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『大丈夫〜?のんちゃ〜ん。あたし気にしないから教えてよ〜。』

『2組の田村さん知ってる〜?あの子のね…』

『え〜。そうなの〜?こわ〜い』

『あの子もそうなんじゃないの〜』

『やだ〜。』

『きも〜い。』

『彼氏もビビってんじゃないの〜?』

『一緒だよ〜。だって…』



私は違う。関係無い。

嫌…。嫌だ。

こんなの、私。

もう、どうすればいいの。

わたし…何も…してない…よ…。

ようちゃん…何で…。


「!!」


目覚めは最悪だった。

動悸が激しくて…。

手のひらで顔を覆う。

指先に触れた水。

涙なのか汗なのか、知りたくもない。


悪夢。


もういいかげん逃れられたと思ったのに。

悪夢は定期的にやってきて私を苦しめる。


「ようちゃん…。」


彼女の名前は切なすぎる。

陽子。太陽の陽。

彼女はもう、完全に翳ってしまった。


涙が頬をつたう。


私はただ、静かに泣いていた。


涙は止めどなく頬をつたっていく。


彼女の白過ぎる肌。

やせ過ぎた体。

錠剤の散らばった部屋。


あの日から私はひとりになった。

たったひとり。

今もずっと。


でも。

最初からひとりだったのかもしれない。


彼女は私に何も言わなかった。

何ひとつ残さなかった。


それだけが事実。


涙はまだ止まらない。


今日はもうどこにも行けない。

いなくなった彼女に囚われてしまったから。


ねぇ、佐藤くん。

佐藤くんと会わなくなって、まだ数日しかたっていないよね。

佐藤くんと一緒にいる時は、悪夢は見なかったのに。

弱ってしまったのは、妊娠したせいかしら?


少しだけ会いたいと思うのは、私のわがままだよね…。




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