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大切なこと

俺は上野さんにそんなことがあったとも知らず歌の練習に誘ったのか。

「あのさ上野さん」

「なん…ですか…?」

彼女は涙を拭きながらこっちを向いた。

「えっと…何で俺の誘いをオッケーしてくれたの?歌えないって自分で分かってるのに」

「それは…聞きたいって言われたからです」

確かに俺は上野さんの歌が聞きたいって素直に思ったことを言ったけど。

「歌を聞きたいって言われたの初めてで…それで嬉しくて…もしかしたらって思ってんですけど…やっぱり、ダメでした…」

彼女はまた泣きそうな顔で笑った。

俺はその笑顔を見るのがつらくて苦しくなった。


あの話を聞いてから練習をいったん止めることにした。

どれだけ練習しても彼女の問題を解決しなければ彼女が歌を歌うのは無理と判断したからだ。

俺はどうしたらまた彼女が歌を歌えるようになるか考えた。

俺なりに考えてまだ答えはまとまってないけどこのままだと何も進展しないからとりあえず俺は思っていることを彼女に言うことにした。


久しぶりに上野さんと話すな。

緊張するな。

俺はそう思いながら朝二人きりになれる時間に上野さんに話しかけた。

「上野さんちょっといいかな」

上野さんは掃除の手を止め俺のほうを見た。

「……何ですか?」

「あのさ練習再開しない?今日放課後屋上で」

「でも……」

「俺待ってるから」

俺はそう言って自分の席に座った。半分くらいやけくそであきらめ半分で言ったから彼女の返事も聞かないまま話を終わらせてしまったと俺は席について後悔する。今更どうすることもできないけど俺はただ放課後になるのを待つだけだった。


放課後、俺は屋上で待っていた。彼女が絶対に来るという保証はないし来ないという保証もないけれどそれでも俺は上野さんが来たくれると信じて待っていた。

俺が屋上で待って数分が経った。

すると屋上ドアが開いた。

「お待たせしてしまってすみません」

彼女は息を切らしながらそう言った。

「そんなに待ってないから気にしないで」

「それならよかったです。あっあの宮内さんはいないんですか?」

「ああ。あいつは誘ったんだけど用事あるからって言われて断られた」

「そうなんですね。えっと…練習始めましょうか」

「あのさ練習の前にちょっと話があるんだけど」

「はい…何でしょうか?」

「あの話の後、練習が中断している間に考えたんだ。どうしたら上野さんがまた歌えるようになるかって。それでまだ答えがうまくまとまってないけど俺が自分なりに考えて見つけた答えを聞いてほしい」

「はい」

彼女はすごい真剣なまなざしでれを見つめた。



「えっと俺はそんなに歌が上手いわけじゃないし、歌を歌う楽しさとかもよくわかんないし誰のために歌ってるとかもよくわかんないから上野さんがそういうの考えてるのすごいと思う。でも…考えるのも大切だけど考えるより先にその難しいこととか全部忘れて、自分が思いっきり楽しく歌ってから考えたりするのはどうかなって思って」

「自分が…楽しく」

「そう。まずは楽しむことが大事かなって思って。それに俺は上野さんが楽しそうに歌ってるところ見たいなっておもうし…。あはは、まあこれは俺の個人的感情だから気にしなくてもいいんだけど」

俺は恥ずかしくなって少し下を向いたが上野さんの様子が気になって少し顔を上げる。

すると上野さんも下を向いていた。

「あっあの上野さんどうしたの?体調でも悪いの?」

「いえ、違います…。なんか今まで自分が考えてきたことが馬鹿みたいになってちっぽけなことだなって思って…答えはすぐ近くにあったんですね」

上野さんははにかみ笑顔でそう言った。

そして

「私、今なら歌える気がします」

「ほんと!?」

「はい!」

そういって上野さんは歌いだした。


その歌声はまるで天使のようで大海原で海を渡る男たちを惑わせるローレライのようだった。

「ふー。あのー、どう…でしたか……?」

俺はあまりにも美しいその歌声に魅了された。

「あっ、えっと…あのっ、その…凄く…綺麗で上手だった。なにより上野さんが楽しそうだった!!」

「本当ですか!?」

「うん!!ほんと言葉にできないくらいすごかった」

「ふふっ、ありがとう、ございます」


それから上野さんは音楽の授業に出るようになりテストとかでもよく先生に褒められたりしてクラスの人に歌のコツとかを聞かれたりして上野さんがよく笑うようになった。


俺と上野さんの関係はというと…結城に言われて勇気を出して告白したらオッケーがでて上野さんと付き合うことになった。結城に幸せ者だと言われた。まあ確かに俺は幸せ者なのかもしれない。

上野さんは優しいし可愛いしすごくいい子だから俺はこんなにも素敵な子と恋人という関係になれて幸せだと思っている。

だが最近、俺には悩みがある。なんか恥ずかしくて二人きりの時でも上野さんと呼んでしまう。

付き合ってから少しして上野さんにこんなことを言われた。


「いつになったら私の事、名前で呼んでくれるの?」

上野さんは少しほっぺたをぷくっとさせながらそう言った。

俺的にはその姿が見れてるだけで幸せなんだけど…やっぱり恋人だし名前で呼んだほうがいいのかなと思った。

俺はその時を乗り切るために勇気を振り絞ってこう言った。

「えっえっと…は、春香」

俺はその後なんて言ったらいいかわからなくて下を向いたけどやっぱり上野さんの反応が気になって上野さんのほうを見る。上野さんは顔を赤くしたまま固まっていた。

「うっ上野さん!?大丈夫?」

「だだだだだ大丈夫ですっ!!」

「そう…良かった」

「その…突然名前を呼ばれたので、びっくりして…」

「そ。そっか突然だったもんな。ごめん」

「いえ、気にしないでこれからも名前で呼んでくれると嬉しいな…なんて……」

上野さんは上目遣いで俺にそう言ってきた。

まったく上野さんは一つ一つが可愛いすぎる。

やっぱり俺は幸せ者だ。


「うん。分かったよ。春香」

かなり長い間更新が止まってしまって申し訳ないです!!ごめんなさい。

これからはペースを上げて投稿する予定です。


今回は、春香ちゃんが歌を歌えるようになる話とその後の話でした。なんか自分で書いていてこの二人ふわふわしてるなって思っていました。


次は二人目の歌姫ということで春香ちゃんとはまた違った子が登場します!!


ということでここまで読んでくださってありがとうございます!!

二人目の歌姫ちゃんの話もできるだけ早く投稿できたらなっと思っています

今回はこの辺で、ありがとうございました!!

それではまた。

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