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初めて佐藤くんに会ったのは、大学1年の春だった。

まだ入学して間もない頃。

強引なサークルの勧誘にあっていた私を助けてくれたんだ。


「うちは遊ぶだけのサークルだし〜。」

「絶対たのしいって〜。」

同じ大学とは思えないほど、チャラい男。

趣味の悪いアクセサリーに、やたらアシンメトリーな髪型。

「結構です。私、興味がないから。」

そう言って、何度も逃げようとするのに腕を放してくれない。

「なんで〜。い〜じゃん。」


「あ〜!!あんな所でドラマの撮影してるー!!」


えっ。


チャラ男も、周囲にいた人も声のした方を振り返った。

私の腕も解放された。


「走って。」

小声で誰かが言う。

手を握られひっぱられた。

サラリとした手の感触。

大きな手が私の手を包み込む。


感触は悪くない。


気がつけば一緒に走っていた。

長い腕にひっぱられて。



大学の門をくぐり抜け走る。

彼はどこに行くのだろうか。


急に彼は立ち止まった。

「大丈夫?」

その時、やっと彼の顔が見れた。

いっぱい走った後なのに、笑顔だった。


風が吹く。

薄いピンクの花びら。


「あっ。」


見上げると満開の桜。

はらはらと、風にさらわれて行く。


無邪気な笑顔だった。


その時、きっと私は恋をしたんだ。

嘘みたいに綺麗なシチュエーションの中で。


佐藤くんの事が好きだ。


でも、一緒にはいられない。

妊娠した子供が佐藤くんの子供で良かった。

桜の思い出だけで、私には十分だ。


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