観覧車。めぐる時間をお楽しみください。
目が、覚めた。
頬に当たる、冷たい感触。
まださっぱりとしない脳を働かせ、目を擦る。
それから、床に手をついて立ち上がった。
狭い空間。
立ち上がると、そんな狭い空間が、ぐらりと揺れる。
窓があった。
そこから、外を覗く。
遠くの方に、明かりが見えた。
ここは、どこだろう。
暗闇のなか。
少し離れた場所に、何かの建物を見つけた。
それが複数。
他の建物とは明らかに違うのがわかる。
遊具……? と思った。
けれど、真下を見てようやく、ここがどこなのかがわかる。
自分の乗っている空間__ゴンドラに続き、同じようにぐるぐるとまわるゴンドラ。
__ここは、観覧車だ。
私は、観覧車のなかにいた。
もうすぐで地上へ着く。
どうして私はこんなところで眠っていたのだろう。
間違いにも程があるんじゃないかと自分に言い、地上へ到着するのを待つ。
鞄か何かを持ってきていると思ったが、それがない。
違和感に首をかしげていると、地上はすぐに近くに来た。
「……あ、れれ……」
地上へ着いた。
そのはずなのに、何故かまた、ゴンドラは上へ上っていく。
扉は開かないし、止まりもしない。
なんで……どうして……
永遠に、開かない。
どれだけまわっても。
その扉は開かない。
『思い出せなかったから__』
声が。
聞こえたような、気がした。
「出して……」
~Fin~
ここまでお付きあいいただき、有り難うございましたm(_ _)m
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