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お待たせしました。
「も…殺し…っ…」
百合子さんの尻尾が男の首に絡みつき、ゴミを払う様に木に叩き付けた。
ぼろ雑巾のようになった名も知らないし、知るつもりもない男。
ご自慢の装備も砕けて破損し、元の性能は既に発揮していない。
近くに生えていた木の幹に叩き付けられた衝撃によりわき腹から零れていた腸が勢いよく噴き出る。
血反吐を吐き出し、醜く蠢く。
よく見ると傍らに転がってる女の死体に近づこうとしているようだ。
男の近くには男2人、女1人の死体が転がっている。
ぼろ雑巾を含めてこいつ等は僕達から一番近い所にいた冒険者グループだ。
情報を聞き出すには一人生きていればいい。
だからそれ以外の人間は子供が無邪気に玩具を壊して遊ぶように殺してストレス発散をさせてもらった。
目撃される心配もない深い森の奥だから遠慮なく、自重せずに楽しんだ。
生き残っているのはここに転がるぼろ雑巾野郎だけだ。
首にかけてある冒険者カードの色は銀色。
こんなに弱くてもBランクなのだから驚きだ。
それとも第一大陸と第二大陸の冒険者ギルドでは昇格基準等が違うのだろうか?
大陸ごとに基準が違うとすれば同じランクでも片やめっぽう強く、片やめっぽう弱いという事もあり得る。
ならばランクで強さを最初から決めつけてかかるべきではないのかもしれないな。
こいつ等の一つ上のAランクだったあの盲目野郎でもこいつ等を1人で倒せるだろう。
もしくはBランクまでが有象無象の雑魚の集まり、Aランクから別格の強者ということもあり得る。
そんなどうでもいいことを考えていると百合子さんは
≪あーぁ、つまんない。もっとイキのいい獲物とでも遊ぼうかしら。あとよろしく~≫
遊び足りない百合子さんは駆けだす。
まだ森にいる冒険者を殺しに行ったのだろう。
その場に残された僕は改めて情報を整理する為にぼろ雑巾に軽く光魔法で回復してやる。
回復と言っても精々2~3分の延命出来れば御の字というところだろうが。
そんなことをしている間にぼろ雑巾は必死に女の死体に手を伸ばしている。
もしかしなくてもこいつ等はそういう関係だったのだろう。
気持悪い。
ここで殺してなければ子を成し人間が増えていたかもしれない、危ない危ない。
「これが最後だ。ここは第二の大陸の最南に位置しているトイルフェールという名前の森。北上し森を抜けるとプロメルムというそこそこ大きな街があるんだな?」
伸ばす手を無造作に踏みつけながら聞く。
男は僅かばかり顔を上げ、僕を見る。
その顔は薄く笑みを浮かべている。
「じ…ごくに落ち…ろ…化け物がっ!」
男の体内の魔力循環が急激に乱れる。
魔力暴走をわざと引き起こして自爆し僕を道連れにするつもりなのだろう。
「落ちるまでもなく既に地獄にいる」
思わず鼻で笑ってしまう。
ルナさんが、ギルさんが、ルナエルフの皆、魔獣の皆…ルナの森を失った僕にとってはこの世界が地獄だ。
地獄の中をさ迷っているのにこれ以上どこの地獄に落ちればいいんだと聞きたいぐらいだ。
男の魔力循環に干渉。
魔力の乱れを整え、正常の流れへと強制的に戻す。
自らの体内魔力に干渉されたことに男は一瞬驚きの表情を浮かべ、すぐに諦めた顔になる。
もう動く気力も、事を起こそうという気力もないようだ。
「はっ…まじ…か…よ…。わりぃ…敵…打ち…出来なか…マリィ…」
一筋の涙を流して死んだ。
絶命まで予想ではもう少し猶予があったはずだった。
全ての気力がなくなり、死期が早まったのだろうか?
よく分からない。
「…って結局情報の最終確認が出来なかったし。百合子さんに怒られるかなぁ…うーん、まぁ何とかなるか」
頭をガシガシと乱暴に掻きながら空を見上げる。
第一大陸と違った南国の木の葉が茂ったその向こうには雲一つない青色が広がっている。
風が僕の頬を撫でる。
「何だか学生の頃の夏休みを思い出す様な空だな…」
よく分からない感傷に襲われ、苦笑いを浮かべる。
これはあれだ。
一種の現実逃避だ。
生き地獄からの現実逃避をすることによって精神を守ろうとしているのかもしれない。
前世も今世も頭が良くないから違うかもしれないけど。
少しの時間空を見上げ、それからゆっくりと行動する。
まずはこのゴミ達から冒険者カードと指輪やネックレスなどの小さめな装備品をそれぞれ回収。
ゴミ達の体放っておいても食い散らかれるだろうから無視。
「とりあえずこれでよし、次は百合子さんと合流してプロメルムだとかの街に向かうとしよう」
オリジナルかどうかは知らないけど魔力をソナーのように広げる探知魔法で百合子さんを探す。
お、楽しんでいるようだ。
さて、あんまり遅いと本気で怒られそうだから急いで合流しなくっちゃ。
活動報告に書いているので言い訳は省略!
遅くなってすみません。
今後も宜しくお願いします。




