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ルゥナさんが神樹の根を椅子にして座っている。
僕はギルさんに叱られながらも笑って短剣の訓練をしている。
訓練が終わるのを魔獣達が退屈そうに見ていて、その中には百合子さんもいた。
気が付くとルナエルフの人達が酒樽片手に現れ宴会が始まる。
皆がお酒を飲みながら笑っている。
魔獣達も楽しそうだ。
長老が裸踊りを始めて女衆が怒りの集団魔法を唱える。
慌てて男衆が長老を引きずり撤収し、女衆の怒りを収める。
僕はその場から少し離れた所でその光景を見ていた。
「アルバ、分かっているんだろう?」
ルゥナさんが僕の隣に立ち同じようにその光景を眺めていた。
分かってるよ、ルゥナさん。
分かっているけどもう少しだけ…あともう少しだけ…。
ゆっくり首を振り僕の額を人差し指で小突くルゥナさん。
「行きなさい、アルバ。私の愛おしい息子」
急激に覚醒していく意識。
あぁ…幸せな夢だった。
そんな余韻に浸ることすら出来ない激痛が僕の体を苛む。
指一本動かす事すら出来ず、ただ口から苦鳴が洩れる。
目をうっすら開けると木の下にいたはずなのに天井が見える。
あまり手入れがされていないのが所々木が腐り蜘蛛の巣が張っていることで分かる。
僕は床に直接寝かされているのか背中が固い。
視線を動かすと壁を背に書物のようなものを読んでいる人がいた。
見事な白髪だが、怪しい狐っぽいお面で目元は隠れてるが晒されている口元に皺がないので老人ではないと判断する。
高い位置で髪を結っているが元が長いのか床についている。
驚いたことにこの男は着流しのようなものを着ている。
だらしなく着流しを着ているので胸元がはだけまくり、引き締まった体が良く見え男だと分かった。
見れば見るほど怪しさ満点な男。
ジロジロ見過ぎていたからか、僕の視線に気づいた謎の男。
口がにんまり弧を描き、書物を床に置いて僕の傍に近づいてきた。
「気が付いたみたいやね。とりあえず水でも飲んどき」
僕の顔の上に手をかざす男。
待て、まさか…っ!
「我が手に発現せよー命の源の水よー」
すごい棒読みで呪文のようなものを唱えた瞬間顔面に降り注ぐ水。
「がぼぼっぼっぼ!」
飲むというか溺れさせられている。
どうにか状況を打破したくても体は痛みで動かない。
≪アタシのツレで遊ばないでくれるかしら?まだ意識が戻っただけで万全ていうわけじゃなさそうだし≫
呆れ交じりの百合子さんの声が頭に響く。
「あはーっ。ついついからかってしもたわ」
ケラケラ上機嫌に笑う謎の男はようやく水魔法を止めてくれ呼吸が出来るようになった。
顔だけでなく髪や服、果ては床まで水浸しだ。
男から視線を反対に向けると建物の入り口に百合子さんが口に大きな鹿のような獣を咥えて立っていた。
小さくどっこいしょと掛け声をかけ男が立ち上がる。
「百合子はん、後始末よろしゅう」
≪はっ!?アンタがやったんだからアンタがやりなさいよ!!≫
「わしは今からお食事の準備するんですー。百合子はんは後片付け、わし食事の準備。
かんっぺきな役割分担やん?」
≪そもそもアンタがアルバをからかったのが原因でしょうに。まぁいいわ。どうせアタシに料理なんてできないし≫
入口に鹿のような獣を置き、ため息つきながら僕の方に来る百合子さん。
百合子さんと入れ替わりに男は鹿のような獣を軽々と持ち上げ外に出ていった。
深くため息をつき風魔法を使い水を持ち上げ空中にまとめ始める百合子さんがちらりと僕を見た。
≪意識が戻ったようで良かったわ。状況が分からないでしょうから今から説明してあげるわ≫
そう言って僕が宝玉を飲み意識を失った後の出来事を語りだした。




