複製し、別世界に用意した疑似生命の魂として用いることです。魂のコピーによって、コピー元となるあなたの魂には悪影響は一切ありません。

コピーされた魂は、アイデンティティの崩壊を防ぐために自らがコピーであることの認識を欠くこと以外は、現在のあなたと同一の知識・記憶を有します。

ただ、申し訳ないのですが魂のコピー後あなたは通常の輪廻転生の輪に戻ることとなり、その際に記憶がリセットされてしまうことから、これをあなたに証明することはできません。」


じゃあ承諾する際には最悪自分自身が別世界に転移することを覚悟しなければならないわけか。


「コピー先が地球に移動することは可能か?」


X:「世界を跨いだ移動は不可能であり、仮に可能としても魂のバランスを崩す危険な行為であることから禁止されています。」


「魂のコピー先に生じうるメリット・デメリットは?」


X:「メリットとしましては、先述の疑似生命において長く活動していただくために、半永久的に不老となり、食事を必要とせず、病気にならず、また欠損を含む怪我も最長で1か月以内に回復することが可能になります。ただし不死にはなりませんし、生きるのが厭になったら自殺することもできます。」


誰がするか。死ぬなんて恐ろしい経験は二度とごめんだ。


X:「デメリットとしましては、ダンジョンの核が破壊されるとあなたも死亡してしまいます。また、定期的に死亡した人類の死体・魔素をダンジョンに吸収させないとダンジョンの核がエネルギー不足から休眠状態に入り、あなたも気絶してしまいます。ダンジョンが長期間休眠状態にあるとあなたの肉体はやがて朽ちてしまうでしょう。逆に定期的に人類の死体・魔素を吸収させ続ければ半永久的に不老を維持できます。」


「具体的にどのくらいの期間が経過するとダンジョンが休眠状態になるのか?」


X:「ダンジョンの規模にもよりますが、1階層につき小部屋が3つほど存在する3階層からなる初期のダンジョンであれば何もしなくても1年程度で休眠状態に陥ります。ダンジョンの規模を大きくすることによって維持にかかるエネルギーも増大します。また魔物の生産・罠の整備によっても微量ではありますがエネルギーを消費します。残存エネルギーが20パーセントを下回ると核から警告が飛びます。」


「ダンジョンの中に人類が住む町を作ってそこからエネルギーを徴収することは可能か?」


X:「不可能とは言いません。しかし人類の生体からとれるエネルギーはごくごく微々たるものでしかありません。また寿命により自然死した人類の死体からとれるエネルギーも微量にとどまります。ですので例えば住宅街のみをダンジョン内に作ったとしても維持費のほうが大きく赤字となってしまいます。」


「人類がダンジョン内に侵入して来なかったらどうしたらいいか?」


X:「ダンジョン内の魔物に指示をしてダンジョンの外の人里へと攻撃させ死体を運搬させることができます。その際魔物がダンジョンから出ることができるのはダンジョンの入り口に限られず、入り口から半径5km以内であればどこでも出口を作ることができます。」


なるほど。本格的に人類の敵にならなければ生きられないと。

・・・通常であれば人殺しは避けてしかるべきなんだが、わたしにも生きることへの未練がある。そもそも人類の天敵たる魔物が存在する事を前提として世界が回っているのだからわたし個人がどうこう言えた話でもない。地球でだって世界のどこかで人は簡単に死んでしまうし紛争は無くならなかったし。

それに悪人を選んで殺すことができれば、精神的苦痛もそれほどないかもしれない。


「具体的にどの程度人類を殺す必要があるのか?魔物や人類以外の野生動物ではだめなのか?」


X:「上記の初期ダンジョンの場合、ダンジョンを維持するためには最低1週間に1人のペースで一般レベルの人類を殺す必要があります。魔物は倒してもエネルギーは吸収できません。また野生動物からのエネルギー吸収効率は著しく悪く、お勧めできません。なお対象人物が大量の魔素を蓄えている場合、その分当該人物は物理的または魔法的に強化された状態となり殺害は困難となりますが、1人の殺害により得られるエネルギー量は増加します。」


「ダンジョン自体の移転は可能か?」


X:「不可能です。ただし余剰のエネルギーと資材を用いてダンジョンの核を作成することができます。その核を任意の場所で用いることで第二・第三のダンジョンを作成できます」


事前に質問すべきこととしてはこんなものか。


さて、ではこのお願いに応じるべきか・・・




悩んだ末、わたしは応じることにした。




次回は未定です

ただ物語は動くはずです

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