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デイリーミッション

はじめて小説を書かせていただきました。正直自信がないです。何かやってみたい。そう思ったから書きます。1話は恋愛要素も喧嘩要素もありませんが2話以降でてきます。初心者マークの小説のための前書きに目を通していただき感謝です。

「右のタマが消えた朝、僕は改めて“この世界の理不尽”を痛感する」

________________________________________

誰もが子供の頃は信じている。

自分がこの世界の主人公だと。

でも、いつからだろう。

大人になったときだろうか、それとも——ある瞬間に、そっと“脇役”へと押しやられるのだろうか。

今日も僕は、ただただ学校のモブだ。

しおれた花のように、誰の記憶にも残らず、視界にも入らない。

まるで教室の空気のように生きている。出席簿だけに載る人生。

それが、今の僕にはちょうどいい。

今日も授業が始まった。

先生の声は耳には届くけれど、心までは届かない。

ふと、黒板に書かれた「互いに素」という文字が目に入る。

数学の話だ。

……いや待ってくれ。

先生まで、互いに素な僕の存在をいじるのか?

やめてくれよ……。

まあ、そんなわけで。

僕のことなんか、誰も気にしちゃいない。

わざわざ名乗るほどのものじゃないけれど——物語が始まるのなら、一応、言っておこうか。

僕の名前は、影野吾郎。太い黒ぶち眼鏡に、自然に分かれた黒髪。どこにでもいる、量産型の陰キャだ。……どっかの名探偵みたいにかっこよくはないけどね。

窓際のカーテンが、風に吹かれてリズムを刻んでいた。

いつも通りの日常。いつも通りの空気。

変えたい。でも変わらない。

だから変えられない。——そう思っていた。この時までは。

________________________________________

この日の放課後のチャイムは、いつもと同じようで、どこか違っていた。

その日は、何も変わらぬまま終わると思っていた。

誰とも話さず、ただ静かに、いつもの帰路をたどり、家に着く。商店街の落書き増えたかな……なんて考えながら。

「ピロン」とスマホがなった。通知だ。

「どうせゲームのスタミナ回復かなんかだろ。クラスメートと連絡なんて取らないし」

高校が始まって1か月くらい。連絡先を交換する機会なんてない。

何気なく画面を見た僕は、眉をひそめた。

——《システム・デイリーミッション》

腕立て30回、腹筋50回、ランニング2キロ

見たことのないアプリからの通知だった。

「……えっと、何だよこれ。キツすぎることもないけど、誰がやるんだよ」

妙な胸騒ぎを覚えながら、僕は通知をスワイプして消そうとした。

そしてアプリのアイコンを長押しし、削除を試みる。……が。

「……は? 消えないんだけど……」

アプリは、そこに植え付けられたかのように動かない。

もちろん、設定からアンインストールなんてのもできなかった。

「……変ないたずらだよな。ウイルスか?」

自分の胸に手を当てて思い返す。

ウイルスにかかるようなことをした覚えは……ある。確かにある。

大きな声では言えないけど。

僕も一応、男だし。深夜の好奇心って、時に危険だよね。……うん、気を付けよう。いろいろと。

僕はスマホをベッドの上に放り出した。——無視して寝ることにした。

その時の僕は、ただ、それが何かを変えるものだなんて思っていなかった。

名のない花もきれいに咲く。

そう教えてくれるとは知らなかった。

________________________________________

【夢の中】

「おーい、影野くん。ミッション、無視したでしょ?」

どこからか、間延びした声が耳に届く。

目を開けると、僕はふわふわのマシュマロみたいな雲の上に寝転がっていた。

空気は、カラメルのように甘い。

「ここ……どこ?」

夢の中でも、僕は戸惑っていた。

「ここかい? みんな“天国”って呼んでるけどね。

実際は『強制起動システム・サーバルーム上層』っていう、ロマンゼロな名前がついてるんだけどさ」

ふふっと笑う声が響く。

はっきり言って、意味不明だ。

目の前に現れたのは、白いスーツを着た男。

極限まで磨かれた石像のように立っている。

その顔は、まるでのっぺらぼう。

お菓子で例えるなら……そう、またマシュマロだ。顔のないマシュマロ。

妙に整った口元だけがはっきり見えるのが、逆に不気味だった。

「君専用のプログラム、頑張って作ったんだよ。影野くんのために、ね。

無視されると、さすがにこたえるんだよ、僕でも」

男は口角をあげて、ニヤリと笑った。

「僕の名前を知っている……。何者だおまえ」

混乱しつつも、僕は問いかける。

「驚くよね。でも、そういう仕組みなんだ。……まあ、無視されたせいで、僕、ちょっと傷ついちゃったからさ」

男はおどけた調子で続けると、急に声のトーンを落とした。

「さて、初回ペナルティを与えなくちゃ。優しくしとくから、ね。右と左、どっちがいい?」

「は? どっちって……じゃあ、右で」

わけがわからないまま、僕は答えた。

男はくすくす笑いながら、「了解。それじゃあ右側を――」と指を鳴らした。

その瞬間、甘かった空気が、焦げたマシュマロの匂いに変わった。

鼻の奥がツンと痛むような、どこか化学薬品めいた焦げ臭さ。

男の“顔のない顔”は、ぐにゃりと波打つように歪んでいた。

「——これで、ちゃんと“君の物語”が始まるね」

次の瞬間、周囲の世界がゼラチンのように揺らぎ、崩れていった。

空はプールの水みたいに波打ち、雲は、膨らんだ風船ガムがしぼむように、しゅるしゅると小さくなっていく。

僕の体はおもちゃの人形みたいにふわりと浮き上がり、やけに軽くなった。

________________________________________

【現実】

目が覚めた。時刻は、ちょうど日付が変わったところ。0時15分。

夢にしてはリアルすぎて、でも現実にしては少し奇妙すぎる。

頭の中で、あの男の顔——いや、顔のないマシュマロがチラついた。

ふらふらとトイレに向かう途中、なんとなく手が……

「ん?」

触れるはずの場所に、何かが「ない」。

――右側の睾丸が、きれいに消えていた。

「え……?」

呼吸が止まりそうだ。

もう一度、恐る恐る触れてみるが、やはり何もない。

そこにはただ、梅干しの種のようにしぼんだ皮膚だけがあった。

夢じゃなかった——いや、現実だった。

そのとき、スマホが震えた。

《デイリーミッション未達成:警告レベル 1/5》

「……マジかよ」

思わず、笑いにもならない声が漏れた。

ミッション未達成。

この出来事を機に、僕はようやく事の重大さを理解した。

「……これ、無視し続けたら、やばいやつじゃないか?」

焦りと恐怖が、じわじわと背筋を伝う。

スマホの画面の隅に、一瞬だけ奇妙な表示が浮かんだ。

《プレイヤー数:2》

「……え?」

次の瞬間、それは跡形もなく消えていた。

そのとき、スマホの通知音がふたたび鳴った。

《明日のミッション:不良に絡まれる女子を守れ》

いや、僕、喧嘩とかそういうの苦手で……ミッション出すんだったらやり方も教えろよ。

僕は、心の底からこう思った。

……無理じゃね?

まずはここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。初心者が手探りで書いたお話に、少しでも時間を割いていただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

最初の一歩として書いた1話は、正直、派手な展開も恋愛要素もまだ出てきませんでしたが、2話からようやく話が動き出します。不良とか、女子との関わりとか、物語が大きく動き出します。まだまだ筆も未熟で、不安もありますが、書いていて楽しいと思えたのは、読んでくれる人がいるかもしれないという希望があったからです。この後も、少しずつでも読みやすく、面白くなるように努力していきたいと思っています。もし少しでも「続き、気になるかも」と思っていただけたら、それだけで本当に嬉しいです。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。



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