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「百合子さ〜ん、今日も来ちゃった。今日はどっかでお祭りがあるんだって。」
いつものようにコンビニ袋をぶら下げ、名もなき小さな公園を訪れる。
僕はベンチに深く腰掛け、コンビニ袋から缶詰を取り出し蓋を開ける。
すると、草陰から黒猫がゆっくりと現れる。
これが僕と百合子さんの交流の始まりの合図。
百合子さんが缶詰を食べてる間に撫でながら愚痴を聞いてもらう。
野良猫のはずなのに艶やかな毛艶が羨ましい。
僕の髪の毛なんて硬くてボサボサだ。
癒されながらゆったりとした時間が流れていく。
この時間が一番心安らぐ気がする。
ペット可物件だったら連れて帰れるのに。
「そこの君!こんな所で何をしているんだね!?」
公園の入り口付近から懐中電灯で僕等を照らす警察官。
祭りの開催で警察がいつもより多く見回りをしていたのだ。
突然の眩しい光に目がくらんでいると、光と声に驚いた百合子さんが公園の外に走り出した。
「百合子さん!そっちは!」
百合子さんの向かう先は車道。
「百合子さん!!」
僕は立ち上がり追い掛ける。
「こ、こら!逃げるのか!?」
警察も僕を追いかけ始める。
普段ならこの公園沿いの車道は車の通りも少ないのだが、今日は祭りが開催さてれおり交通渋滞を避ける車が多く走っていた。
パニックに陥ってる百合子さんには周囲が見えておらず走り続ける。
「危ない!!」
車道に飛び出た百合子さんを抱き抱えるように僕は車に跳ね飛ばされた。
衝撃で何度も道路の上を転がる僕と百合子さん。
痛みで意識が飛びそうになりつつも、百合子さんを自分の体で潰さぬように必死に守る。
何度か転がった末に勢いは落ちて仰向けで止まった。
「なぁぁぁん…」
百合子さんが心配そうに僕の頬を舐める。
"父さん、母さん…丈夫な体に産んでくれてありがとう…"
僕は百合子さんの無事を確認し、ゆっくりと意識を手放した。




