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肥料

 ロリコン世界樹を捨てるとシアが泣く。

 その事実に直面してしまった俺達は、ロリコン世界樹を持て余していた。


「魔王、どうする?このロリコン」


「ここはやはり無限木材にしてはどうですかな?」


『キ、キサマラニ利用サレルホドオチテハオラヌワ!』


 どうせなら無限木材にしようという魔王の考えは正しいと思う。それ以外にロリコン世界樹に価値を見出せないし。


 だが、肝心のロリコン世界樹は乗り気ではない。


『ダガ、ドウシテモトイウナラ……聖国ニオキザリニシテキタ我ガハーレムヲココニ呼ビダスノダナ』


「無理やり埋めたらいけるんじゃね?」


「そうですな。ではお任せを」


『マ、マテ!』


 魔王はその手に持っていたロリコン世界樹を、地面に叩きつけるようにして無理やり埋め込んだ。


 ぶっ飛んだ思考をしているので忘れがちだが、魔王は基本的に温厚な性格だ。その魔王が死に体のロリコン世界樹を雑に扱うということは……魔王もロリコン世界樹が嫌いなんだろうな。


『キサマ!ナニヲスル!シアニイイツケルゾ!』


 無理やり埋め込まれたにも関わらず、しぶとく生きているロリコン世界樹。魔王の舌打ちは聞かなかったことにしよう。


「まぁ、落ち着け魔王よ。気持ちはわかるが道場を建てるには木材が必要であろう?」


「ッ! そう、ですな……我が無限木材にしようと言い出したにも関わらず申し訳ありませぬ」


 気持ちはわかる。

 道場建設のため、無限木材を欲していた魔王からみても、このロリコンはイラっとくるのだろう。

 

「仲良くしてる?」


 俺達の様子を眺めていたシアが話しかけてくる。


「あ、ああ!もちろんだ。 なぁ、魔王!ロリコン!」


「はっ! シアよ、心配には及ばんぞ」


 魔王はシアに話しかけながらしゃがみ込み、小声でロリコン世界樹に何やら話しかけている。


 おそらく脅しているんだろうなぁ。

 良い仕事だ、魔王よ。


『シ、シアヨ、心配スルナ』


「そう?わかった」


 俺達二人はシアの涙は見たくない。

 だが、ロリコン世界樹は嫌いだ。

 どうにか……どうにか、シアにを泣かせる事なくロリコン世界樹に嫌がらせができないものか。


「というか、さっさと成長しろよ。お前の価値はそれだけだろ」


「そうですな。ほれ、世界樹。さっさと成長せよ」


『キサマラ木ヲナンダトオモッテイル。 ソンナニ成長シテホシクバ肥料ヲヨコセ。 我ガ肥料ハ、幼女達ノ笑顔ゾ!サッサト用意セヨ』


 肥料という言葉。

 その言葉で俺はある嫌がらせを思いついた。


「仕方あるまい。待っていろロリコン、今から肥料を用意してくる」


「し、師匠……こやつは甘やかせばつけあがるタイプの木ですぞ」


 魔王は反対なようだ。

 俺もロリコン世界樹の為に幼女を用意してやる気なんて欠片も無い。

 だが、肥料は用意してやろう。

 くくっ、ああ、肥料をな。


『オマエハハナシガワカルデハナイカ!ヨイヨイ、連レテマイレ』


「ああ、楽しみにしていろ。魔王よ、手伝ってくれ」


「……はっ!」


 ロリコン世界樹をひと睨みした後、ついてきた魔王に俺の考えを打ち明けた。

 非常に良い笑顔で頷いた魔王と共にドラゴン達の元へ向かう。




###




「いやぁ、ドラゴン達の糞が世界樹様の肥料になるとは思いもしませんでした」


「くくっ、これぞ神の知恵よ」


「くくくっ、これからはドラゴン達の糞は世界樹に投げ捨てるのがよかろう」


 ドラゴン達の世話をしていたエルフと共にドラゴンの糞を運ぶ。臭い……だが、それが良い。

 

 すぐさま投げ捨てたい衝動を抑えて、小走りでロリコン世界樹の元へ向かう。


『ナ、ナナナ!キサマラナニヲスルキダ!?』


「拙者は農業には詳しくないが……糞が肥料になると何処かで聞いた覚えがあるのだ。ぷぷっ、多分神界で」


「くくくっ、我も魔界で聞いたような気がしますぞ」


 俺達は今最高に悪い顔をしているのだろう。

 共に運んだエルフが少し訝しんでいるようだ、さっさと行動に移すか。


「くらえ!ロリコン!これが俺達特性の肥––––––」


 俺が糞が入った桶を振りかぶったその時、


「きゃぁあああ!!」


 吹き飛ばされてきたステラが桶に直撃した。

 余波で魔王とエルフが持っていた桶もひっくり返っている。


「おえええ、臭え!やべえ、死ぬ」


「おろろろろろ」


「な、なんですかこれは!?ふ、糞!? もぅやだぁ、魔界に帰るぅ……」


 俺、魔王、ステラがドラゴンの糞まみれになってしまった。

 ロリコン世界樹とエルフは無事なようだ……何故だ。


「す、すまねぇ主ぃ。うぜぇから吹き飛ばしたら当たっち……臭え!?」


 犯人のトカゲがウンコまみれの俺達を見ながら鼻をつまむ。


「だ、大丈夫!?うっ、なにこれ」


 心配して近寄ってきたシアが引き攣った表情で俺達を見ている。


『シアヨ、悪行ハ己ニ帰ッテクルノダ。 アノ無様ナ姿ヲ反面教師ニセヨ』


 ロリコン世界樹がいつもとは違う真剣な声色でシアに話しかけている。


 何も言い返せないな……

 ウンコは投げちゃダメ、ゼッタイ。

 




 

復活!

腰痛は舐めちゃいかん、死ぬぞ!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 復活おめでとうございます! 腰痛はあかん 本当にあかんのや
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