第13話
活動報告でもお伝えしましたが、第8話に少々加筆しました。
次回は掲示板予定です。
もしゃもしゃと俺が手に持ってる林檎を食べる兎。
終わりかけに残りの半分も差し出すと、そっちも食べ始めた
癒やされるな…
食べ終えたのを見届けて
「もっといるか?」
「きゅきゅっ」
首を振ってるからもういいってことか。
そのまま俺の手に頭を擦り付けてきたので撫でてやる
ふわふわした毛並みでとても触り心地が良い
兎も気持ちいいのか目を細めている。
そうして撫でているとパーティチャットで呼ばれた。
『シェイド君、こちらは終わりましたよ』
『お兄ちゃんもどろー?』
『帰ろうぜー!』
「わかった、すぐ行く」
残念だけどこれでお別れだな。
撫でていた手を離すと、まるでもう終わり?と兎が見上げてくる
思わず苦笑してしまう。
「そろそろ行かないとだから…な」
「きゅう…」
この子は言葉もわかるみたいだからこれで伝わるだろう。
案の定、兎は落ち込んだような声を出した…と思ったら
「きゅっきゅうっ」
元気に鳴いた瞬間に俺の前にウィンドウが開いた。
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フォーチュンラビットが仲間になりたそうにこちらを見ている
仲間にしますか?
はい/いいえ
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唖然として固まってしまった俺は悪くないと思う。
兎はジッと俺を見ている…
ええと…
「…一緒にくるか?」
「きゅうっ」
問いかけると嬉しそうに飛びかかってきたので抱きとめると
ピロンッ
[スキル《テイム》を取得しました]
ピコンッ
[称号『友誼を結ぶ者』を取得しました]
[フォーチュンラビットがテイムされました。名前をつけてください]
ウィンドウ触らなくても口答でいいのか。
スキルと称号…はあとで確認するから良いとして…
名前か、真っ白な身体に青い目…
「ニクス…でどうだ?」
「きゅうっ」
兎…ニクスは嬉しそうに鳴いた。
ピロリンッ
〈〈とあるプレイヤーが初めてテイムに成功しました〉〉
〈〈これにより情報を開示します〉〉
〈〈モンスターをテイムすることで行動を共にすることが可能です〉〉
〈〈中には戦闘を苦手とする個体も居ます〉〉
〈〈特定の条件を満たし、懐かれる事でテイムが可能です〉〉
〈〈なお条件はモンスターにより変わります〉〉
〈〈嫌われて逃げられることもありますのでご注意ください〉〉
うん…とりあえず確認
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《テイム》
モンスターを仲間に出来る。
スキルレベルに応じて仲間に出来る数が増える。
『友誼を結ぶ者』
初めてテイムを成功させた者に与えられる称号。
〔テイム成功率上昇、テイム上限拡大〕
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うん、まんまだな。
称号はちょっと予想外だけど・・・
とりあえず賑わってるパーティチャットで報告
『さっそくですか…』
『初日でテイムかー!』
「すまん、やらかした」
『シェイドだったんだね』
『さすがだねお兄ちゃん!』
『あらあら~』
驚いたところが無いのが気にかかるけど…まぁ行くか。
マップは…結構深いとこまで来てたんだな
だから敵がそれなりに居たのか
レベルも結構上がったから良いけど。
ニクスを片腕で抱っこしたまま青い点に向かう。
道すがら家族と合流することを説明すると理解したように鳴いた
フラニス達はニクスに抱きつい…いや埋もれてる、楽しそうだな。
にしてもニクスかなり小さいし軽いんだが…まだ子供なんだろうか?
森を抜けると兄さんたちがいたのでそのまま合流。
全員の視線がニクスに釘付けだ
「遅くなって悪い」
「大丈夫ですよ。それにしてもまさかフォーチュンラビットとは…」
「さすがの幸運持ち!」
「近くで見たのは初めてだぜ!」
「可愛いわね~」
そういやニクス以外同じ種類は見なかったな
「珍しいのか?」
「基本的にみないよ!」
「見つけても逃げられるんだ!」
「どうやっても視認と同時に逃げられるんです」
なるほど、そういや鑑定してなかったな。
ニクスに断りを入れると鳴き声と頷きが返ってきたので見せてもらう
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ニクス(フォーチュンラビット 成体)Lv.4
その名の通り幸運をもたらすと言われており
見た目の愛らしさからテイム希望者が後を絶たない。
警戒心が強く、高い察知能力を持つ
知能も高く、言葉を理解する。
テイム:シェイド
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なるほど、幸運兎か。
というか成体だったのか…小さいんだけどな…
説明のSSとついでにフラニスたちが埋もれてるのも撮って、兄さんたちに一緒に送る
みんなが確認してる間、ニクスの頭を撫でてやると目を閉じて心地よさそうにしている。
「やっぱり察知高いんだな!」
「埋もれてるの可愛い!」
「だからすぐに逃げるのね~、それにしても可愛いわ~」
「さっきも言葉を理解してるように鳴いてたねー」
「ニクス…ラテン語で雪ですか?」
「あぁ、見た目で連想してな」
みんなほっこりした笑顔で納得したように頷いていた。
アリアがちらちらと俺を見てくる
「お兄ちゃん…ニクス撫でていい?」
「ニクス良いか?」
「きゅう」
ニクスが鳴いて頷いたのを見て、アリアがそっと撫でる
「ふわふわだー」
笑顔でニクスの頭を撫でるアリアと、目を閉じて受け入れるニクス
微笑ましい光景に思わず笑顔になる
そのまま順番にニクスの頭を撫でてから出発した。
「そういえば、いつの間にか狼の討伐数も終わってたんだけど」
「兄ちゃん狼倒してたか?」
「あぁ、森の中で結構倒したな」
「なるほど、ある程度離れててもカウントされるのは便利ですね」
「手分けしたほうが早いわね~」
会話しながら街道を歩いてると、やっぱり視線が突き刺さる
ほとんどがニクスに向かってるが…
「分かってたけど視線が鬱陶しいな」
ため息を吐きつつぼやく
「まぁ…初テイムだしね…」
「最初は仕方ないよ、お兄ちゃん」
「掲示板に情報流せばいいんじゃねーの?」
みんなが苦笑混じりに宥めてくる
掲示板か…確か兄さんが前に書き込んでくれたっけ。
「なんならこちらで引き受けますよ」
「頼む…さすがにどこまで伝えるべきか分からないし」
「ティーくんなら大丈夫よ~」
せっかくだからお任せしよう。
書き込むに当たってどういった状況だったのか細かく伝えた
後はフラニスたちの最初の遊んでる所と、ニクスに埋もれてるSSの許可を出した
可愛いのはぜひ見てもらいたいしな。
「後恐らくですが、前線に出るか聞かれると思うんですが…どうします?」
「んー、生産希望なのは伝えて良いし、ホームと設備手に入れたのも別にいいよ」
「いいの~?」
聞いてくる姉さんに頷く。
結局用意したのは運営な上に引き当てたのは運だ、何か言われても痛くも痒くもない
それで納得しなかったらLUK値が3桁なのもバラしてもらって良い
色々引き当てすぎてるしな。
「それもそうですね、わかりました」
兄さんが苦笑してるが、開き直らなきゃやってられん。
話を終えた時にはすでに街の門が見えていた
ふと思ったけど…
「テイムモンスターって街に入れる…よな?」
「問題ないと思いますが…どうでしょうね」
「βでもテイム出来た人居なかったよね?」
「確か挑戦してるのは居たけど出来なかったとか言ってたぞ」
「どうしましょう~」
うーん…βにも居なかったのか…
「門番さんに聞いてみる…とか?」
「あぁ…その方が良さそうだな」
セレーネの言葉でさっきの門番を思い出した
ええと…あ、あの人だな。
そのまま兄さんたちには先に入ってもらって
俺とニクス…とニクスにくっついてるフラニスたちだけで門番の近くへ。
「お、さっきの兄ちゃんじゃないか」
「覚えてたのか…」
「目が合っても挨拶するやつなんて数えるくらいだからな!」
どうやら豪快な性格のようだ。
見た目も少々強面で、筋肉隆々でガタイがすごいな…
目測で190くらいか?
「それで、どうしたんだ?」
「この子をテイムしたんだけど、街中に一緒に入っても?」
「大丈夫だ。ただしテイムモンスターが暴れたらテイム主に責任を取ってもらうがな」
「わかった」
まぁ当たり前のことだよな。
「ついでに自己紹介すると、俺は警備隊長を務めてるエルドだ」
「俺はシェイドで、この子はフォーチュンラビットのニクス」
「きゅうきゅっ」
挨拶をするように鳴いたニクスを見て、エルドが笑顔になる。
「おう、良い挨拶だな!それにしてもフォーチュンラビットとは…」
「やっぱり珍しいのか?」
「まぁな。見れたらそれだけで幸運だと言われてるくらいだ」
しげしげとニクスを見てそう言うエルド
変なのに絡まれなきゃいいんだけどなぁ…
「それにしても…この光はなんだ?」
「あぁ、この子らは俺と契約してる精霊だよ」
「ほぉ…長いことこの仕事をやってるが、はっきり見たのは初めてだぜ」
人通りの多い所の門番ですら精霊が珍しいのか…
でもエルドの肩に乗ってるのって土の精霊だよな…光は大分弱いけど
契約前の姿でエルドにくっついてニコニコしてる
「割とどこにでもいるぞ?エルドの肩にも土の精霊が乗ってるし」
「マジか!?」
「あぁ、何かすごく楽しそうにくっついてるぞ」
そう伝えると精霊が笑顔のまま手を振ってきた
俺が微笑んで頷くとさらに嬉しそうにしてる。
「お、おう。お前さん笑顔は程々にしたほうが良いと思うぞ」
「ん…?よく分からんが…とりあえず精霊のことは気にかけてあげてくれ」
「気にかけるったって…どうすりゃいいんだ?」
「んー…」
精霊を見ると…
《いつものおしごと~♪》
ニコニコしながら手を大きく広げてそう伝えてきた。
「どうやらいつも通りで良いみたいだな」
「仕事してればいいのか?」
「あぁ。そのうち声が聞こえると思うから、名前を求められたら契約出来るぞ」
「わかった」
神妙な顔してるけど…この様子だと近いうちに契約出来そうだしな
放っておこう。
エルドが態とらしく咳払いをして話を戻してきた
「ゴホンッ街には自由に入れて大丈夫だ、でかすぎる場合は外で待ってもらうがな」
「わかった、ありがとう」
「俺は交代制であちこちで門番やってるから、何かあったら声かけろよ」
「あぁ、またな」
別れの挨拶を交わして手を振ると
エルドは笑顔で片手をあげて、精霊は大きく手を振ってくれた。
もふもふゲットだぜ!!
なお作者は動物アレルギーです。服に使われてる場合でも反応するくらいです。
物語の中でくらいもふもふ堪能してもいいじゃない・・・
もふもふぅ・・・




