第11話
遅くなりました。
戦闘って…難しいですね…
草原の方には人がいるが、自分の戦闘に集中してるから視線は感じない
そして森に近ければ近いほど、人が少ない。
「そういえば2人は、HP、MP、スタミナバーのことは知ってますか?」
ええと…
視線の左上の方に赤青黄のバーがあり
それぞれ赤:HP、青:MP、黄:スタミナで
HPが無くなれば60秒後に死に戻る。
猶予時間は蘇生スキルや蘇生アイテム使用の時間だ
まぁ序盤にはないそうだが。
MPが無くなると魔法や、MP消費のスキルが使用できなくなり
時間経過でも回復するが、微々たる量で
MPポーションで回復するのが一般的だそうだ。
スタミナは走ったり、戦闘をすることで消費される
スタミナが無くなると空腹状態になり、徐々にMPが減っていく。
MPもなくなるとHPが減り始め、餓死する可能性もある
回復するには飲み食いすればいい。
死に戻る先は登録されてる街の復活地点で噴水広場だ
初期は最初の町【アインス】に登録されてる
あと10レベルまでは何も無いが
それ以降はデスペナルティとして一定時間のステータス半減に所持金の半減
装備の耐久値減少、そしてアイテムのランダムロストがある。
そして貸し倉庫でアイテムやお金を預けられる。
「で、合ってるかな?」
「ええ、合っていますよ」
ある程度サイト見といてよかった
「では次に、ここに出る敵はホーンラビットとウルフです」
「角のある白い兎ちゃんと~茶色い狼ちゃんよ~」
「草原は兎が多くて、森近くは狼が多いんだよ!」
「最初は兎で、慣れたら狼だな!」
なるほど、少しずつ慣れる用か
しかし名前安直だな…覚えやすいが。
「では、まずはそこの兎の動きを見てもらいましょうか」
そう言いつつ兄さんが兎の前に1人で向かう
手に持ってるのは…片手斧と小盾か。
兎の目の前に立ったのに、兎は気にせずに草を食んでる
額に真っ直ぐな角が生えてるけど、真っ白な身体に赤い瞳が可愛らしい。
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ホーンラビット Lv.2
角の生えた兎。平原であれば出没する
可愛いが甘く見ると痛い目を見る。
主に食用に用いられる、主婦の味方。
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意識しただけで鑑定出来るんだったな
敵にも有効だったのか…しかし食用か…
「基本的に角兎はノンアクティブです。こちらから攻撃しない限り敵対しません」
「逆にアクティブなのは~見つけ次第攻撃してくるわ~」
なるほど
「では見ててくださいね」
と言って兄さんが兎の頭に斧で切りつけ…いや、殴りつけた。
命中した部分が、血で少し赤くなってる
兎はキュッと鳴いてから攻撃してきた相手…兄さんを睨みつけ、後ろ足で一気に飛び出した。
あれって角を突き刺そうとしてるのか?
中々えげつない攻撃してくるな…
兄さんは軽々と盾でいなしている。
あえて動きを見せてくれてるから分かりやすいな
兎は一直線に突っ込むのか…なら対処も可能だな。
いなしつつ斧で攻撃を繰り返してると
兎は力尽きたのかそのまま倒れ、少ししてから光の粒子になった。
さすがに解体はないんだな
いや…スキルでありそうだな…
ん?視界の右側に何か出てきた
[ホーンラビット討伐(1/10)]
あぁ、これ依頼のやつか
「まぁこんな感じですね」
「最初の敵だからある程度動ければ、特に苦戦もしないよー!」
「攻撃魔法だと~詠唱時間もあるからこうは行かないけどね~」
「パーティに居ても攻撃とか回復とかしないと経験値は微量でスキルレベルも上がらん!」
なるほどなぁ
「確か、寄生?プレイ対策とかいうやつか」
「そうそう!楽して上げられると思うなよ!ってことだね!」
結構考えられてるんだな。
さらに色々聞いてみると
パーティを組んで無い状態で、他人が攻撃してる敵に攻撃は通らない様になっているそうだ。
もちろん例外もあって、救難信号という周囲のプレイヤーに助けを求めるシステムがあるらしく
それが使われて自分が了承した場合は臨時パーティが組まれて攻撃が通るようになる。
あまり使われる事は無さそうだけど、いざという時は助かるな。
「でも兎相手にパーティで挑むのは効率悪いねー、各個撃破かな?」
「そうですね、セレーネは誰かのHPが減ったら回復をしてくれれば良いと思います」
「ただ~回復は相当ヘイト稼ぐから~ちゃんとタゲ固定されてる時にしてね~」
「うん、わかった」
ヘイトは…敵愾心だったかな
タゲ固定はターゲット固定…つまり攻撃対象の固定化のことで
攻撃を引き受ける盾持ちはタンクと呼ばれるんだったか。
ゲーム用語をもう少し勉強しておかないとな。
「シェイド君はどうします?」
「んー…うん?」
木の根本に何か違う形…な気がする葉っぱが…
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薬草
苦味のある草。体力回復の効果がある
主にポーションの材料になる
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おお、これが薬草か
よく見ると結構生えてるんだな。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「あぁ、そこの木の根元に薬草があってな」
「これが薬草なのか!見分けがつかん!」
「これは一見気付かないですね」
ふむ…とりあえず試しに戦闘してみてから、採取かな?
「とりあえず1,2回ほど戦闘してから、採取にするよ」
「わかりました」
フラニスたちもやる気十分みたいだしな
あ、そういえば
「何が出来るんだ?」
《ひまほう!》
《みずまほうなの~》
《かぜまほうー!》
《つちまほう…》
さすがに精霊だけあって魔法か。
威力が分からないから兎相手に試してもらおう
兄さん達を見ると頷いて後ろに下がってくれたので
目の前の兎を指差す。
「じゃあこの兎を相手に、魔法の威力を見せてもらえるか?」
《わかった!》
《わかったの~》
《まかせてー!》
《がんばる…》
そうしてフラニスが兎の正面に、左右にウェネルとエルテラが散って
後ろにアクシアがそれぞれ浮いてる。
《おりゃあっ!》
「キュアッ!?」
フラニスの掛け声と共に、フラニスの前に小さめの火の玉が現れた。
振りかぶるように投げた火の玉が一直線に兎に向かい、兎の胴体にぶつかり燃え始めた
悲鳴を上げた兎は火に驚いたのか飛び上がり、逃げ出そうとしたが
《だめ…》
エルテラの声と同時に進行方向に迫り上がった壁(兎サイズ)にそのまま突っ込んだ。
そのまま暴れているが、どうやら角が突き刺さって抜けなくなったようだ
暴れすぎて火は消えたが…
《えーい》
アクシアの声と同時に、兎の前足と後ろ足を覆うように水の玉が現れた。
途端に動きの鈍くなる兎
《そこだー!》
ウェネルの元気な声と同時に刃状の風が3つ現れ、水に包まれていない胴体にぶつかる
切り刻まれて兎は光の粒子になった。
そのまま俺の方に飛んでくるフラニスたちを迎えて褒めると
嬉しそうに胸元にぐりぐりとすり寄ってくる
可愛いなぁ…
「威力はプレイヤーが使うより低めですかね?」
「でも発動は早かったわね~」
「流れるように連帯してたね!」
「負けてらんねーな!」
「すごいねー」
俺も正直あそこまで簡単に倒せるとは思ってなかった。
でも初心者向けだからこそな気がするな
ある程度知能があったら避けられそうだ。
「そういえばお兄ちゃん、今の戦闘で経験値とか入った?」
「戦闘ログで確認出来ますよ」
言われたので確認すると、経験値は無かったがドロップ品が入っていた。
「経験値はないな、ドロップ品はあるけど」
「素材集めは~助かるわね~」
「パーティ枠を消費せずに戦闘に参加させられるのは大きいですね」
「手数が増えるようなもんだよな」
「だからこそ、中々契約出来ないんじゃないかな?」
セレーネの言葉で全員が納得した。
確かに簡単に契約出来たらバランス崩れるよな
どちらにせよ素材集めは出来るけど、経験値はないし。
「じゃあ今度はちょっと1人でやってみていいか?」
「ええ、良いですよ」
許可をもらったのでフラニスたちはセレーネに預けて
少しみんなから離れたとこに移動する。
ふと足元を見ると石が転がっている…試すか。
狙う兎を見ると視界の上の方に兎の名前とHPバーが浮かんだ
なるほど、分かりやすい。
石を拾って少し離れた位置にいる兎の胴体を狙って投げると見事に命中し
兎のHPバーが三分の一ほど削れた。
短く声を上げた兎は攻撃した俺を見つけ一気に突っ込んでくる
でも動きはさっき見たからなぁ。
突っ込んできた兎を半身になって避けつつ、角を避けて頭に手を添えて推進力を上に流す。
すると兎は綺麗に上に飛んで行き、勢いを無くして手足をバタつかせながら落ちてくる
せっかくなので回し蹴りで迎撃…したらそのまま木の幹に激突し光の粒子になった。
同じタイミングで視界の上の方にあったHPバーが一気に消滅した。
ピロンッ
[レベルアップしました]
[スキル《投擲》を取得しました]
[スキル《蹴技》を取得しました]
んん?思った以上にあっけないんだが…
というかスキル覚えるの早いな。
首を傾げながらみんなのとこへ戻ると
フラニスたちが目をキラキラさせながら飛んできた
何だか興奮状態のようだ。
精霊さんたちの魔法の威力は高いですが、フラニスたちはまだ小精霊なので…
あと戦闘が好きというわけではない為、威力が若干下がってます
朔夜の身体能力と反射神経は頭おかしいので…普通出来ないと思っても朔夜だからで納得してください。




