表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛蹴球  作者: ひろほ
56/72

トレーニングマッチ

確かな手ごたえを感じたが、あくまでも龍の癖を知っていたからというのもある。

しかし、だ。

各プレイヤーの癖も弱点といえば弱点だろう。

相手を良く見る事が出来るようになった今、その癖もすぐに発見する事が出来るようになったはずだ。

あとは実践あるのみ。


「アンカーは磐田な」


トレーニングマッチの二本目、監督からスタメンが発表される。

良かった、外されなかったようだ。

試合に飢えている。

新しいおもちゃを買ってもらった子どものように、俺は早く試したかった。

不思議と、出来るかどうかの不安は一切感じない。

そんなワクワクした気持ちを胸に、試合開始のホイッスルを聞く。

相手は、船橋高校のサッカー部。

公立ながらも全国常連という、強豪校だ。

相手にとって不足は無い。

そして、俺のマッチアップは相手のエース、背番号は7番。

絶好の機会じゃないか。

さぁ、観察を始めよう。

背丈は俺と同じくらい、監督の話だと足が速いとの事。

とりあえず、見た目と事前情報はこんな程度だ。

動き出しを見ていると、急角度での方向転換を良くしている。

その為、ボールを呼び込むタイミングの前は、スピードを緩く走っていた。

全速力で急旋回なんて出来ないものな。

フェイントもそのタイミングでちょこっとかけるくらいか。

冷静にそういった予測のおかげで剥がされる事なく、ピッタリとマークが出来ている。

俺に背を向けて、ボールを受けると直ぐにボールを離してしまう。

一対一とか、直ぐには来ないだろうな、この分だと。


「っと、残念がっちゃいけないな」


攻められないのならば喜ばしい事でもあるし、今のパスの出し方、トラップの仕方を思い返す。

簡単なプレーであったが、ヒントはいくらでも転がっていた。

なんてことのないパスを、足元にトラップし、しっかりとインサイドでパスを出す。

あまりボールを動かしたくないタイプなのだろうか?

シチュエーションによるかもしれないが、トラップで文字通り罠を仕掛けてくる事はあるだろうか?

まだまだプレーは少ないから、断定するには早い。

いや……試合序盤だからこそ、しっかりとプレーしたい人間と、龍みたいに独創的な人間と分かれる気もする。

とにかく、意識には入れておきながら、データを取っていかないと。


「でもって、他も見ていないといかんのよな」


思ったより疲れるな、これ。

なんていうか、頭がパンクしそうだ。

選手を見る時と同じように、ボヤっと全体を見てみよう。

視界の端での選手の動きがチラチラと見える気がした。

目まぐるしく攻防は切り替わる。

龍にはピッタリとマークが張り付き、暇そうにしていた。


「あの野郎、本当に動かねぇな」


見えてしまったので愚痴る。

俺も攻めに回る事にしよう。

右サイドからボールを受け、顔を上げた。

あれ? 前ががら空きじゃんか!

スーッと、一直線にスペースが見える。

守備のミスか、それともそういう戦術なのか、素直にドリブルで突き進んだ。

簡単にハーフウェイラインまで運ぶ。

ようやく近寄ってきた敵をあざ笑うかのように、パスを出した。

狙いはサボり気味の龍。

特に難しい所を狙う訳でもなく、奴の足元へと送られたボールは音も無くピタッと止まる。

エンジンをかけるためにも、触らせた方が良いのだ。

ようやくボールを貰えた龍は、嬉々としてボールをいじり始める。


「犬かアイツは……」


飛び跳ねるかのようにボールを持ちながら、本当に楽しそうにボールを弄ぶと、ようやく前に進み始めた。

楽しそうで何よりだ。

とはいえ、そこまで遊んでいて、そのままゴール出来る程甘くはない。

囲まれ、挟まれ、潰されてしまった。

まぁ、これでモチベーションも上がった事だろう。


「そういえば……」


攻める弱点の見方って、どうしたらいいのだろうか……。

ぶっつけ本番かぁ……。

一対一で止める事ばかりで、それをすっかり忘れていた。

間抜けにも程がある。



ブックマーク、評価などありがとうございます。

とても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ