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超変態最低師匠

 俺はカイとオトコが帰ってきてから、弟子達全員と幼女二人、ついでに超変態外道を集めた。


「そいつ、女」


 俺が指差したオトコが動揺している。


「ち、違うもん!」


「んで、公国の第四王女」


「ち、ちがっ」


「勇者に追われていて、バレたらやばいから、男って事にしといて」


 何故、知り合ったばかりの他人の為に、変態の汚名を被っているのだ。馬鹿らしい。

 弟子を信じ、全て打ち明ければ言いのだ。

 裏切るメリットも無いのに、誰も裏切ろうとは思わないだろうし。


 顔を真っ青にして、見つめ合っているカイとオトコ。


「し、師匠…… マジなのか?」


「うん。 神様嘘吐かない」


「そうか……」


 落ち込んだ様子のカイの顔をオトコが覗き込む。


「カイ……ごめんね? 嫌いになった?」


「……別に」


 酷く落ち込んでるな。

 同世代の男友達ができて喜んでいたのに、それが女だったと知れば、落ち込むのも無理はないか。


「カブトムシが好きなのは本当だよ? また一緒にメガカブト見にいこうよ!」


「ッ! 本当か!?」


 食い気味にオトコに迫るカイ。

 オトコは顔を真っ赤にしている。


「う、うんっ」


「じゃあ許す! 俺たちこれからも友達だな!」


 カブトムシは偉大だな……

 いつだってカイを笑顔にする。


「そして……ルナよ」


「なんです?」


 俺は笑みを浮かべる。自分でもニチャっとした嫌な笑顔なのがわかる。


「断じてオ○ニーの為ではない」


「……?」


「お前に下着を借りにいったのはオトコの為だ! そもそも俺がいつオ○ニーする為と言った!」


「う、うぅ……で、でも!」


 そもそも、ルナはオトコが女だと気づいていたはずだ。それなのに自身の変態的思考に飲まれ、俺に冤罪を被せた。


「ふっ、まさか我が弟子が変態的思考を持ったお漏らし女だったとはな……」


「違うです! 変態は師匠です!」


「くくく……まだ言うか? 皆の衆!どちらが変態だと思う? そうかそうか、ルナだよなぁ!!」


 俺は皆の衆の返事を待たずに、ルナだと断定した。

 非常に楽しくなってきた。ノリノリである。


「でも、私の部屋からブラを持っていったわよね……」


「ち、ちがっ」


「シードちゃんのパンツも!」


「シアのも!」


 幼女二人は何故同調しているんだ!?

 クレナのブラを持って来たのはお前だろうが!!


 まずい展開だ。最強の味方である魔王がいなければ、俺はここまで無力なのか……


 今にも泣き出しそうだったルナが、満面の笑みを浮かべ、俺に近づいてくる。


「いけない師匠です。 可愛い弟子の下着が欲しいだけなのに、それを正当化する為に嘘まで吐くなんて…… 最低ですよ?」


「ち、違う! クレナのはシードちゃん達が……」


「次は巫女様達のせいにするですか? 最低です、超変態最低師匠です!」


「だから、違うんだ! 俺は無実だ」


「傷ついたですぅ…… 師匠を思って、毎日パンツを届けていたのに変態扱いなんて酷いですぅ」


 ルナは手で目を覆って、わざとらしく泣き声をあげた。


「師匠、最低よ! ルナは本気で師匠の事を思っていただけなのに!」


 怒りを露わにして、俺に詰め寄るクレナ。

 ルナはべーっと舌を出して、楽しそうにしている。


 やべぇ、このままじゃ負ける。

 俺に味方は……味方はいないのか!?


 味方を探し、幼女達に目をやると……すでに興味が無さそうだ。


 ならば、エルフ達!頼む、味方でいてくれ!

 

 俺の願いが届いたのか、族長が一歩前に出た。


「師匠、お望みとあらば、エルフ一同覚悟は出来ております」


「……え?」


「脱ぐ準備は出来ております! なぁ、みんな!?」


「「「はいっ!」」」


 男にまでパンツを供給されるなんて、地獄かな?

 俺は馬鹿なエルフ達を諦め、最後の希望に目をやった。


「あまりにも、見境いが無くて、流石の私もドン引きです」


 超変態外道に真顔で引かれてしまった。


「う、うぅ……」


 理不尽だ。俺何も悪いことしてないのに。

 早く魔王とトカゲ帰ってきてぇ……


「こっちを見なさい!師匠!」


「は、はいっ!」


 クレナのあまりの迫力に驚いた俺は、素直に返事をしていまった。


「変わった趣味を持っているのは、悪いことではないわ」


「……え?」


 何言ってんだ、こいつ。

 弟子の下着集めは悪いことではないのか?


「私もこの年で、ぬいぐるみを集めて、それに名前を付けるなんて変わってるってよく言われる…… でも、私は堂々としているわ!だって、好きなんだもの!」


「おお、確かに好きなものを好きって言わねぇなんて、クソみたいな人生だよな! 俺も受付嬢に無視されてもカブトムシを自慢し続けているぜ!」


 カイまで参戦して来た。

 もう、意味がわからない。


「師匠、好きなものに素直になりましょう? 師匠と私は似てる。 だから、言い訳している師匠を見るのが辛いわ! 堂々としてよ!」


「そうだぜ、師匠! 好きってのは理屈じゃねぇ! そうだろ!?」


 畳み掛けるように、意味不明な言葉を口にする弟子達が怖い。


 俺は元凶であるルナを見る。


「ぷっ……ざまぁ」


 凄く良い笑顔のルナがそこにいた。

 

 ……いつか、絶対泣かす。

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