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美味しい昼食に舌鼓を打ちつつ聞き忘れていたことをギルさんに問いかける。


「ルゥナさまはどこいったの?」


僕の口の周りについた汚れを拭う手が止まる。

ギルさんは眉間に皺を寄せて悔しそうな表情を浮かべている。


「人間共を追い払いにいったのだ」


人がこの森に来ているのだろうか?だがどうして人を追い払うのだろう?

ギルさんの握りしめた拳は力が入りすぎて白くなっている。


「奴ら人間はこの森の豊かさに目をつけている。木々の伐採や魔獣の乱獲、更には我等ルナエルフを奴隷としようと画策している。本当に忌々しい者達だ。本来なら追い払うのは我等の役目なのだが今回は人間の数が多く、ルゥナ様自らが出ていかれたのだ。我等が傷つかぬようにとな。」


思わず持っていたスプーンを落としてしまった。

まさか戦いに行っているとは思いもしなかったからだ。

だって朝は「今日はいっぱいだねぇ」と今日は天気がいいねと言わんばかりにのんびりしていたから。その時は何がいっぱいなのか分からなかったけど今なら分かる。

人がいっぱい攻めてきているという意味だったのだ。


「ルゥナさまだいじょうぶなの?」


自然と声が震えてしまう。


「あのお方は強い。本来は我等がいなくともあのお方一人で問題ないのだ。」


ギルさんは寂しそうに眉を下げ握りしめていた拳を開く。

爪が食い込んでいたのか掌から血が出ていた。


「だがお優しいルゥナ様は我等を森に住まわせお傍に置いてくださった。森の番人としての役割を与えてくださった。だからこそ今この状況が悔しくてたまらない。」


ギルさん以外のルナエルフ達はルゥナさんの指示で住んでいる村に立てこもっているらしい。

そして皆ギルさんと同じく悔しがっているとか。

僕も気持ちはすごく分かる。

あの優しいルゥナさんには争いとかそういうのは似合わない。

出来ればいつものように木の根に腰掛けのんびりにこやかに過ごしてほしい。


「ギユ、ぼく強くなりたい。ルゥナさままもれるぐらいすごくすごく強くなりたい。」


両手を握りしめ意気込みを語るとギルさんは僕を見て小さく笑った。


「ならば明日から魔法の使い方を教えてやる。体がもう少し大きくなったら体も鍛えてやろう。泣き言は聞かんぞ?」


頭を乱暴に撫でられて首がもげそうになるが耐える。

こうやって頭を撫でられてるとギルさんがお父さんみたいに思える。

ルゥナさんがお母さんでギルさんがお父さん。

そう考えるとなんだかくすぐったい気持ちになってくる。


夜になってからルゥナさんが帰ってきた。

いつも通りの笑顔で「徹底的にやったから当分平和だと思うよ」と物騒なことを言っていた。

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