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トラロムカに戻った僕等は冒険者ギルドに報告をしに行く。

初日にいたあのケバイ女がいたので依頼書を渡し声を掛ける。

ゴブリンの数と種類を聞かれ、種類は分からないので見た目で答えるとケバイ女の笑顔が硬くなっていく。


「つまり約800体のゴブリンが鉱山を占拠していて最奥にはゴブリンキングとゴブリンクィーンが居たと。その話が本当なら冒険者ギルドとして調査不足だったことを謝罪をしなければなりません。がしかし、今回の依頼は討伐証明が出来ない特殊な案件となっているのでアンバー様の話だけを鵜呑みにするわけにはいきませんので、既定の報酬しか支払われないことをご了承下さい。

後日調査員が鉱山の状態を調査しに行った際に何らかの証拠になる物が発見された際には追加報酬をお支払います」


と言われても死体処理が大変なだけで仕事自体は楽だったからどうでもいいんだが。

それで構わないというとようやく手続きが進み報酬を手にする。

今回の依頼で貰えたのは大銀貨2枚で宿の二日分しかならなかった。

冒険者ってあまり儲からないのだなとぼんやり思う。

ふと気づくとギルド内は依頼を終えた冒険者が戻ってきて人の数が増えてきている。

その中にあの五月蠅い女を見つける。

アイツからまだ金貨2枚貰っていないことを思い出し近づく。

女も僕と百合子さんに気付いたのか顔を強張らせる。


「まだお前を助けた報酬の金を貰っていなかったな」


僕がそう言うと女は「あ、そうでした!!」と大声を出す。

相変わらずの五月蠅さにげんなりするが、金がなければこっちが困る。

周囲は何事かとこちらの様子を見てくるが気にしてはいられない。

僕が手を出すと女は腰につけているポーチから金貨を2枚取り出し渡してくる。

本物かどうか確認してから魔法袋に放り込む。


「おいおい、前代未聞Cランクスタートのルーキーがギルド内でカツアゲかぁ?」


何処からか汚い野次が飛んでくる。

女はワタワタと慌てながら「誤解です!」と否定しているが、その慌て具合が僕に言わされているようにも見える。

また騒ぎを起こすのも面倒だなと考えていると百合子さんが床を尻尾で強く叩く。

鞭の様に長くしなやかな尻尾から繰り出される爆音がギルド内に響く。

一瞬で静まり返るギルド内。

百合子さんが作ってくれたチャンスを逃すわけにはいかないので口を開く。


「この女と俺の間で取引をした報酬だ。カツアゲなどという下らないことを俺はしない。これ以上いちゃもんをつけてくるなら俺の相棒が黙ってはいない。

餌になりたいというなら止めはしないがな」


百合子さんの頭を微笑みながら撫で、周囲の出方を窺うが皆一様に目を逸らしている。

これ以上ここにいても得策ではないなと思い百合子さんと外に出ることに。

何故か五月蠅い女も一緒について来た。

ある程度歩いてから振り向く。


「まだ何か用か?」


女はモジモジしながら俯いている。

洩れそうなのかと思いながら話し出すのを待っていると、女は顔を勢いよく地面に土下座した。


「今まで失礼な態度で接してしまってすみませんでした!今後は気を付けるので許してください!」


突然往来のど真ん中での土下座。

この世界にも土下座の文化があるのかと感心してしまう。

だが何故今ここでするんだろう。

どうしようか腕を組んで考えていると人ごみを掻き分け誰かが近づいてきた。


「お嬢様、このような所で謝罪されてはアンバー様を困らせしまうだけです」


アッカーソン商会の爺さん執事か。

爺さんに立たさればつの悪い表情をする女。

溜息をつき、爺さんは僕達に頭を下げる。


「お嬢様がご迷惑をおかけしました。申し訳ございません。今日の所はこれにて失礼いたします」


女を引きずって連れていく爺さんを見送り、僕と百合子さんは顔を見合わせる。

周囲はまだ僕達を見ているので場所を変えようと目で会話し、歩き出す。

噴水の広場には屋台がいくつかあり、そこで大猪の肉と野菜を焼いた小麦粉で包んだケバブのような物を買い近くの芝生に座り込む。

周囲に気付かれないように風魔法で防音障壁を張り、声が漏れないようにしておく。


「あの爺さんの現れるタイミングが良すぎたと思わない?」


安い割に中々美味しいケバブもどきを食べながら百合子さんに問いかける。


≪そうねぇ。あの爺さんが冒険者区画にいるのは少し不自然よね。あの女の父親は過保護そうだったから女に監視をつけていたのかしら?≫


百合子さんは一口でケバブもどきを食べ、2個目に尻尾を伸ばす。


「それはありそうだね。まぁ、今後はもう少し周りの目を気にしてみようか」


5個買ったケバブもどきはあっという間に無くなり、空を見上げ食休みをする。

僕は足早に流れていく雲を見てルゥナさんに拾われたあの日を思い出していた。

寄り添う百合子さんの温かみに触れながら。

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