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「ルゥナ様!今日こそはその人の子を我等に渡していただきましょう!」


はい、今日も来たギルさん。

滑らかにハイハイが出来るようになった僕は素早くルゥナさんの足元に這っていく。

いつもならここで抱き上げてくれるのにいつまで経っても動かないルゥナさん。

どうしたんだろうと思い見上げると少し震えている。

え?泣いてる…?


「ふふっ…ギル…その恰好はどうしたんだい?んふふふっ…」


笑いを堪えていたようだ。

ギルさんがどうしたのだろうと振り返るとそこには衝撃的な姿のギルさんがいた。

いつもは髪の毛はハーフアップにし、腰には短剣を下げ、肩に弓と矢を背負っているTHEエルフって感じだったギルさんが。

深緑色に染め上げられたノースリーブとハーフパンツ、何かの皮で作られた茶色のブーツとマントを着こなしていたイケエル(イケてるエルフの略)ギルさんが。


「人の母とはこういう恰好をすると里に戻ってきた調査隊が言っておりました。これで我等がその人の子を完璧に育てられるという証明になるかと。」


ゆったりとした桜色のワンピース、その上には光沢のある白いストールを肩に羽織り、前面にはフリフリのエプロンを装着している。

更に抱っこ紐を結びその背にはどこからか入手したのかくたびれたウサギのぬいぐるみが肩からこっちを見ていた。

勝ち誇ったその顔はどぎつい化粧で場末のニューハーフと成り下がっている。

調査隊!!何を調査してきてんだよ!!

色々混ざりすぎて爆発してるわ!!


「ぷっ…んふっ!す…少し待って…ぐふっ!」


あ、ルゥナさんが崩れ落ちた。

こんなに笑ってるルゥナさんを見れるなんてギルさんグッジョブ。

僕も直視しないように視線をずらしておこう。


「? 何かおかしな点がありましたか?」


笑いが収まらないルゥナさんを訝しげに見ながら首を傾げるギルさん。

おもむろに立ち上がりその場で衣装チェックを始める。

あかん。動いたら更にコミカル感が増す。


「んはー!あきゃきゃきゃ!!」


僕も陥落し大きな声で笑ってしまう。

ルゥナさんも未だ立ち直れず静かに肩を震わせ笑い続ける。

何故笑われているのか理解できずに首を傾げながらも僕とルゥナさんを見て一瞬だけ口元に笑みを浮かべていた。

あれ?ギルさんて実は真面目な実直な人なだけでただの怖い人ではないなのかもしれない。

笑いながら少しだけギルさんへの評価を上げておいた。


後日談だが、調査隊はギルさんをからかう為に嘘まじりの話をして、その結果がアレだったらしい。

顔を真っ赤にしながら「昨日は大変お見苦しいものを見せてしまい申し訳ありませんでした。」といつもの格好をしたギルさんが謝罪にきた。

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