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独活山 芹 (うどやま せり)は美しい女だ。

見た目や性格、行動で周りを惹きつけ、さらに頭脳明晰であれば足りないものはないような人間。

 家族を除いた人間関係には特に困らず、富は多いとは言えないが少なからず、安定していた。


そんな彼女の人生を狂わせたのは1人の男だった。


 男、木之下は芹と同じ大学に通っていた同級生で今まで出来たことのないタイプの恋人だった。

 一人では何も出来ないような人間で芹の世話焼きな性格が刺激され、まるで洗脳でもされたように沈んでいき、家族から与えられなかった愛情を求めるように追いかけ続けた。

 だが木之下は遠くをボーっと遠くを見つめたような顔をして、ただ芹とは同じベッドに入り一夜を共にするだけの関係。そんな部分を芹はさらに追いかけ続けた。


きっと木之下も愛を与え続ければ同等の量で愛情を返してくれるはず


追いかけて、追いかけて...やっと追いついた頃に、木之下は愛情では無く金だけを持っている女を選んだ。


そこにあったのは失望と疑問。

金とは愛よりも重く美しく幸せなのだろうか?

分からない、分からないまま。芹は彼を恨むこともできず深い眠りについた。





-----------------------------------





愛を求めすぎた人間は馬鹿になる。


 日光を反射し、美しく輝いたように見える瞳を持った彼女、芹は真剣な表情をしてカーテンの隙間から空を眺める。


 芹が次に目覚めた時には高校1年生の春になっている事に気が付いた。

幽霊だとか怪奇現象だとか、そういう非現実的な物を信じない芹にとって現在の状況は困惑を重ねに重ね、もはや冷静だった。

 今までの出来事は夢だったのか?

現状、その方が精神的に余裕ができるが木之下と出会ったことを夢だったの一言で片付けたくないほどにはまだ好意を抱いているようだ。

 

 芹は少し考えた後、鏡を見る。


「非現実なことも信じざるおえないな。」

 

首に付く鬱血の数々を見るに木之下がつけたものに間違い無いだろう。

 それが夢では無かったことを際立て、また安心を覚える。


きっと私はまだ木之下に愛されたいんだろうな...


自分を散々変えてしまった恨むべき存在をまた求めてしまう事に後悔はなかった。

むしろやり直そう。そう決意した。


 木之下を追いかけ続けた芹の人生を客観的に振り返ると愛を求めすぎて馬鹿になっていたな、と気づく。

 では次は冷静になって行動しよう。


全ては彼を手に入れるため


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