11
一瞬何を言われたのかわからなかった。
知り合って間もない人に、何故ここまで見透かされてしまうのかも。
…もしかして知っている??
そんなハズはない。
私は逃げるように県外の大学を受験し、ここに来た。
地元には大学がそこそこの数あり、県外に出る人は少ない。
まして、遠方の三流大学なんて…。
「のんちゃん。僕はまだ何も言ってないよ。」
「え…。」
「僕は反対も賛成もしてないよ。ただ、のんちゃんが誰にも相談しないで一人で抱えていそうだったから。」
小西さんが優しく頭をなでてくれた。
「話を聞いてあげたいって思ったんだよ。」
「何で…。」
「他人だから。」
「他人だから?」
「僕も今までいろんな事があったんだよ。ほら。小さくて狭いこの店だって僕がいないと、どうにもなんないし。毎日がんばり続けないと、簡単につぶれてしまう。意外と悩みが多いんだよ。」
「…うん。」
「どうしようもなく悩んでる時って、慰めてもらっても聞けないでしょ?素直に。それに知り合いに弱い所は見せられない。他人はいいよ〜。無責任に好き勝手言うし。」
「…。」
「でもね。そのうち楽になるよ。きっかけは何かわからないけど。悩んでるのが急にバカらしく思えてきたりね。」
ポンポンって軽く頭をタッチして、小西さんの手が離れた。
「頑固な子だね〜。のんちゃんは。」
「…なっ。なにそれ?私は頑固でも、子供でもありません!」
「ははっ。」
それから気持ちのほぐれた私は、レモネードをおかわりした。
小西さんとたくさんの話をしながら。