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もう大晦日ですね。今年は現場の工期が重なったり、私自身が現場代理人になって書類や写真整理に追われたりと忙しく更新が疎かになってしまいました。すみません(´・ω・`)
叫んで叫んで叫んで。
喉から血が出ても叫んで。
その内に声が掠れ、出なくなり。
叫ぶのを止めて、暴れて。
そこら辺に生えている木々に八つ当たりをして。
魔物が寄ってきたら斬って、刺して、突いて、千切って、燃やして、凍らせて。
自分の思うが儘に、衝動を解き放った。
息が切れて。
手足が重たくなって。
もう何もかもどうでもよくなって。
ずっと気絶したまま動かない百合子さんに寄り添って、瞼を閉じた。
このまま魔物に食われて死のうがどうでもいい…。
苦しい…。
呼吸が、出来ない…。
夢現の中もがいて暴れて、何とかかんとか顔の上に乗っているモノを退かす。
≪…ようやく起きたわね≫
気だるげな表情の百合子さんの顔のドアップで目が覚めた。
「…。」
気まずさで返す言葉が見当たらない。
百合子さんも気まずいのか何も言ってこない。
とりあえず起き上がり、周囲を見渡してみる。
もう夜らしく、周囲は暗い。
とりあえず光魔法で灯りをともしてみた。
周囲は不毛地帯。
草も木も1本も生えていない。
所々に飛び散っている血と臓物は魔物の物だろう。
百合子さんは周囲の地形が変わっていることについて何も言わず、ただ空を見ていた。
僕も百合子さんに倣って空を見上げてみる。
あの頃と変わらず月が二つ浮かんでいる。
その二つの月を彩る様に散らばっている星々。
「綺麗だなぁ…」
唇から言葉が零れた。
何時振りだろうか?
こんなにゆっくりと夜空を見ているのは。
≪…そうね、綺麗ね≫
百合子さんの声色には少し寂しさが乗っていた。
でも、それについても…襲ってきた件についても僕から何か言う気は起きなかった。
そんな権利は自分にはないと思ったからだ。
あいつ(マキシ)が間に入ってくれなかったら僕は僕の命を百合子さんの手で終わらせてた。
百合子さんはきっと自分自身の手で僕を殺めてしまったとなったら、きっと百合子さんは自分自身を許せず堕ちてしまっただろう。
人も亜人も魔獣も魔物も何もかも関係なく、動くモノ全てを憎むモノに。
「弱くてごめんなさい」
許しを請いているわけではない。
ただただ僕は、自分自身の弱さを夜空に呟いた。
呟いた僕の言葉を聞き逃すはずもない百合子さん。
耳をぴくぴくと動かし、尻尾を僕の体に巻き付ける。
≪私の方こそごめんなさいね…。過去の事と済ませたはずのことが、今更になってやってきて…八つ当たりしてしまったわ。…よりにもよってあんたにね≫
自分がした事が許せないかのように自嘲に似た口調。
静かに僕等は身を寄せ合い、懺悔するかのように互いに何があったのかを話した。
短い更新で恐縮ですが、皆様良いお年を!