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爺さんの体に微弱な電気を流しながら風魔法で体を動かす。

若干ぎこちなく見えるがまぁ問題はないだろう。


「わしは爺さんじゃ。よろしくのう」


爺さんの片手を上げ、僕がセリフを言うと正に人形劇だ。

≪ちゃんと出来てるじゃないの≫と百合子さんからのお褒めの言葉をいただいた。


「それじゃアッカーソン商会に行こうか」


爺さんの死体を先に歩かせ、その後を僕を百合子さんが続く。

宿の受付に爺さんを一礼させあたかも生きているように見せる。

受付の奴も爺さんが死体だとは気づいてようで普通に返礼をしている。

外を歩いていてもすれ違う人間達は誰一人気付かない。

器用に爺さんを歩かせ、僕と百合子さんは商業区画にあるアッカーソン商会に向かう。

既に店は閉まっており、ドアは鍵を掛けられていた。

仕方なく爺さんの胸ポケットを探ると鍵の束を発見した。

何個か試しに鍵穴に指すと一つが当たりだったようで鍵が開く。

店内は暗く従業員は帰ったようで見当たらない。

前回来た時を思い出しながら階段を上がっていく。

百合子さんに頼んで二階の部屋の様子を聞き耳を立てて探ってもらう。


≪この階にはいないわ。3階に人の声が聞こえるからそっちに行きましょ。あ、階段の上った場所に2人見張りが立っているから静かにさせた方がいいわよ≫


そう言われ僕は爺さんを先に上らせる。

少し階段を上らせた所で上から控えめな音量の声が掛かる。


「フェオドールさん帰ってきたんすね。ドーンさんが報告待ってますよ」


夜だからか護衛達は声を抑えているようだ。

僕は爺さんの死体で人差し指を口に当ててから手招きをする。

護衛達は更に声を潜め


「そっちに何かあるんすか?」


と言って2人とも階段を下りてくる。

素早く百合子さんが尻尾で喉を締め上げへし折り、もう1人は僕が始末する。

上手くいきハイタッチをする。

爺さんと護衛2人の死体を床に置き僕と百合子さんは3階に上がる。


≪そこの部屋に5人寝てるわ。多分交代の護衛かしら?後は一番奥の部屋に起きてる人間が3人いるわね≫


まずは寝ている奴等から始末するか。

静かに部屋を開けると気持ちよさそうにいびきをかいている男が5人いることを確認。

すぐに手が届く所に武器を置いていることから交代の護衛だとみて間違いないだろう。

騒がれないように気配を消し、一人ずつ首の骨を折って殺していく。


≪何で首の骨を折るの?いつもなら魔法でズバーンと終わらせるじゃない≫


百合子さんが不思議そうに聞いてくる。

僕は小声で答える。


「彼等には行方不明になってもらう予定だからね。血の跡とか魔法の痕跡があったら不自然だろ?」


そう言うと納得したように頷く百合子さん。

さて後は護衛が2人とハゲ1人か。

防音の為に風魔法でも使うか。

気付かれないようにハゲの部屋の内部に風魔法で障壁を張る。

更に同じ波長の風魔法で僕と百合子さんの体を包み、障壁に弾かれず中に入れるようにする。


「護衛は百合子さんに任せるね。ハゲは僕が相手するから」


耳の付け根を軽く指で撫で、ハゲの部屋に入る。

驚愕の表情を浮かべるハゲと素早くハゲを守る様に立ちふさがる2人の護衛。


「良い品を用意してくれた礼をしに来てやったぞ」


僕と百合子さんが部屋へ入りドアを閉めるとハゲは未だに口を開け固まっている。

その阿保面に僕は腹を抱えて笑ってしまう。


「狂ってやがる…」


護衛の1人がそう呟く。


「ふふっ、すまない。あまりにも見事な阿保面でついな」


笑いをおさめるとようやくハゲの我に返ったのか勢いよく立ち上がる。


「フェオドールはどうした!?それにここに来るまでに護衛が居たはずだ!」


青い顔で僕を指差すハゲ。

僕は百合子さんを撫でながら答える。


「全員寝ている。そこの護衛達も寝てもらおうか」


僕の言葉と同時に百合子さんは駆け出し、2人の護衛の首を尻尾でまとめてへし折った。

骨が折れる音は何度聞いても小気味よい。


「ひっ…そんな馬鹿な…」


顔を引きつらせ後ずさるハゲ。

まだ生きることを放棄していないのかキョロキョロと視線をさ迷わせる。

逃がすつもりもないし、生かすこともないが精々最後の最後まで僕を楽しませてもらおうじゃないか。

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