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運営サイド ①

タイトル通りに運営側です。①と付いてますが続けるかは未定です。

試験的に書いてみたら思った以上に楽しかったので、投稿しておきます。


なお主人公の見た目が大体出てます。

壁に大きなスクリーンがあり、多くのパソコンやキーボードが並んだ部屋

パソコンの前に居るのは研究職のような雰囲気のある者たちばかり。


ここは新しく発売されたゲーム《Evolving World Online》の運営陣や、開発陣が集まった部屋だ。

今日がゲーム始動の日の為、全員が席について開始時刻まで待機しているのだ。


「問題は?」

「こちら問題ありません」

「こちらも問題ないです」


その言葉を聞いて頷いたのは、白に差し掛かった灰色の髪を撫で付けた男

顔立ちは堀が深く、目尻にうっすらと皺が見て取れるナイスミドルだ。

だがその目は少年を思わせるほどに輝いていた。


その隣に立つ線の細い、これまた整った顔立ちの男性が男に声をかける。


「やっとここまで来ましたね。社長」

「あぁ、とても長かった」


二人揃って、目を細めながら話す。

元々医療用に作られていたVR機器をゲーム用に作り変えるのは

本当に骨身が削られるほどに大変だったのだ。


長年の思いがやっと報われる瞬間だ、感慨深くもなろう。


「そういえば、社長が用意したくじ引きを引き当てた人物がいたようですよ」

「ほう、あれを引き当てた者がいたのか」


そう男はかつて、特定の地域の1店舗のみにVRギアセットをくじ引きとして仕込んでいた

その選定方法がダーツだった為、周囲を困惑させたが男は満足げだった。

どうやら人一倍遊び心があるようだ。


「最初聞いた時は本気で理解出来ませんでしたよ」

「くくくっ それを引き当てるほどの運の持ち主を見てみたくてな」


他の景品の数を多く仕込んでいた上に、日付や時間帯まで決めてあり

そしてシークレットにして品物を隠した。

だからこそ引き当てるのは容易ではない、だがそれを引き当てた人物が現れた。


「その人物はプレイしそうなのか?」

「どうやら既にキャラクター作成が終わってるようです」

「ほう…記録は?」

「すぐに」


その機器だけは社長自らが仕込んだ為に、見分けがつく様にされていた。

男性がパソコンに座っている社員に伝えるとすぐにスクリーンに映し出された

全員が話を聞いていた為、視線が一斉に集まった。


キャラクター作成画面

そこに現れたのは目元を覆うほどの長い前髪に

耳にかかる程度の長さの黒髪をした大人しそうな青年だった。

シェイドと名乗った青年は、種族選びは若干迷いを見せたが

素体を選ぶ際は悩む素振りも見せずにリアルスキャンを選んだ。


「ほう」

「リアルスキャンを選択してるのは凡そ4割ですね。スキャンが5割、クリエイトが1割です」


この結果は作った側も少々予想外だった。

慣れた身体能力や、処理能力を選ぶ人が多いだろうと思っていたのだ。


だが

現実とは違う世界観だからこそ、普段の自分とは違う自分になりたい。

という一部の社員の主張で納得で終わったが。


そして青年の素体が現れた

適度な筋肉の付いた、均整の取れた身体だった。

さすがに社員たちも予想外だったようで、少々ざわついている

どうやらかなり着痩せするタイプらしい。


「あれはかなり鍛えてあるな…」

「人は見た目によらないの見本ですね…」


外観の設定に入り前髪が短くなった瞬間、全員が息を呑んだ。


形の良い眉に、すっと通った鼻梁、意志の強さを感じさせる切れ長の瞳に

少し薄めの唇は、赤みを帯びて艷やかだ

青年は中性的な美しさを持っていた。


「…だから顔を隠すように前髪を伸ばしていたのか」


その言葉に一同が納得したように頷いていた。

青年が瞳を紫にして、髪を伸ばしたところで一同の考える事は一緒だった


(エルフ種の美形補正無くてよかった)


あんなのが更に補正かかったらどうなることか。

下手したら宗教まがいのことになりかねん

今ですら変なのが湧きそうだというのに

考えたくない未来である。


そして青年のステータスが表示された瞬間


「「「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」」」


部屋中に響いた一同の声

それはそうだ、正直ステータスの中で3桁行く項目が3つあればかなり優秀なのだから

全てが3桁とかどこのラスボスだ。

バランスブレイカーにも程がある。


「…」

「ほう…幸運も高いな、引き当てたのも納得か」


男性は言葉も無く、社長と呼ばれた男はそれがどうしたと言わんばかりであった。


「…大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だろうよ。見た所大分落ち着いた性格のようだしな」


一般的なステータスを見てどこか遠い目をしていたのは気になったが

脳筋のように狂喜乱舞することはなかったのだ。

他のプレイヤーに比べれば何のことはないだろう

ひどい態度の奴も居たのだから。


そして青年・シェイドのキャラクター作成の記録が終わった。


「中々興味深いやつだったな」

「私としては予想外過ぎました」


楽しそうな社長と疲れた顔をした男性の温度差が凄まじい。


なお、個人情報が漏れることはない。

この場にいる全ての人間が制約を行っている為だ

契約違反をした場合、かなり重い罰が下される。


どちらにしろこの場にいる面々は、研究者基質ばかりが集まっているのだ

驚きはするがこういう人間もいるんだな、で終わる。


「そろそろ時間です」


その声に一同がそれぞれのパソコンに向かい合った

そしてスクリーンも映像が切り替わった。


「ついに時間になったか」

「ええ」


ゲームの開始時間だ

一斉にプレイヤーがログインするところがスクリーンに映し出される

場所は噴水広場。


βテスト時で名を上げていたプレイヤーたちも何人かが映っていた

交流をしたり、友人を待つような素振りのプレイヤーも見える

かなりの人数が現れてはその場所を離れていく。


やっと落ち着き始めたその時

赤 青 黄 緑の光たちが広場に現れ始めた


「もう精霊の出会いが始まったのか!?」

「丁度プレイヤーが現れる所を飛び交ってるぞ!」

「精霊のAIは?」

「自立させてます。テストした時に問題はありませんでした」

「恐らく気に入った者がいるのではないかと」

「少々興奮状態になってますが、特に問題は見つかりません」


周りが一斉に情報交換をするが

光たちは未だに飛び交ってる。

そしてそこに現れたのは


先程見ていた記録に出ていた青年であった


「くくくっ精霊にまで好かれるか」

「とことん予想外ですね…」


精霊たちを手の平に乗せ、微笑む青年と一気に静まり返る広場

その状況を見て笑いを堪えている男と、呆れた顔をした男性である。


その後に現れた金の髪を持つ美しい少女と共に移動を始めた青年をカメラが追う。


「どこかに向かってるな」

「方角的に教会でしょうか…」


青年と少女が教会前の石像前にいる相手と合流した。


「あれは…」

「4人ともβテスターですね。最も貢献してくれた方たちです」

「あぁ、確か四天王だったか?」

「そう呼ばれてましたね」

「そこにさらに2人追加か。どうなることやら」


かの4人は色んな隠し要素なども見つけてくれていた。

開発側としてはとても有り難い人材なのだ

何せ勝手に情報開示してくれるのだから

文句や情報よこせなどのコールをしてくる変なのが湧く抑止力になっていた。


一時期運営の手の者ではと言った憶測も飛び交った事があったが

全く関係がないと明言したことでその騒ぎも落ち着いた。


「ただでさえ色々発見してる人たちに《加護持ち》が加わるんですね…」

「元々くじ引きでの結果なんだ。仕方ないだろう」

「分かってはいるんですけどね…」


元から優秀な4人におかしなステータスを持ったぶっ壊れキャラが入る

それが《加護》持ちな上に精霊付きとなれば…

それだけで頭痛を耐えるように額に手を当ててしまう男性であった。


「今後も様子を見ておこう。面白い事してくれそうだしな」

「…社長が楽しそうで何よりです」


心底楽しいと言わんばかりの男に、ついつい恨みがましい目を向けてしまうのは仕方ない

これからの苦労が確定してるも同然なのだから。


「とりあえず今の精霊との邂逅は残しておけ、プロモで流す」

「わかりました」


ゲーム内では相手の了承がない状態での撮影は出来ないが

元々利用規約で許可を取ってあるから運営側は好きに撮影出来る。

そのためプレイヤーの戦闘シーンなども多く保存されている

個人情報に影響が出ない範囲ではあるが。


もちろん目的は新規顧客を得る為であり、それ以外での用途は禁止されている。

そのままカメラは町中の様子や、すでに外に出て戦闘中のプレイヤー達を撮っている

我関せずと草を食んでいる可愛らしい兎など、実に様々だ。


対照的なのは部屋の中だ、とても慌ただしい。

かなりの人数が部屋にいるが、プレイヤーの数はその何倍もいる

どうやら既にトラブル報告などが寄せられているらしく

お互いに情報交換をしながらそれぞれを解決している。


それらを満足そうに眺め、しばらくは忙しい日々になりそうだと呟き

そのまま部屋を離れる男と、付き添う男性だった。


特に先の事は考えずに書いてるので

何かしら矛盾や誤字脱字があれば教えて頂けると幸いです。

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