第18話
大変お待たせしました。
急ぎ足で書いたので、誤字脱字があるかもしれません。
改めて考えると今の状態ってかなり変だよな。
人で溢れかえる噴水広場のベンチに座ってる俺
足元や隣には恍惚の表情の動物たちが横たわり
正面には正座したままの金髪青目のイケメン(中身はお察し)
周りには暖かい目で見てくる人垣
うん、なんだこれ。
(おお…土下座状態で会話続けてる)
(かなり親しげだよな)
(それもだけど、動物たちがやばい)
(すっごいメロメロになってる)
(羨ましい…)
(どっちが?)
(言わせるなよ///)
((((…))))
(その目止めて!?)
…なんか聞こえるが、変なやつは置いといて。
「ブレイブもテスターだろ?二つ名ないのか?」
「おう!【勇者】ってついてるぜ!」
「…残念勇者か」
「残念って言わないで!?」
こいつ見た目は確かに勇者っぽいんだよな…
だから一目惚れして、中身を知って去る女性が多いんだが。
「でも勇者の称号も中々良い効果あるし!」
ん?二つ名って称号になるのか?
聞いてみると運営公認になると称号化するそうだ。
「あ、称号ってのは効果のある物で…」
「あるから知ってる」
「あぁ、そういえば精霊関係だっけ?掲示板にあったやつ」
「それもある」
「…も?」
こっちをガン見しながら聞いてくるブレイブ
「他にもいくつか」
「…ちなみにいくつある?」
「4つ…さっき増えたから5つか」
驚いてるブレイブが言うには
称号は中々手に入りにくい物で、様々な行動でやっと手に入るらしい。
気づくとついてるんだけどな、と呟くと
それを聞いて項垂れるブレイブ。
長引きそうだからさっきの確認するか
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『テクニシャン』
多数の動物をメロメロにした者に与えられる称号
〔DEX+10、作成物の性能小アップ〕
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ふむ…小手先が器用ってことで性能アップ…かな?
中々良い効果だ、相変わらず名称があれだけど
「サラッと無視しないで!?」
あ、復活した
撫でてた動物たちを置いて立ち上がる。
「それよりフレンド登録しないか?」
「あ!」
こいつ忘れてたな…
登録のための握手をして
ついでにそのまま腕を引っ張って立ち上がらせる。
さすがに占領しすぎたしな。
「あ、足が痺れ…」
「そりゃ長時間正座してればそうなる」
生まれたての子鹿のように足をぷるぷるさせるブレイブ
周囲はその様子を見て笑いを堪えているようだ。
中には虚空に向かってタイピングしてるのもいるが…
多少復活したブレイブに声をかける
「今から街中見るけど、くるか?」
「おう!」
まだちょっとふらついてるが…まぁ大丈夫だろう。
振り返ってニクスに声をかける
「ニクス、行くぞ」
「きゅうっ」
鳴き声と共に飛びかかってきたので抱きとめる。
他の動物たちは残念そうだが…
するとウィンドウが開いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
庭を動物たちに開放できます。
開放した場合敵意のない動物や魔物たちが訪れます。
庭を開放しますか?
はい/いいえ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…ふむ、敵意がないなら問題は…ないな。
動物たちを見ると期待の籠もった目で見てくる
思わず苦笑してしまう。
「遊びに来るのは良いけど、飼い主を悲しませないようにな」
それぞれが返事らしき鳴き声を上げる
それを見てから承諾した。
「ん?どうしたんだ?」
「あぁ、ホームの庭を動物たちに開放したんだ」
「そんなことまで出来るのか!」
「みたいだな」
念の為アリアたちにメールで伝えておくか。
フレンドリストから出来るんだったか…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
宛先:アリア
件名:庭について
内容:ついさっき庭を開放したから、動物や魔物とかが来ると思う。
ただ敵意の無い相手しか来ないから攻撃しないように。
姉さんたちにも伝えといてくれ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まぁこんなもんでいいだろ
っともう了承の返事きたか、早いな。
そしてブレイブがニクスをじーっと見てるが…
「なぁシェイド、その兎がテイムした兎か?」
「あぁ、名前はニクスだ」
「きゅっきゅうっ」
ニクスが挨拶の鳴き声を上げる
それを見て和む周囲。
「ちょっと触っていいか?」
そわそわするブレイブだが…
ニクスはそれを聞いてそそくさと俺の肩に登り
そのまま髪に隠れようとする。
真っ黒な俺の髪じゃ、逆に目立つだけだが…
「無理そうだな。諦めろ」
「ちくしょう…」
がっくりと項垂れるブレイブに思わず憐れみの目を向けてしまう。
こいつ妙に動物に逃げられるんだよな…
「とりあえず移動するか」
「おう…」
力なく歩くブレイブを連れて街を歩く
周りの人も何人か付いてきてるけど…まぁ邪魔しないなら良いか。
夜だから普通の雑貨店などは閉まっているようだが
その分他の店が賑わっている。
例えば武器・防具屋、夜の内に修理をする人が多いからだろうか?
そしていい匂いを漂わせる屋台に…酒場か。
歩いているうちにブレイブは復活したようだ
さっきから目を輝かせて、周りをキョロキョロしている。
耳元でニクスが頻りに匂いを嗅いでいるようだ
フスフスしてるのが聞こえる。
「ニクス、肉は食えるか?」
「きゅうっ」
大丈夫そうだな
丁度スタミナゲージが微妙に減っているし、何か買うか。
それなりに繁盛してる屋台の一つにブレイブと向かう
気のいい兄貴っぽい店主は忙しそうに串焼きを量産している。
「一本頼む」
「こっちも一本!」
「あいよ!一本20Gだ…よ…」
返事を返しながらこっちを見た店主の言葉がしりすぼみになってゆく
俺の顔を見てそのまま固まったが…
「…焦げるぞ」
「お、おう!」
慌てて串焼きに注意を向けた。
話しかけるタイミングが悪かったか?
「お待ち!熱いから気をつけてな!」
「あぁ、ありがとう」
「おう!うまそうだ!」
串焼きをそのまま受け取りながら、お金を払う。
このゲームではお金も念じるだけで手元に出てくるので楽だ。
プレイヤー間での売買ではシステムの取引窓をよく用いられるが
そっちであれば詐欺や、持ち逃げの心配もないとか。
逆に住人相手だと手払いが基本のようだ。
店から少し離れてから鑑定
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ホーンラビットの串焼き』
塩で味付けされたシンプルな串焼き。
満腹度+5%
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うん、そのまんまだな。
一口サイズの肉が4つ刺さってるし、ニクスと半分にすれば丁度いいか
と思いながら一つを食べる。
「うん、うまいな」
「だな!」
塩だけだが、焼き加減が絶妙だ
肉が硬くならず、しっかりと肉汁もある。
二つ目を食べてからニクスを胸元に呼んで、腕で支える。
さすがに熱すぎるか…
息を吹きかけて少し冷ましてから、横向きにしてニクスに差し出す。
串の先端が少し尖ってるが、これなら大丈夫だろう
ニクスも嬉しそうに食べている。
「これ共食いに…ナンデモナイデス!ハイ!」
ブレイブがアホなことを言い出したので睨みつけたら静かになった
そもそも種族は違うから問題ない…はずだ。
「一気に大繁盛だな!」
「そうだな」
ニクスが美味そうに食べるからか、店には人が殺到していた
店主は若干引き攣った笑みを浮かべていたが…必死に手を動かしていた。
これが嬉しい悲鳴というやつだろうか?
その後も2つの屋台で串焼きを買ったが、最初の店以外は外れだった。
値段は一緒だが焼きすぎで肉が硬くなっていたり、パサパサしていたりと
正直うまいとは言えなかった。
ブレイブもニクスも明らかにテンションが下がっている。
ちなみに両方共ブレイブが選んだ店だ、運がないというか…
「そんな目を向けないで!?」
おっと、目に出てたようだ。
「あ、ちょっと待ってくれ!連絡入った!」
「わかった」
PTチャットで喋ってるようで口パクしている
声が出てないのがシュールだな。
俺のときもこうなってたのか…
「悪い、ちょっと呼び出された…」
申し訳無さそうな顔で告げてくるが、PTを組んでるなら仕方ない。
「気にするな、そのうちメンバーの紹介でもしてくれ」
「おう!またな!」
そのまま駆け出したブレイブを見送る。
「それじゃあ…もう少し街を見て回るか、ニクス」
「きゅうっ」
ニクスの元気な返事を聞いてから、歩き始めた。
相変わらず付いてくる人もいるが…
そのうち飽きるだろう。
仕事で忙しいのに地震に洪水災害に断水で時間が取れませんでした。
皆様もお気をつけて…




