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緋の扉  作者: 緋龍
彼女、あるいは彼等の極めて通常な日常
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7話

「では、行ってまいります。エル、マール、姫様のことお願いします」


「お任せくださいませ!」


「ウム」


「気をつけてね、ライカ」


 夜一の鐘が鳴って四半刻ほど過ぎたころ。ライカは城下へと馬を走らせる。


 今のライカは普段の姿とはかけ離れた姿をしていた。夜の酒場、ましてや人を尾行する可能性もあるのだから当然のことだ。


 白いシャツに袖のない茶色のベスト、下は黒の長いズボンで膝下まである皮製の長靴を履いている。つまり男装していた。普段は結いあげている銀色の長い髪も、黒く染め首の後ろで一つに纏めており、全くの別人に見える。


 この変装も「闇」にいる間に覚えさせられた技術の内の一つだ。


 他にも様々な技や技術を修得しているが、フェリシアの傍にいるようになってから一番必要になったのは、暗器を上手く身体に隠しておく方法だ。侍女が武装するなど普通は考えられない話なのだが、ライカは普通の侍女ではない。いつでも瞬時に相手の息の根を止めることが可能なように、常に武器を持ち歩いている。もちろん今現在もだ。 


 大通りと呼ばれる城から城下に真っ直ぐ続く道をしばらく走り、途中で何度か曲がると目的の場所に着いた。夜なので人通りも少なく、容易に馬を走らせることができた。

 

 建物には看板が掲げられており、「妖精の住む宿」と書かれている。この宿の一階でキールが何でも屋をしているのだ。


 ライカは馬から降り、宿屋の横にいる馬番に馬を預けてから中に入った。


 中に入るとすぐに辺りを見回し、目的の人物を見つけるとつかつかと歩み寄っていく。


「こんばんは、キール」


 呼びかけられた男は、ぱっと声のしたほうに振り返る。振り返った男はマールに良く似た顔をしており、ライカを見つけると何とも言えない表情をした。


「こんばんは。……えっと、ライカさんですよ、ね?」


 キールは恐る恐る確かめるようにライカに挨拶を返した。


「そうです。でも、この姿のときはライルと呼んで下さいと前にも言ったはずですが」


「すっ、すいません。次から気をつけるっす。でも普段の姿と全然違うからつい確かめてしまうんすよね」


「あまり変わらなかったら変装する意味がないでしょう」


 キールの言葉に少しだけ呆れながらライカが答える。 

 

「ははっ、それもそうっすよね。さすがライ、ルさんっす!」


 何がさすがなのか全くわからないが、キールはマール同様ライカ至上主義なので気にしてはいけない。


「それで、例の男は見つかりましたか?」


 キールの言葉には何の反応もせず、ライカが本題に入る。


「あ、はいそうでした。さっき手に入れた情報なんすけど、今日は「一華いちはな」に来てるみたいっす。「二葉ふたよう」「三蕾さんつぼみ」には昨日と一昨日現れてたから、今日は「一華」じゃないかと思ってたんすけど、大当たりだったっす!」


 「一華」「二葉」「三蕾」は城下の三大酒場と言われているところだ。それぞれに看板娘がおり、どの酒場も連日繁盛している。


 大きな酒場であればさほど目立つことはないと思ったのかもしれない。


「それは捜す手間が省けて助かりました。どんな男かはわかりますか」

「えーっとですね、聞いたところによると「女性10人がその男を見たら10人中7人が男前と答える顔」みたいっす」


「何ですか、そのわかりやすそうでわかりにくい例えは」


「実際にその男を見た人がそう言ったんすよー。あ、あと城下で働く人間には見えなかったとも言ってましたね」


「わかりました。「一華」に行って実際に見てみればわかるでしょう。馬番に預けてある馬をお願いします。後ほどで取りに来ますので。キール、ご苦労さまでした」


 ライカがねぎらいの言葉をかけながら、これをどうぞとキールに小さな皮袋を渡す。それをキールが嬉しそうに受け取る。中には銀貨が10枚ほど入っていた。


 大人が一日働いて得られるお金が、多くて銅貨50枚ほどなのでかなりの金額といえよう。


「いつもありがとうございます! また何でも言って下さい。俺ライカさんのためなら何でもやるっすから!」


 もしもキールにエルのような尻尾が生えていたら、引きちぎれんばかりの勢いで振っているのが見れたことだろう。


「その気持ちは嬉しく思いますし、またお願いすると思いますが、あまり危険なことはしないで下さい。マールに心配をかけないよう気をつけて下さいね。それと、ライルと呼べと先程言ったばかりなのですが」

 

 最初はライルさんが俺の心配をしてくれてる!と感激していたキールだが、最後の言葉を聞いてキールの顔が引きつった。


 「ひぃぃぃっ、すいませんっすっ!!」


 こんな調子で何でも屋なんて大丈夫なのでしょうか。少し頭が痛くなったライカだった。


  

 

お金について。


銅貨50枚で二分の一銀貨1枚

銅貨100枚で銀貨1枚

銀貨50枚で二分の一金貨1枚

銀貨100枚で金貨1枚

城下の食堂で銅貨5~7枚くらい出せばお腹いっぱい食べれる


こんな感じです。

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