表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/30

10

目の前には大きめのグラス。

中には、入れるだけ入れられたクラッシュアイス。

小西さんが、小鍋からグラスに注ぐ。

氷がカランと良い音をたてた。

レモンの香り。

甘いレモネード。


「仕事しなくていいんですか?」

「…なんで?」

「私、絶対じゃましてると思うし。あんまり真剣に聞かれてもなんか嫌だし。」

「お嬢さんは注文が多いなぁ〜。じゃあしっかり聞いてないふりして仕事しようかな。」


小西さんは、奥のテーブルに重ねられた黒板を持ってきた。

黒板消しでキレイに消して、新しいメニューを書き出した。

白いチョークがカツカツと鳴った。


「私ね、妊娠してるけど別に困ってないんです。大学も単位とってあるから、卒業できるし。お金もね、貯金とかあるし親の援助もあるんです。私ひとりっこだから親が甘くて。」

一気に話した。

「それに…。調べたんです。シングルマザーやっていくために必要な事とか。もらえる手当てとか色々。」


小西さんは黒板にメニューを書いている。


「私はひとりっこだったから、ひとりになれてるし。ひとりっこだったからひとりっこの気持ちもわかるし。」


白いチョークでカツカツと。


「子供には親が必要だし、親は子供を見捨てないでしょ。友達も恋人もすぐに縁を切れるけど、親子の縁は切れないでしょ。だから私は絶対に子供を大事に育てられるの。」


小西さんの手が止まった。


「のんちゃん。何をそんなに怖がっているの?」


小西さんの声は穏やかだった。


怖がっている?私が??


…わからない。


怖がるというのは、怖い思いをしたからなのだろうか…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ