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正義の味方

作者: HAL model

仮面ライダーが大好きです。

永遠のヒーローですね!

あー寒い寒い。

コタツから出られないよね こう寒いと。


ミカンもあと2個しかないけど

面倒で段ボールに取りに行けない。


さっき投げたティッシュもゴミ箱 外れたし。


あー拾うの面倒くせえ。


TVも似たようなのばっかりで面白くねえな。





あ そうだ

更新のハガキ来てたんだった。

今年の誕生日までだったから 行かなくちゃ。


来週、天気良かったら行こう。


あー電話だ

誰からだよ ⋯⋯ なんだ田舎の母ちゃんか⋯⋯





あーもしもし



あーうんうん ミカンありがと


食べてるよ うん うん。


仕事?うん まあ ぼちぼちってとこ。 うん


なかなか 前みたいには行かないよ うんうん


どこもほら不景気だからさ。


うん


え?結婚?いやーーー


いやぁ⋯⋯

⋯⋯ この間 別れちゃったからさ。


うん うん ありがと


じゃあ 切るね うんうん。


ツーツー。



いやーーもう2年くらい仕事まわってこないし。



まぁ国家資格だから 仕事無くても

手当が出るんだけどさ

ここも公営住宅だし


30過ぎて

一日中 なんにもしないってのも ツライのよコレ



腹も出てきたなぁ⋯⋯

通販でやってた 腹筋マシン買ってみようかな


窓の外で何か音がしたから

コタツの中から 首をのばして見てみると


小学生の女の子が ウチの敷地に入って来てた。

近所の子のようだ。


遊んでたボールでも 取りに来たのかな。


窓越しに目が合った。

5ー6年生だろうか。


女の子は 怒ったような目で窓からこっちを見てる。


そのまま窓に はーー と息を吹きかけて 文字を書いた




「バカ」




ご丁寧にこっちから読めるように逆さまに。




なんだコレ


近所の小学生にバカにされる オッサンなのね俺。


そりゃそうだよな

2年も家でゴロゴロしてるんだ



ぐうの音も出ない。

俺は余程マヌケな顔をしていたのか、

その女の子が 吹き出して笑った。





次の日もその女の子は庭に来た。


今日の文字は


「クズ」



いやいや こんなの事案ですよ。


30代の不審な男が 小学生の女児に

クズと言われる事案が発生 ですよ。


書いた途端に女の子はケラケラ笑った。



大人をからかって楽しんでる

嫌なガキだ。


でも

昨日と同じコタツで小学生の下校時間に

ゴロゴロしてるんだから 返す言葉も無い。




次の日も 女の子は庭に来た。

両親が共働きとかなのかねぇ。


「クズ」




ぐはぁ また クズですか。

バカより破壊力あるなこれ。




いや こんなの 近所の人が通報したら

本当に事案だよ。普通に誘拐とか 言われるよな。



いやいや俺コタツに入ってるだけだって。

無実だって。




次の日も女の子は来た。


やめてーーー

もう絶対通報されるって。

来ないでー。


そんな俺の気持ちは御構い無しに

女の子また窓ガラスに文字を書いた。

今日の文字は



「ツマンナイ」








知らねえよ。

友達と遊べ 友達と。



「ニート」



いやーーよく知ってるねそんな言葉⋯⋯



いや有職者だよ俺!

たまたま仕事がまわってこなくて

自宅待機してるだけだって。



女の子は窓に文字を書こうとして

鍵が開いている事に気付いて

ガラッと窓を開けた。






うおおお



なんだこれ


どういう状況だこれ。


親はどんな教育してんだ。

知らないオッサンの家の窓開けるか?普通。



なんかジッと 睨んでる。



⋯⋯ 俺、めっちゃ睨まれてる。




「⋯⋯ あー 寒いから閉めて」


それだけ言った。






「働かないの?」


くそ。 聞いてねぇな。


「働いてるよ」



「ウソ、ずっと家にいるじゃん」



自宅ワークの人だっているでしょうに。

ああめんどくせえ。

ほっとけよ小学生。

自宅ワークじゃ無いけどさ。



「くさい」



うわ 傷つくわー。

小学生の女の子に 部屋がくさいって⋯⋯


いや、なら窓開けるなよ なんだこれなんなんだ。




「こうしんの おしらせ」



ああ ハガキか。


そーだよ オジサンは ちゃんとした社会人なの。

国家資格で働くシャカイジン。


わかんねぇよな。





次の日の文字は


「クズ ニート」


書いて

女の子は 悪そうな顔でニヤニヤ笑った。


ぐはぁ えぐってくるねぇ

子供は残酷だ。


つーか 友達と遊べよ。

友達居ないのかよ。


「あれ?コタツないじゃん」


昨夜から コタツは仕舞って筋トレを始めた。

そうだよ 今日の俺はコタツニートじゃないんだよ。

本気を出したらすごいんですよ俺は。

今まではやる気が出なかったんだけどさ。


「なにしてんの」


「しごとの準備」


「ふーん」


「なんのしごと」



「それ」

と俺は更新のお知らせハガキを指差した。


またも 女の子は何の躊躇もなく窓をガラっと開け

身を乗り出してハガキを取った。

しばらく 怖い顔でハガキを睨んでいたが



「すごい」

「ニートじゃないじゃん」


顔を上げて言った。



そうだよ 世界でも類を見ない程治安のいい今の日本だと仕事も なかなか無いんだよ。 長い長い自宅待機の

クズニートに見えたかもしれないけどさ。


国家資格で 昔は大活躍してたんだよ。

この資格持ってるの日本で五人だけだよ マジで。



俺は昨夜 荷物の中から引っ張り出してきたベルトを腰に巻いて構えた。


所々サビてたけど

昨夜充電もしておいたし

大丈夫だろう。


女の子は悪そうなニヤニヤ顔じゃなく

キラキラした目で俺を見つめてる。


睨んでた顔も可愛いかったけど

キラキラの視線もいいねこりゃ。



「変身!!」


昨夜 久々に発声練習したから結構大きい声が出た。



ベルトから ものすごい光と轟音が出て

光の中俺の体をバトルスーツが包んで行く。

音速で移動する能力も 常人の7倍の身体能力も

体の内側に湧き上がって来るのが分かる。

俺は変身した



正義の味方に。



どうだ 正義の味方国際A級有資格者のこの勇姿は!







女の子は言った




「デザイン最悪」


いや そこ?

感想そこかよ!



スガシカオさんの 正義の味方 を久々に聞いて

この世界観 書きたいなぁと 思って書きました。

気だるくてgdgdで 黄昏感満載のだらしないスーパーヒーロー。それと女の子の登場は 映画レオンの マチルダのイメージですね。

気だるくて クスっと笑ってしまう感覚を感じて頂けると嬉しいです。


読んで頂きありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 変身はお披露目して大丈夫?と思ってしまったW 小学生とガッツリ絡むのかと思いきやいい距離感。 生活臭のある、かったるい空気も好き。 お気に入りの短編。 次回作も期待しています!
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