第1話 羨望と嫉妬
金曜日の放課後。
明日から土曜日ということもあり、福原高徳の気分は最高だった。
高校2年生でクラスでボッチの高徳にとって休みほど最高な時間が無かった。
気分上々で帰路に就く。
高徳の帰路では1つの小さな公園の真横を通過する。
「は…」
公園の真横を通過する際に、高徳は衝撃の瞬間を目にしてしまう。
チュッ。
クラスの陽キャの男女がベンチに座ってキスを交わしていた。
男の方は女の頬に軽く手を当てていた。一方、女は男子の首に手を回していた。
長いキスを堪能した後、男女は再び唇を合わせる。
(な、な、な、な)
これ以上は見てられず、高徳はその場から逃げるように走り出す。
(クソ!! クソ!! クソ!! 羨ましい!! 羨ましい!! )
嫉妬と羨望の感情を同時に抱きながら、高徳は自宅に向けて駆け抜け続ける。
数分で自宅に到着すると、高徳は帰りの挨拶もせずに階段を駆け上がる。そのまま自分の部屋に駆け込む。そして、ベッドにダイブし、2、3枚のティッシュを重ねて用意する。
「クソ!! クソ!! 」
すぐにスマホでインターネットに接続し、高徳はエロ動画サイトにアクセスする。高徳が頻繁にアクセスする有名なアダルトサイトだ。
あんっ。あんっ。
AV女優の本気か演技か分からない喘ぎ声を聞きながら、高徳は強い興奮感を覚えながらマスターベーションを終える。
大きな疲労感と爽快感を覚えながら、高徳はベッドに身を委ねるように寝転がる。
「はぁはぁ。気持ちよかった」
マスターベーションの感想を口にしながら、高徳は濡れたティッシュを部屋のゴミ箱に捨てる。少なからず先ほどまで抱いた嫉妬や羨望は軽減した。マスターベーションの力は恐ろしい。
「暇つぶしにネットショッピングでも見るか。面白そうなタイトルのラノベが見つかるかもしれないし」
アダルトサイトから抜け、高徳はネットショッピングのサイトにアクセスする。
検索エンジンでラノベと打ち込み、興味の惹かれるラノベも探索する。
「なんだこれ? 」
しばらくラノベを探索していると、妙な広告を発見する。
飲み放題のジュースやお茶!! これから自動販売機やコンビニでジュースを買う必要が無くなります!!
いかにもインチキ臭いキャッチコピーを売り出す広告であった。
「怪しそうだけど。興味が惹かれるな。値段も1000円で安いし」
高徳はジュースやお茶などの飲み物が好物であった。水以外は基本的に飲み物は好きであった。そのため、この広告には惹かれる所が有った。
「試しに買ってみるか。損するかもしれないけど。まあいいだろ」
広告をタップし、高徳は商品の購入に進む。
支払いをクレジット払いにし、届け日を明日に設定する。
何度か入力事項を打ち終え、高徳は簡単に購入手続きを終えた。
「はぁぁ。抜いて疲れたし何時間か寝るか」
スマホをベッドの上に適当に置き、高徳は布団を被って両目を閉じた。そのまま5分ほどで眠りに就いてしまった。