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緋の扉  作者: 緋龍
彼女、あるいは彼等の何とか通常であろうとする日常
48/61

44話

自分の表現力の足りなさが恨めしい!少しでも緊迫した雰囲気が読者の皆様に伝わればよいのですが……。


活動報告にも書きましたが、第一部の修正作業が終わりました。9話に一場面追加してますので、よろしければお読みください。物語の流れに変更はありませんので読まなくても全然問題はないです。

 セアルグは高く跳んでライカに迫りながら指弾を放ってくる。


 それをライカは後ろに跳んでかわしたが、セアルグはそれを読んでいたようで着地と同時に一気に間合いを詰めてきた!


 ライカが今手にしている暗器はとても小さい剣の形をしており、接近戦にはむいていない。必然的に防御にまわってしまう。


 「動きが鈍くなったんじゃねえか?そんなんじゃすぐに殺られちまうぜ!!」


 セアルグは素早い蹴りを繰り出してくる。かれは指弾の遣い手だが、肉弾戦も得意としていた。ライカも「闇」にいたとき格闘術を教えてもらったことがあった。


 「くっ!」


 ライカは何とか避けてはいたが、反撃できる隙を見いだせずにいた。


 「この10年、俺はあることだけを考えて生きてきた!国へ復讐することだけをな!!それなのに何故お前は国に仕えている!?俺たちを、「闇」を殺した国に!!!」


 セアルグはそう叫んで強烈な蹴りを放つ!ライカは避けきれずに腕を交差させて蹴りを受けたが、勢いを殺しきれずに後ろへ吹き飛ばされ岩山に激突した。


 「ライカッ!」


 二人の戦いに手出しするべきではないと剣を抜いたまま動かなかったダレスが、ライカに駆け寄ろうとする。


 「おおっと、騎士さんよ。動くんじゃねえぜ。これは俺たちの戦いなんだからよ!そうだろライカ!」


 「……ダレス様、私は大丈夫でございます」


 岩山に激突したライカは地面に片膝をついたが、すぐに立ち上った。どうやら受け身をとっていたようで、ぱっと見た感じ外傷はないようにみえる。


 ダレスは表情こそ変えなかったが、内心安堵したのは間違いない。その証拠に溜息のような短い息をふうと吐きだす。一対一の戦いに加わることは騎士の理念に反するということはわかっているし、普段なら勝敗がつくまで黙って見届けるのは容易なことなのだが、この戦いにおいてはかなり理性を保つ努力をしなければならなかった。本当は今すぐセアルグという男に斬りかかりたいのだ。


 「ふんっ、全く鈍ってるわけでもないようだな。本気で蹴りをいれたんだが」


 さして面白くもなさそうにセアルグが言う。


 「それで、私を許せないというわけですか」


 再び構えの姿勢をとりながら、ライカは静かな口調で問いかけた。


 「さっき10年間復讐だけを考えて生きてきたって言ったがよ、ただ復讐心を持ち続けるってことは簡単なことじゃねえ。正直そんなこと忘れて新しい人生を…って考えたこともあったさ。でもよ、俺はどうしても復讐することを諦めきれなかった…!なぜだかわかるか!?」


 セアルグがライカに向かって叫ぶ。怒り、そしてなぜか悲しみがその声からは感じられた。


 「何故…ですか」


 「お前だよ、セーレ!!お前を殺したからさ!!国は「闇」は一人残らず殲滅したと発表した。もちろん俺はそれを信じなかった。傷がある程度回復して動けるようになると王都中を捜しまわったさ。何日も何日も、閉じかけた傷がまた開いてもな!!だがお前は見つからなかった」


 それは当然だろう。その時ライカはフェリシアに助けられて城にいたのだから。


 「俺は国を出ることにした。生きていることが知れればまた騎士に追われるのは自明だったからな。それからのことはさっき言ったとおりさ。傭兵や護衛をしながら復讐だけを考えて生きてきた。それだけが俺の生きる目的だったんだ!お前を奪った憎い国。許せるわけがないだろう」


 「セアルグ…」


 ライカは戸惑いを隠せなかった。まさかセアルグがこれほど自分のことを想っていてくれていたとは。「闇」にいたころ唯一信頼していた存在。そう思っていたのはライカだけではなかったのだ。


 「10年かけてローディスに不満を持つ連中を徐々に集めた俺は、ついに復讐を果たすときが来たと王都に戻ってきた。二月ふたつき前のことだ。王都の変わり様を見るために城下を歩いていた俺はそこで信じられないものを目にした。……お前だ。男装していたが俺にはすぐわかった」


 二月前といえば城下で騎士の偵察訓練をしていたころだ。


 「死んだと思っていたお前が生きていたことに俺は喜んだよ。尾行されていたから誰かに狙われているのかと思った俺は、お前にも気づかれないように後をつけた。その後は驚きの連続だったぜ。お前が城に入って行って、そこにいた騎士と親しげに話していたんだからな!」


 まさか尾行されていたとは…。騎士のことに気を取られ過ぎていたのかもしれないと、ライカは気付かなかったことを悔やんだ。


 「そいつらは俺やお前を殺そうとしたんだぜ!?」


 セアルグはダレスを睨みつける。ダレスは何も言わなかった。何を言っても彼の耳には届かないだろうと思ったからだ。


 「この二月の間、お前が生きていたと知った喜びは絶望に、そして怒りへと変わっていった!お前にはわからないだろう!?10年、心の支えにしてきたものに裏切られた俺の気持ちが!!俺の怒りが!!!」


 「セアルグ…私は……」


 ライカも心の中で何度も葛藤してきた。命を救ってくれたフェリシアを強く責めた。何故自分たちが…と。だが、自分たちは間違っていたのだ。「闇」は存在してはいけなかったのだと今ならわかる。それを教えてくれたのはフェリシアであり「闇」殲滅の命を下したレヴァイアだ。


 「俺は復讐すると決めたんだ…!!俺の心の支えだったセーレはもういない…。ライカ、お前は国に仕える人間!だから殺す!!」


 死ねええええっっ!!セアルグが叫びながら向かってくるが、ライカは彼が泣いているように見えた。


 だから………

 


 

セアルグさんのセリフを書いてて泣きそうになってしまいました(馬鹿

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