第12話
まだまだ試行錯誤してます。
今回初のもふもふが登場(後半)
フラニスたちを宥めながら兄さんを見ると苦笑された
どうかしたんだろうか。
「お兄ちゃんすごい!」
「すげーよ!兄ちゃん!」
「さすがシーくんね~」
「すごかったよ!」
「あぁ、ありがとう?」
何かみんなもテンション高いけど…どうしたんだ?
「普通は最初であんな動けないですし、威力も無いんですよ」
「あー…そうなのか」
それでこの騒ぎか。
えっと戦闘ログとステ振りはいいとして、スキルはっと
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《投擲》
何かを投げる際に補正がかかる。
スキルレベルに応じて飛距離が伸びる。
《蹴技》
蹴り技に補正がかかる。
スキルレベルに応じて攻撃力が上がる。
脚に関わる事でスタミナ消費を減少させる。
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スタミナ以外は予想通りだったな
「シーくんどうしたの~?」
「今の戦闘で投擲と蹴技覚えたから確認してたんだ」
「投擲も蹴技も使い勝手いいよ!」
「特に蹴技は便利だぜ!」
「もう覚えたんだね」
「さすがに早いですね」
やっぱり早いのか?
「習得早いのか?」
「ええ、取得難度にもLUK値が関わってるようです」
またかLUK値…どこまで影響あるんだよ…
思わずため息が出る。
あぁ、そういえば…
「兄さん、スキルが消せるって仕様がよく分からなかったんだけど」
「あぁ、それはですね…」
どうやらスキルは
パッシブスキルー常時発動型のスキル
アクティブスキルー操作型スキル
の2種類に分かれる。
ただ明記されないから検証班なる者たちが調べてるらしい。
そしてパッシブスキルの中には難物もあり
常時発動される事で起きる弊害が多かった為に、運営に打診した者たちがいたそうだ
その結果スキル破棄システムが出来た。
ただスキルを消せるのはβ時代の時で、正式版ではスキル石というアイテムに変換されるそうだ。
β時代のような大金は要らなくなったが、変換する度に必要料金が増えるらしい
あとスキル石は譲渡や販売も出来るとか。
「スキルリストに上がるまで行動しないとダメですし、あえて販売可にしたのでしょう」
一定以上の行動が出来ない人たち用の救済措置なのかね
それで荒稼ぎ…はないか?
「ある程度覚えにくいスキルじゃないと買う人は少ないと思いますよ」
「それもそうか」
簡単に手に入るようなのを買う人はそうそう居ない…か?
まぁそういう物があると覚えておけば良いか。
「とりあえず俺は採取かな。戦闘は何とかなるって分かったし」
「わかりました。ではこっちはパーティの動き方をセレーネに教えますか」
やっぱりパーティにはそれ相応の動き方があるんだな…
「兄ちゃんは一緒にやらないのか?」
「んー…戦闘も楽しいけど、生産のが興味あるんだよな」
「興味ある事をやった方が長続きするよね!」
「私達の装備も~シーくんにお願いすることになりそうね~」
武器も防具も作ってみたいし、それもありだな。
「頑張ってみるよ」
下手に期待値をあげてダメでしたじゃ、格好つかないしな。
「俺はこの辺りをうろついてるから」
「わかりました。何かあればパーティチャットで声を掛けてくださいね」
「チャットと言っても思考内会話だけどね!」
「周りからは聞かれない安全設計だぜ!」
「あとは~設定でマップを右上に表示させられるわよ~」
「あぁ、ありがとう」
姉さんに言われた通り設定表示をさせてみると、視界の右上に円形のマップが表示された
どうやら円の中心が自分の現在地のようだ。
青い点がパーティメンバー、少し離れたところにある赤い点がモンスター
そのモンスターの近くにある緑の点が他の人のようだ。
どうやら自分の行ったところしか表示されないみたいだな、探索のしがいがあると思う
さて、あっちが戦闘してる間に採取するかな。
「もし変わった物見つけたら、声を掛けてくれ」
フラニスたちにも声をかけておく
それぞれ返事と同時にどこかへ飛んで行った
俺も早速採取に取り掛かろう。
これは薬草か…ん?こっちは似てるけど何か違うな…
取るだけ取ってあとで一気に鑑定しよう。
薬草も念の為根っこから取るか
道具…はないな…この枝でいいか、これで掘って…よし取れたな。
ピロンッ
[スキル《採取》を取得しました]
うん、知 っ て た。
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《採取》
アイテムを採取する事ができる。
スキルレベルに応じて品質が上がり、複数個取れるようになる。
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ふむ、数が増えるのはゲームならではか…
とりあえずインベントリにぽいっと
かなり生えているから次から次へと取っていく。
《ますたー!くだものあったー!》
採取してたら森に少し入った所からウェネルの声がかかった
声のする方に向かうと大きな木の前でふよふよと浮いているウェネルが居た。
「この木か?」
《うん!》
見上げて見ると確かに林檎らしき赤い実がぶら下がってるのが見える。
「お手柄だなウェネル」
《えっへん!》
胸を張ってドヤ顔をしてるウェネルの頭を指で撫でてやると、嬉しそうな笑顔になった。
取るのは良いとして…今更だけどこれって全プレイヤー共通か?
先に兄さんに確認を取っておこうか
ウェネルに少し待ってもらって聞いてみる。
「兄さん今ちょっといいかな」
『大丈夫ですよ。どうしました?』
「採取する際の注意点ってあるか?」
『特にありませんよ。個人判定なので取り尽くしても問題無いです』
『ゲームだから時間経過で復活するよー!』
『伐採したら次の日には生えてたとか有名だぞー!』
『でも~管理地だと怒られるから~そこは確認してね~』
便利仕様だな、有り難い限りだ
礼を言ってチャットを切る。
意識しないと頭に入ってこないのは便利だよなこのチャット。
さて…木の幹を軽く叩いてみる、しっかりとした頑丈な木だな
これなら大丈夫だろう。
木から少し離れた位置に歩いてから
「少し離れてな」
肩に乗ってたウェネルに声を掛けて離れてもらう
勢いで放り出されたらかわいそうだしな。
しっかりと離れたのを確認してから目を閉じて深呼吸して集中。
目を開けて、木に向かって一気に走る
そして幹を駆け上るように2歩、3歩、4歩…と登って
失速する前に横にある太い枝にジャンプして飛び乗る。
バランスを崩さない為に幹に手を付けながらしゃがむと
ピロンッ
[スキル《疾走》を取得しました]
[スキル《跳躍》を取得しました]
[スキル《軽業》を取得しました]
お、やっぱり出たか。
詳細はっと
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《疾走》
走る際に補正が掛かる。
スキルレベルに応じて消費スタミナ減。
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《跳躍》
ジャンプに補正が掛かる。
スキルレベルに応じて高さが変わる。
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《軽業》
平衡感覚やバランスに補正が掛かる。
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・・・説明少なくないか?
まぁ試せばわかるか、そのままその場で立ち上がってみると・・・
ふらつく感じがないな…何気に有能じゃないか?このスキル
まぁ木登りするやつは少ないだろうけど。
飛んできたウェネルと一緒に実をもいでいく。
上の方にあって手が届かないのはウェネルが魔法で切り落としてくれた
インベントリに仕舞って行くとかなりの数になった、さすがにもう良いだろう。
「ウェネル、もういいぞ」
《わかったー!》
そのまま木から飛び降りる
衝撃を減らすために膝をバネのようにしつつ、つま先から着地。
何か楽だったんだが…蹴技だろうか?
ウェネルと一緒に他の木の果物を取っていく
季節感無視してるのもあるけど…ゲームだしな。
スキルのおかげで、駆け上らなくても跳躍で枝に乗れるようになった
どんどん人間辞めた動きしてるけど…いいよな、うん。
地面に生えてる薬草とハーブっぽい草を採取しつつ時折出てくる角兎や狼を倒して行く。
狼は警戒して中々来ないけど、フェイントに弱いらしく
少し目を逸らすだけで攻撃してくるから楽だった。
突っ込んできた所を避けて蹴飛ばすだけの簡単なお仕事です。
そのまま歩いてると
《ますたー!けがしたうさぎいる!》
興奮気味のフラニスが飛んできた、怪我した兎…?
案内してもらうと左の後ろ足を真っ赤にした
角が無く真っ白な身体に青い瞳の、草原の兎より一回り小さい兎がいた。
横にはエルテラがくっついていた
こちらに気付いて警戒していたが、フラニスとエルテラが宥めて落ち着いたようだ。
ゆっくりと近づいてある程度の距離をとってしゃがみ込む
モンスターではあるが…フラニスが心配してるし、助けるか。
セレーネは戦闘中で呼べないし…薬草に回復効果があったな…使えるか?
インベントリから薬草を取り出し、葉っぱを手で千切って根っこはインベントリへ。
ウェネルに葉っぱを兎の前に持っていってもらう
こっちを見ているが…
「傷つける気はない、苦いと思うが回復の為にもそれを食べてくれ」
言葉が通じたのかもしゃもしゃと食べ始めた。
すると怪我していた所が淡く光を帯び始め、すぐに消えた
もう大丈夫かな…まだ血がこびりついてて真っ赤だけど…
口直し用に林檎っぽいのを取り出し、服で軽く拭っておく
さすがにこの子にはでかいか…
両手で持って左右反対にひねるとぱっかりと割れる
ナイフなしでも楽に割れるから便利なんだよなこれ。
兎の方に持っていってもらおうすると、兎が近寄ってきた。
林檎を差し出してみるとそのまま食べ始めた、もう慣れたか?
とりあえずアクシアを呼ぶか
「アクシア、いるか?」
《どうしたの~?》
「この子の足を洗いたいんだけど、出来るか?」
《わかったの~》
すると真っ赤になってる足の方に水が渦を巻くように現れた
夢中で林檎を食べてた兎が気付いてジッと見ているが…
すぐに水が消えて綺麗になった後ろ足があった、びしょ濡れだけど…
「フラニス、ウェネル頼めるか?」
《わかった!》
《はーい!》
今度は温風が後ろ足を渦巻くが、すぐに消えた
しっかりと乾いてるみたいだし大丈夫かな。
「大丈夫そうか?」
兎は足を確認してるのかぴょんぴょん跳ねていたが
「きゅうっ」
と、元気に返事をしてまた林檎を食べ始めた
警戒心は強いけど、人懐っこいのかね。
スキル詳細が難しい…何でスキル制にしてしまったのか…




