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第6話

朝5時 ―起床―


日課であるランニングをして近所の公園まで行く、そして昔教わった型を一通り熟して

終わったらまたランニングしながら家に帰る。

休みに入ったからって習慣は変えられないな、やらないと落ち着かない。


さて今日の朝飯は…だし巻き卵とおひたし、ご飯に味噌汁でいいか

後は掃除と洗濯も済ませて、宿題もやらないと。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



背伸びして凝り固まった肩をほぐすと、バキバキと音が鳴る。


ふぅ…

さすがに疲れたが、これで宿題は粗方終わったな。

去年は早めに終わらせてもやること無くて、毎日少しずつやってたんだが

今回はゲームもあるし、実家に帰る予定もあるからなぁ…


んー・・・

戸締まりは大丈夫だし、洗濯物は風呂場に干したから大丈夫。

中断して作るの面倒だから、お昼の用意としてカレーを作っておいたし

ご飯も予約設定してあるから大丈夫っと。

よし、パソコンを見てみるか…


もう全員が待機してるようで、チャットが賑わっている。

そんなに楽しみかと苦笑してしまう

時間は…10分前か、挨拶のチャットを飛ばしておこう。


「おはようさん。もう待機してるのか」

『朔夜くんおはよう。楽しみでついね』

『お兄ちゃんおはよう!そりゃ楽しみだもん!』

『さーくんおはよう~』

『朔夜君おはようございます』

『朔兄おはよ!ワクワクが止まんねーぜ!』


元気だなぁ


「俺も人のこと言えないけどな。家事は一通り終わらせたし」

『さすがお兄ちゃんだね!そういえばどこで集まろうか?』

『そうね~最初はどこも混みそうよね~』

『最初の噴水広場から、そのまま左側の教会方面にある石像の前でどうでしょう?』

『あそこなら結構目立つしな!』


開始地点って街の門の前とかじゃなくて噴水広場なのか…


「分かった。あと俺顔出してるから、名前はシェイドな」

『教会の石像前ね。私も顔出してるよ、名前はセレーネ』

『お兄ちゃんとみー姉顔出しするんだ!私はアリアだよ!』

『すぐに人気出そうね~。私はシャルよ~』

『変なのに絡まれたらすぐに言うんですよ。僕はティユルです』

『オレらが追い払うぜ!オレはヴォルフな!』

「頼もしいよ。その時は頼む」

『私もお願いね』


そろそろ時間か…

向こうで会うことを約束してチャット画面を切る。

冷房よし、ブランケットよし、電気は豆電球で…よし。



「スタート」



意識が飲まれる感覚の後に、プライベートエリアである和室にいた。

EWOのロゴが描かれたカルタを手に取り起動させる

すると襖に流れて行き、襖に文字が浮かび上がった。


《Evolving World Onlineサービス開始》


おっと始まってたか、襖の前に着くと同時に襖が左右に開いてゆく。



一歩踏み出せば、目の前が眩しくて思わず目を閉じた。

聞こえてくる喧騒、肌に感じる熱気

眩しさが和らいだのを感じて、目を開けるとそこには


澄んだ青空の広がる、どこか中世のヨーロッパを思い起こさせる町並みがあった。


ここまでなのか…これは異世界と言ってもいいんじゃないか…?


思わず見惚れていると

ふと自分の周りに 赤 青 黄 緑 の光…を纏った何かが飛び回ってるのに気づいた。

何となく手を差し出してみると、上に乗ってきた。

髪と目が光と同じ色で揃いの髪型の可愛らしい子たちだ。


大きく手を振って、全身で喜びという感情を伝えようとしてくる

思わず顔がほころんだ。


ん…?

何か急に静かになったな、さっきまでの喧騒はどこいったんだ?


見回してみると…俺と同じ初心者らしき人たちや熟練の戦士風の人達も

何故か呆けた顔で俺を見ていた。


なんだろう…まぁいいや、考えても分からん。

邪魔になりそうだし早くどかないとな


えーと確か左側に教会…あの一際大きくて十字架がある建物だろうな。

そっちに向かえば石像もあるだろうし、行くとするか。

この子たちはどうしよう……言葉通じるかな?


「…一緒に来るか?」


声をかけたら小人たちは嬉しそうに俺の顔の近くに来て、頬の当たりに擦り寄ってきた。

何だこの子たち、可愛いなおい


《いく~♪》

《いっしょいく~♪》

《わーい、いっしょ♪》

《いっしょ、いっしょ~♪》


ふと耳に聞こえてきた幼子の声、目の前の子たちから聞こえてきた…?

じっと見てたらウィンドウが表示された


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

火の小精霊 Lv.1

適正:火属性

契約:未


水の小精霊 Lv.1

適正:水属性

契約:未


風の小精霊 Lv.1

適正:風属性

契約:未


土の小精霊 Lv.1

適正:土属性

契約:未

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なるほど精霊だったのか、そういや俺エルフだったな。

よく見ると街のあちこちに淡い光が視える…が寄ってくる訳じゃない。

何か条件があるのかね?

まぁついてくるみたいだし、移動しますか。


俺が歩き出してしばらくすると背後が光り、周りがどよめいた。

何事かと振り向くとそこには


緩く波打ちながら輝く腰までのプラチナブロンドに

優しげな翠の垂れ目をした美少女がいた


ってあれ美月じゃないか…?

不安そうに周りを見回してる。

あ、目があった…手を振って見るか

途端に嬉しそうな笑みを浮かべ、こっちに走り寄ってきた。


来るのは良いけどあれ転けないか…?

って思うのと同時に転けそうになる美月と、びっくりした顔をする周り


咄嗟に手を掴んで引き寄せて、抱きとめる。

はぁ…びっくりした……


ん?『ハラスメント警告』?

通報するかどうか…いいえで。

こういうのもあるのか…あとで兄さんに聞こう…


抱き寄せてた手を離して見てみると、真っ赤になってる美月…いやセレーネがいた。


「ちゃんと足元見ような。セレーネ?」

「ご、ごめんね、ありがとうシェイドくん」

「君付けは良いよ。言いづらいだろ」

「う、うん、分かった。あれ?ハラスメント…?」

「あぁ、そっちも出たか。とりあえずいいえで良いと思う」

「分かった」


そんなやり取りをしていたら

俺の肩に乗ってた精霊たちがセレーネの周りを飛び回り始めた。


「この光は…?」

「あぁ、この子らは精霊だよ」

「へぇ…精霊って光なんだ」

「俺には小人に見えるんだけど…」

「え、そうなの?」

「あぁ、会話もできてる」

「何か条件があるのかな?」

「かもな」


精霊たちが心配そうな顔でセレーネを見ていた


《だいじょぶー?》

《じょぶ~?》

《いたくないー?》

《ない~?》


「心配してるみたいだぞ」

「そうなの?ふふ、私は大丈夫だよ」


セレーネが微笑みながら告げると、安心したように笑顔になり

くるくる飛び回る精霊たち。

癒されるなぁ


「じゃあ行くか。結構待たせてそうだし」

「あ、そうだね。急がなきゃ」

「走ったらまた転ぶぞ」

「あぅ…ゆっくり歩いてく…」


言ったら真っ赤になって俯いた。

思わず笑いが漏れてしまう


「くくくっ…」

「むぅ…」

「悪い悪い」


拗ねたようにこっちを見るが、さらに笑いがこみ上げてくる

やっぱ俺性格悪いよな。

周りが俺たちを見て騒いでるけど、関わってこないなら無視でいいだろ。


しばらく談笑しつつ精霊に構いながら歩いてると、丁度石像の周りに人垣が出来ていた。


待ち合わせあそこ…だよな?

セレーネを見ても同じことを思ってるみたいだ。

少し耳をすませて話を聞いてみると


(なんでここにあの人たちがいるんだ!?)

(俺が知るかよ!)

(誰か待ってるんじゃないのか?)

(あの四天王を待たせるなんてどんなヤツなんだ…)

(すげー、めっちゃキラキラしてる…)

(やっぱ美形だわー…)

(目の保養ありがたやー)

(ちくわ大明神)

((((((誰だ今の))))))


うん、良く分からん。

特に最後の。


まぁ行ってみればわかるだろ

セレーネに頷いて一緒に歩き始める。

すると人垣がこちらに気づいて道を開けてくれた

何だこれ、モーゼか?


その奥の石像の前には、とても見覚えのある風貌の人たちがいた

向こうもこっちに気づいて手を振っている。


お話はスローペースです。

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