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prologue
※この作品には多数のパロネタや主人公のメタ発言が含まれます
私は、悲しい謌とは水面に波紋が広がるような……そんな静かさを纏わせながら謌うモノだと思っていた。
だから、彼女の謌を聴いたその時は驚いた。
悲しみを隠そうともせずに大粒の雫を溢れ出させながら、まるで獣のように感情をむき出しにして叫び謌う姿を見た。
髪を振り乱し腹の底から吐き出す歌声。
それはまるで、気高い獅子のような咆哮で。
そして彼女の姿を私は──美しい、と。
ありきたりな言葉しか出てこなかった。
きっと私は忘れないだろう。
月に照らされたダークブラウンの、触れたらきっと柔らかいのであろうその長い髪も。
長い睫毛が影を作る、血に濡れたかのようなその紅い眼も。
その美しい叫びも。
私の脳裏にしっかりと焼き付いて、永遠に離れないだろう……。
──それは、遺物として。
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友人のSchnee120が表紙絵の当摩君を描いてくれました。
ありがとうございます!
他のキャラの表紙も描いてくれるそうなので楽しみに待ってます(ゲス顔)