表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/72

当然の様に素振りを始めた

 食事を終えしばらくすると、変態の父であるシグさんが弟子二人を抱え、ボロボロになって帰ってきた。


「申し訳ありませぬ…… クロエ嬢とコッコ殿の戦闘を私では止めることが出来ず、お連れすることが出来ませんでした」


 止めるためにボロボロになるまで頑張ってくれたのかな……?

 うちの馬鹿達が本当にすみません。


「ほぅ。 コッコは本気を出せば、我とも対等に渡り合えるというのに」


「クロエ嬢を殺さぬ程度に加減するのを苦労している印象ですな。手を抜いた甘い攻撃ではクロエ嬢を抑えることができず手を焼いておりました」


 クロエは何を目指しているのだろうか。

 何故、自分よりも強い相手を煽りに煽って実戦訓練を積んでいるのだ。


 スリルでも楽しんでいるのか?

 弱気なクロエは何処へいった……


「うちの弟子がすみません」


「いえいえ、滅相もない。 お連れすることが出来ず申し訳ありません」


 そう言って、頭を下げたシグさん。


「喧嘩してる馬鹿はどうでもいいのですが、そいつら大丈夫そうです?」


 俺はシグさんに抱えられ、ぐったりしているクレナとカイを指さす。


「魔力酔いで倒れているだけですから大丈夫かと。 起きた時に頭がガンガン痛むとは思いますが…… 次第に慣れていくと思われます」


 二日酔いに似た症状かな?

 後遺症も無さそうだし、別に良いか。


 ジグさんが酔っ払い二人を医務室に運ぶと言い残し、部屋を後にした。


「そういえば、ステラは何処にいったんだろうな」


「さぁ…… それなりに力を込めて投げましたからなぁ」


 ステラの事など、どうでも良さげな魔王。

 魔王はステラを落ち着ける為に魔界に帰って来たことを忘れてないか?


 あの超変態がどうなろうと興味がないし、別に良いのだが。


「それよりも師匠。 剣士は魔法をどのように対処するのです?」


「…ふむ」


「この前の休日に、クロエと共にデーモンの軍勢を討伐しに行ったのですが、魔法に苦戦してしまいました…… 我も魔法を使えば余裕なのですが、剣士としてそれは違うと思い」


 剣士は魔法を使っちゃいけないルールが存在したのか。

 剣神様と呼ばれている俺は知らなかったな。


「どうか、ご教授くだされ」


 そんな事言われてもな。


 剣士なんだから、とりあえず斬れば良いんじゃないか?


「何を難しく考えている。 魔法など斬れ、それだけだ」


「な、なんと……」


「魔王よ、お主は難しく考えすぎだ。 とにかく斬れ。 それで大抵いける」


 人智を超えた素振りができる魔王なら、この世に斬れない物なんて無いさ。


「師匠! 魔法を斬るところみたいです!」


 そう言って、俺に期待の眼差しを向けるルナ。


 俺も見てみたいなぁ。

 だが、俺にはできない。何故ならば、


「拙者の剣は今幼女になっているので無理」


「他の剣でやれば良いです」


「他の、だと!? 貴様は拙者に浮気しろと言うのか!? シードちゃんと出会ったその日から、我が剣は生涯シードちゃんのみ。 他の剣を握る気は一切ない」


 剣が幼女な剣神って何なのだろう。

 まぁ、いいか。俺、詐欺師だし。


「パパぁ……好きっ」


 そう言って、俺の手をぎゅっと握ったシードちゃん。可愛い。


「じゃあ、巫女様が剣になれば良いです!」


「ルナよ。 巫女様は辛い過去の経験によって剣として生きることをやめたのだ。 強要はよくない」


「その通りだな魔王。 幼女に魔法を斬るから剣になれって強要するとか酷いよね」


「おっしゃる通りですな」


 ふはは。魔王はいつだって俺のイエスマンである。


「パパも魔王も好き! ルナは嫌い」


 そして、シードちゃんは吸魔オ○ニー狂いのルナを嫌っている。


「魔界に来てから扱いが酷いですぅ」


 このメンバーでルナに勝ち目は無い。

 詐欺師無双である。


 正攻法では無理と判断したのか、俺に貢がせるときのように甘い声でおねだりするルナ。


「魔法を斬る師匠のカッコいいところがみたいですぅ」


「パパに近寄るな、お漏らしルナ」


 そう言ってルナに触れるシードちゃん。


「んっ! 巫女様の攻撃なんて効かないです! 気持ち良いだけです!」


 ルナにダメージを与えすぎないように、一瞬触れては離す吸魔では変態が喜ぶだけのようだ。


「パパ、こいつ怖い」


「そうだな、俺もだ」


 怖がっているシードちゃんを抱え、変態から逃げる。


 しばらく鬼ごっこをしていると、魔王が真剣な表情で近づいてきた。


 そして……シードちゃんに触る。

 ルナの様に一瞬ではなく、がっつり触った。


「んんっ!! なるほど、これは良い鍛錬になる。 ルナの気持ちもわかりますなぁ」


「鍛錬……?」


 ルナはオ○ニーしてるだけだぞ。


「吸魔をされながらの素振り……いやぁ、素晴らしいですなぁ」


 そう言って、剣を抜いた魔王。

 まさか今から素振りする気か?

 魔王の素振り中毒が悪化している気がする。


「ふんっ! ふんっ!」


 当然の様に素振りを始めた魔王。


「さぁ巫女様! 背中を触って吸魔してくだされ!」


「パパ、こいつも怖い」

 

 大丈夫、俺もだ。

 厳ついおっさんの喘ぎ声とか勘弁してほしい。




総合評価が666!!ゾロ目Σ('◉⌓◉’)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ