15話
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「報告は以上になります」
あれから、庭園に戻ってきたマールも含めて今後のことを話し合った後、いささか精神的な疲れを感じながらライカはダレスの執務室に戻ってきていた。
「フェリシア様が来られる」
「はい。もちろん森の中に入ることはございません。…騎士の方々にご迷惑をかけるようなことはないかと」
…多分。と心の中で付け加えた。
「いや、「戦の護」を守ることは騎士にとって名誉。問題ない」
「ありがとうございます。姫様もお喜びになります」
ダレスがあっさりと承諾したことに、ライカは安堵した。もしかしたら反対されるかもと思っていたのだ。
「明日から森に」
「畏まりました。本日はいかが致しましょう」
「鍛練場へ行く」
それだけ言うとダレスは椅子から立ち上り、机の後ろの窓に立てかけていた剣を取って扉に向かって歩き出した。その剣はライカの身長ほどもあり、幅も普通の剣の3倍ほどあった。重さも相当なものだろうそれは、おそらくダレス以外に扱えるものはいないと思えた。
「お供致します」
何も言われていないがおそらく一緒に来いということなのだろう。
ライカはダレスの後ろにつき従い、鍛練場に向かう。近くに立ってみてわかったが、ダレスはかなり背が高く、女性の中ではかなり背が高いライカでも軽く見上げるほどだった。
鍛練場に着くと、多くの騎士が打ち合いをしていた。剣と剣がぶつかり合う金属音があちこちから聞こえ、砂埃が舞っている。
騎士たちの無駄のない洗練された動きをじっと見ていたライカだったが、彼女たちに気がついた一人の騎士が近づいて来た。
「団長、いらしたのですか」
「ああ」
近づいてきた騎士は青い髪に黒い眼をしており、落ち着いた雰囲気を纏った彼は、おそらくダレスより年上だろう。
「団長がいると皆のやる気が違うので助かります。それで、こちらの方は?」
ライカのことを興味深げに聞いてくる。騎士以外の人間は基本的に鍛練場に入ることができないので、当然のことだろう。
「ライルだ」
一言で終わった。説明不足すぎるので、ライカが補足の自己紹介をする。
「ライルと申します。本日よりしばらくの間、ダレス様の従者をさせていただくことになりました」
「団長の従者ですか…。それはまた突然ですね」
「陛下の戯れだ」
実はダレスがレヴァイアに頼んでいたことなど知る由もないライカは、戯れという言葉に素直に納得していた。
「そうですか。陛下は時々突拍子もないことをおっしゃられますからね…。あ、自己紹介がまだでした。私、第三騎士団副団長のリューグ・フレイエといいます」
「フレイエ副団長様ですね。よろしくお願い致します」
ライカはフェリシアの傍にいるときに、彼とは何度か会ったことがあった。直接話すのはこれが初めてだったが、物腰穏やかで丁寧な話し方をする人だというのが彼に対して持っていた印象だった。それは従者に対しても変わらないようだと、ライカは感心した。
「ええ、よろしく。ですが、様はつけなくていいですからね」
「わかりました、フレイエ副団長」
「ええ、それでお願いします。では、今日は騎士たちの相手はなさらないので?」
前半はライカに、後半はダレスに対しての発言だ。
「いや…相手を」
『は……?』
ダレスの視線はライカに向けられていた。
「私ですか?」
「本気で言ってるんですか?…いえ、団長が冗談を言う人ではないというのはよくわかってますが。それにしても、無茶すぎませんか。彼、剣も携えてないじゃないですか」
確かにライカは帯剣していない。
「お前の剣を貸せ」
「そういう問題じゃないでしょう。ほら、ライルも何か言いなさい」
「申し訳ありませんが、剣をお借りしてもよろしいでしょうか。フレイエ副団長」
「あなたまで何を言い出すんですか!団長の強さを知らないわけではないでしょう」
おそらく今回の人選について本当にライカに任せてもよいのか、自分で判断したいのだろう。そう思ったライカは、ダレスの申し出を受けることにした。このまま話をしてもダレスが自分の意見を覆すとは、到底思えなかったというのもあったが。
「早くしろ」
「・・・・・・・・・わかりました」
過去の経験から、何を言っても無駄だと悟ったフレイエは腰に帯びていた剣をライカに渡した。
「ありがとうございます」
受け取ったライカは剣を鞘から抜き、軽く振って重さを確かめる。
(少し重たいですが、なんとかなるでしょう)
「気をつけてください。団長は手加減というものをあまり知らない方ですから」
「わかりました」
ダレスが鍛練場の奥にある、誰も使っていない場所(ライカが後からフレイエに聞いたところ、団長専用の場所で、騎士たちの間では臨死体験場と呼ばれているらしい)に向かって歩いて行くので、ライカも後を追った。
いろいろつっこみどころがあるかと思いますが、広い心で読んで下さると嬉しいです。




