第4話 由利香の習い事、と言うよりこれは趣味
椿が夏樹に泣きつかれて、久しく離れていたお茶(茶道)のお稽古を再開したのは、ついこの間のこと。
で、「由利香もどう?」と、お誘いしてもらったんだけど、最初はノリノリだったんだけど、よく考えてみれば先生が冬里って言う時点で、お稽古はパス!
だって、他の人はともかく、冬里が私相手に何もしてこない訳ないじゃない。で、私の次くらいに標的になるヤツのことを聞いてみる。
「夏樹はどう? 遊ばれてない?」
すると、椿は「え?」と、少し言いよどんで、そのあとちょっぴり可笑しそうに言う。
「ほとんど大丈夫。けど、たまーにね」
「ほら、やっぱり」
思った通りじゃない、と、勢い込んで言う私に、椿は苦笑い。
実は私も会社に入った頃は茶道習ってて、本当はお手前大好きなの。だから、先生が冬里じゃなきゃ喜んで参加したかもね。
でも、日々の楽しみ程度なら、椿先生で十分だもん。なので今は、気が向くと家で椿とお抹茶をたしなんでいる。夫婦で茶道なんて、ちょっと素敵? なーんてね。
そんな椿がはまっちゃったことがもう一つ。これは最初、私が好奇心に駆られて、いつものように椿を引っ張って見学に行ったのがそもそもの原因だから、なんとも言えないんだけど。
それはね。
あの鞍馬くんが、なんと! 剣術のお稽古を始めたって言うんだもん。
お稽古事ってだけでも、なんか鞍馬くんのイメージじゃないわよね。え? そうでもないって? まあいいじゃない。しかも剣術よ剣術。
冬里曰く、
「日々のたしなみって言いつつ、免許皆伝まで行っちゃうんだから、やっぱり才能あるんだよね」
ですって、免許皆伝ってなにそれ!
けど、「太陽月光流」という名の流儀は、古い歴史を持ちながらもかなりマイナーだったから、とっくにそんな流派はなくなったと思っていたそうよ。それがあるとき、隣の×市で道場を開くというチラシを目にしたことで、もう一度習ってみようと言う気持ちになったらしいの。
「えーと、ここ?」
なんか思っていたのと違う。
道場って言うから、古い家屋とか体育館みたいなところとかをイメージしてきたんだけど、そこは×市の中心街に立つ高層ビルの40階にあった。
「道場が高層ビルの上階なんて、予想外すぎるわね」
椿にだけこそっとつぶやいたつもりが、案内嬢には聞こえていたらしい。
「皆さまそうおっしゃられます。ですが、道場がどこにあるかは問題ではなくて、真面目に習うその心が大事かと」
上品に微笑んで言うその人の言葉が気になったので、ちょっと聞いてみる。
「あ、聞こえてましたか、すみません。でも、その言い方から察するに、もしかして貴女も習ってます?」
「あ……、はい。こちらの流派は、老若男女、年齢問わず習得していける剣術なので」
へえ、そうなんだ。
受付から道場へと続く廊下を歩いていると、奥の方からパシンパシンという音と、その合間にかけ声みたいなのが聞こえてきた。
案内されるままに扉の中を覗いてみると……。
なんと! 生徒とおぼしき男子女子、そして、おじさまおばさまに稽古をつけているのは、誰あろう鞍馬くんだった。
え? 鞍馬くん、ここには剣を習いに来てるんじゃないの?
これには椿も私もビックリ。
聞くところによると、あまりにも鞍馬くんが流派に詳しくて技にも精通してるもんだから、師範に問いただされて、仕方なく免許皆伝だって言っちゃって、あとはご覧の通り、なんですって。
私は鞍馬くんらしいって思っただけだったんだけど、どうやら椿はそうじゃなかったみたい。
「わ……、鞍馬さん、すごいね。なんかカッコイイ」
え?
ここへ来るまでは、私のおつきあいって言う姿勢だった椿が、凜とした姿勢で木刀を振るう鞍馬くんに魅せられちゃったみたい。
「なんかいいなあ、鞍馬さんが教える日に、習いに来ようかな」
ぼそっとつぶやく椿に、心の中で「ええっ?!」と叫んでしまった私だった。
そんなこんなで、会社勤めに加えて習い事を2つも抱え込んだ椿は、ここのところ日曜日もゆっくり出来ず。
一緒にお出掛けしたり遊びにも行けないもんだから、ちょっぴりストレスたまっちゃってたのよね。
今日も剣術の試合を見に行くと言う椿に、とうとう、と言うか、自分でもお子ちゃまだとわかりきってるんだけど、ワガママ爆発させてしまう。
「もう! 今日もお出掛けなの?! これじゃあ結婚前より一緒にいられないじゃない!ここんとこ映画もお出掛けも一人でばっかり。楽しくない! うー、このストレス、どうしてくれるのよ!」
「え? あ、え、あ、」
「なに? 椿は、え、と、あ、しか知らないの?」
「ごめん。そういえば」
「そういえばでしょ!」
「うん、反省する。ごめんね、寂しい思いをさせて」
「うう、わかればよろしい」
と言うわけで、今日の所は私が折れて、椿は試合を見に行き、その罪滅ぼし? に、今度私の大好きなカラオケに連れて行ってくれることになった。
なったんだけど。
「なんで? なんであんたたちまで来るのよ!」
どうやら私のワガママが嬉しかった? 椿が、夏樹にカラオケの話しをして、またそれがちょっぴりうらやましかった夏樹が、うっかり冬里に話しして、となると、そこで黙ってる冬里じゃないのは火を見るよりも明らかよね。
「だって、二人だけでカラオケオールナイト楽しもうなんて、ずるいじゃない?」
は? オールナイト? いつの間にそんな話しになってるのよまったく。
「オールナイトなんて言ってないわよ。私はただ椿とカラオケに行きたかっただけよ」
「へーえ。でーもさ、僕の知り合いに頼んだら、格安でワンフロア貸し切り、オールナイトでディナーつき、しかも全ドリンク飲み放題だって。もちろんアルコールもね」
「う!」
「もちろんカラオケは最新機器。本日リリースされたばかりの新曲もお楽しみ頂けます、だって」
「ぐぐ!」
両手を握りしめて悔しさをかみしめる私。
けど、それって、それってなんて魅力的……。
「わかったわよ! その話、乗ってやろうじゃないの!」
「由利香……」
「だって、だって、オールナイト貸し切りよ。しかもディナー、飲み放題付き! 歌い放題よお~。くやしい~」
そう言いながら椿の胸に顔を伏せて寄りかかる。
冬里は当然として、椿にもこの展開はわかってたらしい。ちょっとあきれながらも、冬里に向かってお願いしますと言う感じで頭を下げてみせた。
事の成り行きを見守っていた夏樹が、確認するように冬里に聞く。
「え? じゃあ、カラオケオールナイト、実行っすか?」
「うん❤」
セリフの後にハートマークつけた冬里の言葉に、「いよっしゃあー!」と、叫ぶ夏樹。
「私は行きません……」
と言いかけた鞍馬くんの言葉に、かぶせるように冬里が言う。
「シュウは強制参加だよ、ね?」
冬里の微笑みとウィンクの威力(それとも恐怖?)には勝てずと悟った鞍馬くんは、空を仰いでため息をついた。
当日。
「いらっしゃいませ」
「予約してあった紫水です」
冬里を先頭に、受付カウンター前にゾロゾロと集まるメンバー。
「紫水様、お待ちしておりました。本日は、……8名様でよろしいですね」
受付の人が私たちを見ながら言うんだけど、数字が合わないわよね、だってここにいるのはは5人のはず。
と、後ろを振り返ると。
「ええっ!? なんでヤオヨロズさんがいるの?!」
そこには、ヤオヨロズさんとニチリンさん、そしてなんと、シフォさんまでが立っていたのだ。
「よ、お招き痛み入るぜ」
「カラオケなんて久しぶりよ~」
「私までお招き頂いて、よろしかったのでしょうか」
思わず冬里に詰め寄ろうとしたんだけど、それを察した彼が先手をきる。
「まあまあ、部屋は広いんだからさ、5人じゃもったいないじゃない?」
ま、まあそうなんだけど。
でも、神様がカラオケぇ~?
あ、けど、ニチリンさんは久しぶりって、と言うことは、神様もカラオケなんて行くんだ! まあ何でもありよね、この際。
と言うことで、私たち8人はゾロゾロと大移動して部屋へと向かったのだった。
向かった先には、ワンフロアに大きな部屋が2つだけ。
そのひとつを覗くと、こっちはありきたりのカラオケルーム。
「ふうん、ここは昼間、会議室とかにも貸し出してるって言うから、何の変哲もないね」
うしろからのぞき込んだ冬里が言う。
で、もうひとつはね。
本格的大宴会ルーム、なんてふざけた名前がついてるそこは。
「わあ、すごーい!」
広い部屋にはステージありーの、スタンドマイクもありーの。大画面に最新機器。もちろん座りやすそうな、もっと言えば仮眠もOKのソファありーの!
「「こっちがいい!」」
夏樹と椿と3人で、声をそろえて思わず言っていた。
初めのうちは、夏樹とマイク取り合う勢いで歌いまくり、その合間に椿が、「ずるいぞ」と無理矢理割り込みし、皆の失笑を買っていたんだけど。
「失礼します」
と、ディナーが運ばれてきたあたりで、そう言えばお腹すいたな、と、私はしばし休憩に入る。
「あ、みんな飲み物が少なくなってるじゃない、持ってくるからオーダーしてよね」
「あ、じゃあ俺も行くよ」
椿と2人、部屋の外にあるドリンクカウンターへと向かう。
「ええっと、ヤオヨロズさんは……」
「夏樹は」
とか、確認しつつ2つのお盆に乗せた飲み物を持って、部屋へ戻ると、ちょうどヤオヨロズさんがステージに上がっていた。
「うわ、お上手なのね」
そう、ヤオヨロズさんもニチリンさんも、はたまたシフォさんも! 懐かしのメロディから最新曲まで、レパートリーあるわあるわ。しかもなんか上手なのよね。うーん、これは負けてられないわ!
それからしばらくはディナーに舌鼓を打ちつつ、順番に歌を披露して楽しんでいた。
とはいえ、鞍馬くんは強制参加させられてたから歌わないのはかまわないとして、言い出しっぺの冬里が一度もマイクを手にしていない事に気がついた。
「ねえ、冬里も歌いなさいよ」
「え? 僕?」
「そ、あんたがカラオケ行こうってここ予約したんでしょうが」
「そうだっけ? 僕は夏樹がうらやましそうにしてたからお節介しただけだよ?」
そんな風にまたはぐらかして、夏樹に「俺のせいっすかー?」とか言わせてる。
「ならいいわよ」
と、そこで話はおわったんだけど。
「あれ、これ誰が入れたのー?」
しばらくすると、聞き覚えのあるイントロが流れてくる。
それは、「アメージンググレイス」だった。誰が歌うんだろう。
と、冬里がおもむろに立ち上がって、ステージへと向かった。
――Amazing grace how sweet the sound――
冬里の歌声が流れてくると、皆が思わずしんと鎮まる。
すごい、なんて透明感のある素敵な声。
冬里ってこんなに歌上手だったんだ……。
私たちはそれこそ息をつくのも忘れたように、その歌に聴き入っていた。
そして歌い終わった後、ヤンヤの拍手を送る私たちに、当の本人はイタズラっぽい笑みでお辞儀をする。
「久しぶりね、冬里のこの歌」
「うむ、いつ聞いてもこればっかりは感動ものだな」
ぼそっとつぶやくおふたりの横では、感激屋の夏樹が涙ぐんでいたりなんかする。
「なによ冬里、歌、上手いんじゃない」
思わず肘鉄を食らわしたら、すました顔でひと言。
「だって僕のレパートリー、これだけだもん」
なーんて言ったあとは、そのセリフを忘れたようにガンガン歌い出したのはいつも通り。
そのうち夜も更けてくると、夏樹と椿と私のお子ちゃま3人は眠気を催してくる。
「あー、ちょっと仮眠!」
「じゃあ俺も」
「ふわあい、俺もー」
私を先頭に、3人は寝心地の良さそうなソファに倒れ込んだ。
「まったく、これからじゃない? ねえ、シュウ?」
「まあ、そう言わずに。眠りを妨げられると、由利香さんは恐ろしいですよ」
「あはは、言うねーシュウは」
すると、ゆったりとブランデーのグラスを傾けていたヤオヨロズさんが、鞍馬くんに言った。
「クラマも歌え、歌え」
すると、しばらく考えるようにてしいた鞍馬くんが、微笑みながら答えを返す。
「歌ってもよろしいですが、以前にお約束したことを思い出しました」
「ん? なんだっけな」
「もう一度、連れて行ってやると」
「あ!」
でね、私はとっくに夢の中だったんだけど。
夢の中で、あのいつもの、身体が宙に浮く感覚がやってきたの。
で、
「ううーん」
なぜかそんなタイミングで目が覚めてしまう。
あ、誰か歌ってる、何だろうこの曲、聞いたことがある~。
そう、それはね、ホルスト作曲の木星。
日本でも女性アーティストが歌詞をつけて歌っていた、とっても素敵で有名な曲。でも、今聞こえてくるのはすべて英語の、英語の……、?
うっそお! 鞍馬くんが歌ってる!
そうなの、なんと、あの鞍馬くんが、歌よ、うた!
思わず、がばっと飛び起きたかったんだけど、私は今、身体浮遊中。でね、歌にかぶせて、なぜか鞍馬くんとヤオヨロズさんのセリフが聞こえてくる。
「思い出した! 前におまえさんがこれを歌ったとき、木星に連れて行ってやったな!」
「はい。それで、その時に」
「また歌ってくれたら、連れてってやるよ、とか言っちまってたな」
「思い出して頂けましたか」
は? もくせい?
「はーい、僕も参加」
「ふわあ、木星なら俺も」
冬里はともかく、今までグッスリだった夏樹まで起き出す始末。
「なに? 木星に行くの?」
思わず声が出てしまった私に、ヤオヨロズさんが答える。
「ああ、あんたも連れてってやるよ」
え? それならと思わず叫んでいた。
「だったら。だったら椿も連れて行ってあげて! 夢にしていいから!」
すると、ちょっとポカンとしていたヤオヨロズさんが、思わずニヤリとして言う。
「俺は初めからそのつもりだったぜぇ」
鞍馬くんの歌は続いている。
ホルストの木星は、英国の愛国歌として、昔からかの国で歌われているんですって。鞍馬くんが歌っているのはそちらの方の歌詞。だからすべて英語だったのね。
ちょうど良い感じの高さで、冬里とはまた違った感じの透き通った声。
そんな中。
「おし、皆、いったん目を閉じろ」
と、ヤオヨロズさんが言うので、私たちはよい子で目を閉じた。すると、ぐるん、と一回転するような感じがして、
「もういいぜえ」
との声に、そおっと目を開ける。
すると!
目の前に、どおーーーん! と音がしそうなほど巨大な何かが迫っている!
「うわ! すげえ!」
「木星?!」
「なにこの大きさ!」
そうなのそうなの。
もう、目に入りきらないほどの大きさなの! でも、あのおなじみの赤い目みたいなの(大赤斑というらしい)と、縞模様は本とかに載ってるとおり。
「どーだ、でかいだろう。さて、これから中に入るぜえ」
なぜか楽しそうなヤオヨロズさんの声の後、私たちは雲って言うのか、霧に包まれた木星の中にいた。
どおーん、どおーん
ときおり、雷のような音がするその内部は、ほとんどガスで何も見えないんだけど。
「なんだか、居心地がいいね」
夢だと思っている椿が言う。でも、とっても嬉しそう。
「ほんと、包み込まれてるって感じね、すごく優しくて。でも、雷がすごいのね」
そうなの、なんだかふわっふわのお布団にくるみ込まれてるみたいに、その霧はとっても優しくて。で、雷だと思っていた音は、どうやらそうじゃなかったみたい。
「あの音はね、外から飛んできた小惑星や隕石を吸い込んでる音」
「え?」
ニチリンさんが顔を上げて言うので、思わず同じように上を仰ぎ見る。
「木星はね、太陽系の外から飛んで来る巨大な隕石やなんかを受け止めてくれているの。そのおかげで、地球を含む内側の惑星が護られているのよ」
「ああ、地球の何倍もあるような隕石が飛んでくるって言うのは、聞いたことがあります」
椿が言うのに、微笑みながら頷くニチリンさん。
「そう、それをね、木星の重力が引き寄せたり、木星自体が盾になったりして他へ行かないようにしてくれるの。本当に優しい子なの、木星は」
そう言いながら、なんとも言えない癒やしのまなざしでニチリンさんはまた上の方を見上げていた。
地球やその他の惑星を護る、木星。
私はなぜだか切ない気持ちになって、思わず椿の腕に腕を絡める。
また木星が聞こえてくる。けれど今度は歌詞のない美しい音の連なり。
「だがな、惑星は皆、優しいんだ。もちろん、あんたたちがいる地球も」
それにかぶせて、ヤオヨロズさんの声も聞こえてきた。
「あんたたちの好き勝手を、地球は今でも我慢して受け止めてくれている。けど、もうそろそろ気づいてやってくれよ。このまま行くと、本当にヤバいんだぜ。ま、これは、あんたたち以外の、地球のヤツらに言う事なんだけどな。まずは話のわかるあんたたちに」
ヤオヨロズさんの声に、地球へのいとおしさがどんどんこみ上げてくる。そうよね、私たち、もっと考えなきゃ、などと思っていると、椿と私は、また猛烈な眠気に襲われる。
「あ、れ」
「なんだか、また、ねむ……」
つぶやいたのと同時に、私たちは深い眠りに落ちていった。
木星が、さようならをするように少しずつ回転して、どんどん離れていく――
ふっと意識が戻ってくると、なんだか可愛い音楽が鳴っている。
♪キラキラひかる、おそらのほしよ♪
何これ、キラキラ星? のそっと起きてよく見ると、ステージには、冬里、シフォさん、その上なんとニチリンさんのお3人が、お遊戯しながら歌っている。
「アハ、かーわいいー」
「ほら、由利香も歌って踊って」
引っ張り上げられた私に続いて椿が、そのあと「俺も!」と、夏樹がステージに上がり、狭い台の上で押し合いへし合いながら、大騒ぎするのだった。
そんな中、楽しそうに踊りながら椿がぼそっと言う。
「あーでも、なんか良い夢見たよ」
「へえ、椿もか、俺もすっげえ夢見たぜー」
「私もー」
手を上げて言う。今行って来た木星に、その優しさに、そして改めて地球の優しさを再認識しながら。
でね、オールナイト部屋は、午前6時でおしまい。お客様は有無を言わさず、とっとと追い出される仕組みになってる。
「オーラスは、やっぱり由利香?」
と聞いてくる冬里に、ハタとひらめいた。
ニッポンの朝と言えば、やっぱりこれっしょ!
「ラジオ体操第1~」
やけにすました(でも、すごく上手な!)鞍馬くんの号令に、全員強制的に参加してのラジオ体操で、カラオケはとっても楽しく幕を閉じたのだった。
今ごろになって空の真上に昇った半月が、朝焼けに頬を薄桃色に染めて、私たちの馬鹿騒ぎをあきずに眺めていた。
あ、でね、今日は月曜日なんだけど、何かの振替休日で、椿と私は、お・や・す・み。そこの所は抜かりないわよ~。
でもね。
従業員の皆さまにはお疲れの所申し訳ありませんが、『はるぶすと』は本日も、通常通り営業いたします。
今回は習い事ではなく、由利香の趣味全開! のカラオケ話でした。
途中、壮大で真面目なお話しになって、どうなるのかと思いきや、やはり彼らは彼らでしたね。さて、まだ続く、かな。どうぞのんびりとお楽しみに。