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幼女詐欺師

 ゲートの完成を待つ日々は本当に碌なことが無い。

 地獄への扉のはずなのに早く完成してくれと考えているぐらいだ。


 悪女達には搾り取られるし、カブトムシ狂いはカブトムシに求愛しだすし。


 冒険者ギルドのギルドマスターから頭のおかしい受付嬢が暴れていると何故か俺にクレームがきたりする。


 俺が何をしたって言うんだ……

 クレームは本人に直接お願いします。



 やっぱり人間は駄目だな。

 俺の癒しは剣……シードちゃんだけな訳よ。


 そう思って、シードちゃんを膝に座らせ会話を楽しんでいたのだ。

 だが、しばらくするとシードちゃんは俺のそばを離れ何処かへ行ってしまった。


 トイレか?とも思ったが、シードちゃんは幼女な剣である。多分トイレはしない。


 気になった俺は、シードちゃんを探しに行ったのだが、


「ルナが中抜きが一番儲かるって言ってたんだよぅ……」


「ふぅん」


 トカゲを問い詰めるシードちゃんの姿を発見してしまった。


「な、なぁ……主にバレたら怒るのかぁ?」


「パパはほどほどの悪事なら怒らない。 むしろやれと言う」


 言わないよ!?

 特にシードちゃんには純粋なまま成長してほしいと願っているのに。


「でも、トカゲはやりすぎた」


「だ、だって……領主が王家にも紹介してあげてほしいって言って来たんだ! オイラは悪くねぇ!」


 領主、王家、紹介、中抜き。

 やばいぞ、トカゲは何に手を出してるんだ?


「いくら貰ったの?」


「オイラは悪くない!」


「言い方を変える。 いくらぼったの?」


 幼女にぼったくりは指摘されているトカゲ。

 本当にトカゲは何をやらかしたんだ?


「あいつら喜んでたから良いだろ!」


「じゃあなんでパパにバラされたくないの?」


「そ、それは……」


「自分でもやりすぎたと思ってる。そうでしょ?」


 トカゲが目を泳がせている。

 シードちゃんは一歩前に出てトカゲを至近距離で睨めつけた。


「いくら貰ったか言え。 パパにバラされたくないなら」


「…………金貨五万枚ぐらい……」


 やべぇ……ドラゴンのぼったくりはスケールがデカすぎる。

 というか、トカゲは何に手を染めたんだ?まさか人身売買とかしてないよな?


「ふぅん。 ドラゴンを騙して連れてきて、人間に渡して紹介料を取る……控えめに言ってゴミだね。 死ねば良いのに」


「う、うぅ。 言いすぎだぞぅ」


 辛辣な言葉を吐く幼女と、それを聞いて落ち込むトカゲ。


 今俺は何を見せられているんだ。


 何故、トカゲはドラゴン売りに手を染めたのだろうか。

 自分のウンコの価値を知らないのか?飯食ってウンコするだけでいくらでも儲かるのに。


「言いすぎ? 同族を売っているのに?」


「だ、だって、主が……」


「パパが?」


 は?俺はドラゴン売りの指示なんかしてないぞ?


「ウンコしろって迫ってくるんだよ! 自分のウンコが売られるなんて、オイラ恥ずかしいよぅ」


「…………そぅ……」


「金さえあればウンコしろって言わなくなるかなって思ったんだよぅ」


 トカゲが悪事に手を染めたのは俺のせいだった。


「時計灯台の為じゃなかったの?」


「それは、最初に売ったドラゴンの金でほとんど足りたぞ! あいつは珍しいから強気の値段設定にしたからな!」


 何故か誇らしげに胸を張るトカゲ。

 その姿は立派な奴隷商人のようだ。


「そ、そぅ……」


「ちょっと足りなかった分はあいつの父親も売ったらお釣りが出たぐらいだ。 だから後から売ったのは、ウンコをしろって強要されないためなんだよぅ」


 つまり、一番の悪は俺だったのか……


「ま、まぁ、それは置いとく。 今はパパにバレない為には、どうすべきか考える」


「一緒に考えてくれるのかぁ?」


「うん。 トカゲは仲間だから」


 そう言って微笑んだシードちゃん。

 酷い手のひら返しだ……さっきは、ゴミだの死ねだの言ってたのに。


「うぅ…… ありがとうなぁ」


「大丈夫、私に考えがあるから」


「本当か!?」


 シードちゃんは笑顔でトカゲに話しかけている。だが、その笑顔が俺には裏があるように思えた。まるで、詐欺師がカモに向けるような……


「教えてくれ!」


「駄目」


「なんでだ!?」


「トカゲが知ったら意味がなくなるの。 わたしに任せて。 絶対に成功させてみせるから」


 シードちゃんは何をする気なんだ?

 非常に嫌な予感がするなぁ。


「う、うん。 オイラは何もしなくてもいいのかぁ?」


「トカゲはお金を用意してほしい。わたしの策を成功させる必要経費」


「いくらだ!?」


「金貨で一万枚。 この口座番号に振り込んで」


「わかったぞぅ! 銀行行ってくる!」


 そう言って口座番号を伝えたシードちゃん。

 トカゲは疑うこともせず、何処かへ行ってしまった。


 何故、剣とドラゴンが当たり前のように銀行口座を持っているのかはこの際どうでもいい。


 俺が、俺が心配なのは……


「ちょろい」


 順調に悪い子に育ってきているシードちゃんの将来だ。


 俺は詐欺師を辞めて真人間になり、シードちゃんが真っ当な剣になれるよう教育しないといけないのかもしれない。



【読者様へ】


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