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用語説明─運命

後書きに第5巻のネタバレがあります。

第5巻『玩具の街と銀の塔』の第101話『責任の所在』を読み終わるまでは、気をつけて閲覧してください。

【運命】

・使族のうち、時の神ミラームが創造に関わった使族のみ、運命がわかる。逆に、運命がわかる使族は時の神ミラームが創造に関わっている。

例:エルフ、ヴァンピール、ラミア、ドラゴン等


・創造に関わった使族に対して、時の神ミラームは彼らの人生にときおり干渉することができる、のようなイメージ。逆に創っていなければ、干渉するのが難しい。


※なお、時の神ミラームの関わらない使族は(人間を除き)、特徴のみによって縛られている。運命を知らない使族は人間と同じように悩み、様々な選択を自分の意思で行うことができる。

 ただ、特徴が関わる事柄のみ、自分の意思とは関係なく(もしくは意思も含んで)特徴によって行動が選択される。

 メアリの人魚に戻りたいという思いも、半分以上は“高潔”という特徴によって決められている。だがそこに意思がどれほど関わっているかは定かではない。運命は関係ない。




▪️“運命がわかる”とは?


①道に迷わない。

②運命と自分の意思はほとんど関係ない。

③意思と強く反発する運命はあまり起こらない。起こるとすれば重要な意味を持つ。

④自分の意思やルーティンと違う道を運命が示した時、軽い未来予知ならぬものができる。

⑤運命によって人生が決まるともいえる。

⑥運命は時の神ミラームによって決まるものであり、彼の匙加減でいくらでも変動する。そのためあまり正確に定義ができないし、例外も多く存在する。

⑦運命に逆らう選択はできない。



①道に迷わない。

──────────────────

 同等の価値のある選択肢を出された時、即決でどちらに進むべきかがわかる。ただし、その道が必ずしも本人にとって“良い”運命とは限らない。ただその者が進むべき道というだけである。


 →運命がわかるから迷子にならない、というわけでもない。その者の示す未来が「一生道に迷い続ける」ということなら、迷子になることも十分にありえる。



②運命と自分の意思はほとんど関係がない。

──────────────────

 使族としての特徴と運命はほとんどの場合一致しているが、意思と運命は一致しない。

 

 →例えば会話の途中で相手を傷つける意思がなく、むしろ慰めて仲良くなりたいと思っていたのに、運命のせいで口をついて思ってもない言葉が出ることもある。



③意思と強く反発する運命はあまり起こらない。起こるとすれば重要な意味を持つ。

──────────────────

 →あまりに自分の意思とかけ離れた運命を歩むことは大変生きづらくなってしまうので、《意思と強く反発する運命》はそうそう起こらない。本人にとってどちらでもいい、どちらか正しいのか分からない、くらいの問題が発生したときは、運命に導かれて行動が決められる。

 

〈例〉

 強大なドラゴンの元に他の使族がやってきたとき、彼らが焼き殺されるか否かは運命が決めることである。

 ドラゴン自体は他の使族に対してほとんど関心がなく、些末(さまつ)小蠅(こばえ)程度としか思っていないため、死のうが生きていようがどちらでもいいのである。すなわち、ドラゴンに(まみ)えることができるかは時の神ミラームの手によって決められるということにもなる。



④自分の意思やルーティンと違う道を運命が示した時、軽い未来予知ならぬものができる。

──────────────────

 未来予知とは少し違うものだが、運命がわかるからこそ、自分にとって違和感のある運命を示された時、“何かが起こる”と予感できる


〈例1〉

 先程のドラゴンの例でいえば、普段はほとんど必ず訪れた使族を殺しているにもかかわらず、今回は殺さないという運命に導かれた時、ドラゴンは次のような未来予知ができる。『いつもは焼き払うはずなのに今回は違うのだから、訪れた者から興味深い話が聞けるのではないか?』等。


〈例2〉

 第5巻『玩具の街と銀の塔』のアヴィルについて、例を挙げる。[後書きへ飛んでください↓]



⑤運命によって人生が決まるともいえる。

──────────────────

 『運命のわかる使族』たちは、ある意味彼らの中に善悪がないともいえる。

 

 →運命を知らない人間は、自分の意思のみで進むべき道を選択できる。相手に合わせてどんな反応をするのか、起こった事柄に対してどのような対応をとるのか、迷いながら試行錯誤して、全ては自分の価値観と意思、それまで生きてきた境遇などで、自分の行動を選択する。

 だが、運命を知る使族はそれができない。

 犯罪行為や殺人をおかすのも、全ては運命が決めたことなのだ。


〈例1〉

 ヴァンピールで残虐な殺人鬼が生まれたとしても、それは運命に導かれてその身を落としてしまっただけであり、彼の意思とは関係ない。

 もちろん、運命のわかる誰しもが突然殺人鬼になる可能性を秘めている、というわけではない。優しかった人が理由もなしに突然人殺しをするのは、その周りにとっても本人にとっても、意思とあまりに乖離(かいり)しているため、そのような《意思と強く反発する運命》(③参照)は起こらない。

 しかし、殺人鬼になるような素質があり、過去があり、トラウマがあり……色々な前提がそろった結果、『殺人鬼になったとしても、彼の生涯を考えるに違和感がない』とされたとき、殺人鬼になるという運命を辿る可能性もあるということだ。


〈例2〉 

 もっと具体的な話をしよう。

 親を無差別殺人者に殺され、自身も奴隷として売り飛ばされ、絶望的な人生を歩んできた者がいたとする。幸い、身体能力は高く戦う術もそこそこ持ち合わせていたが、抵抗するほどの強い意思を持たなかった。ただ、ある日運良く親を殺した犯人に会うことができるとする。

 このとき、この者が運命の知らない使族ならば、犯人を殺すかどうかの選択を自分の意思で行うことができる。自分も彼のように人殺しをして復讐をするのか、犯人を許して真っ当な道を歩もうと努力するのか、それを選択して生きることができる。

 だが、運命を知る使族だとしたら、この選択ができない。このとき彼が殺人者となるかならないかは、全ては運命が決めることなのだ。


〈例3〉

 善行も同じだ。

 困っている人を助けるか否かも、運命によって決められる。

 ただ先ほどと同様、普段から幸せな境遇で生活し、精神的にも身体的にも余裕のある者ならば、人助けをする方がその者の意思に反発しないため、基本的にはそちらの運命が辿られる。

 また生きていくなかで、『今までは助けてきたけど、この男は助けない』という運命が示されることもある。そういう場合こそ④のような未来予知ができる。今まで助けてきたのに今回助けなかったのは、彼が自分に悪いものを寄越すからなのか?と予測できるのだ。



⑥運命は時の神ミラームによって決まるものであり、彼の匙加減(さじかげん)でいくらでも変動する。そのためあまり正確に定義ができないし、例外も多く存在する。

──────────────────

 これまでの説明と少し矛盾した出来事や、例外も多く存在する。『運命がわかる』とは本人たちにとっても曖昧なもので、また運命の分からない者に完全な理解を促すのも難しい。

 


⑦ただ一つ言えるのは、運命がわかる使族は、運命以外の選択はできない。



*****以下、()()()()()()*****


 第5巻『玩具の街と銀の塔』のネタバレがあります。読み終わった方のみ、以下を確認してください。















④自分の意思やルーティンと違う道を運命が示した時、軽い未来予知ならぬものができる。

──────────────────


〈例2〉

 アヴィルはラミアという使族で、ラミアは運命のわかる使族である。

 普段、ラミアは愛する者を塔に閉じ込めた時、すぐさま自分を愛するように強要したり、洗脳まがいのことをしたりはしない。彼らは、ただ束縛と嫉妬という概念にのみ縛られているだけだ。それ以外は人間などの恋人と同じように、会話やちょっとした触れ合いなどでゆっくり時間をかけて愛し合う努力をするだろう。

 ただ今回の章では、アヴィルはメアリに愛されようと無理強いし、必死に手を尽くした。本来のアヴィルの意思やルーティンは『ゆっくり会話等を楽しみ、いずれ愛してもららう』であるのに、それと異なった今回の行為は運命の導きによるものとなる。


 そして今までと今回が“違う”と気付いたアヴィルは、『自分は、とにかく急いでメアリに愛されようと努力をする運命を辿っている』→『急ぐ理由はなにか?』→『近い将来、メアリが消えるかこの関係が破綻(はたん)するから』という未来予知を導き出した。

 そういった経緯で、アヴィルは、具体的に何が起こるかいつ起こるかは分からないが、『将来自分にとって最悪なことが起こる気がする』といったぼんやりとした未来が見えていたのである。


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