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姉が悪役令嬢だった件  作者: おしどり将軍
暴君マリア・ブラッドフォード
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姉の話(後編)

 ・主人公のシャーロットが王太子を選ぶと、王太子はシャーロットを王妃にする。そして、悪行を重ねていた元々の婚約者である悪役令嬢(姉)を婚約破棄、実家からも愛想を尽かされた悪役令嬢は、勘当されて泣く泣く修道院に行って尼になる。結婚できないどころか、やりたくもない慈善活動を一生続けることになる。


 ・主人公のシャーロットが剣聖を選ぶと、彼女は魔王からこの世界を救うために彼と一緒に冒険することになる。一方悪役令嬢(姉)は魔王の攻撃に巻き込まれて、いつの間にか死亡していることに(死亡シーンなし)。


 ・侯爵家のジュリアンはブラッドフォード家に昔年の恨みがあり、主人公のシャーロットが彼を選ぶと復讐が成功、ヨーク家はブラッドフォード家を破滅に追いやることが可能になる。ブラッドフォード家は一家離散し、悪役令嬢(姉)は消息不明に。


 ・ウィリアム(つまり僕)は、いじめが長期間続いたため、性格が歪んでしまい。そのルックス・家柄・資金力など悪用して、学校中の女性を口説きまくってほとんどの女性と関係を持ち、酒と女でただれた生活を送っていた。主人公のシャーロットが彼を選ぶと、彼は真人間になり、元凶である悪役令嬢(姉)を国外追放して、公爵家の正式な跡取りとなり、主人公と幸せに暮らすことになる。


「僕はそんなことしませんよ」


「いや、あのままだったらそうなるってことよ」


「なかなか、姉さんは厳しい状況ですね」


「そうなのよ、全てにおいてろくなことにならないわ」


「でも、なぜ僕が姉さんを殺すことになるんですか?」


「そうよ、そこなのよ。ウィリアムルートの恐ろしいところは。シャーロットが選択をミスってあなたと破局しバッドエンドになると、とんでもないイベントが発生するのよ」


「ゲームオーバーってなんですか?」


「まあ、聞いてよ。とにかく、シャーロットと別れたあなたは、やぶれかぶれになった挙句に私を滅多刺しにして、そのまま自殺するという悲劇が起こるのよ」


 逆恨みと言えるかどうかは別にして、深刻な悲劇だった。


「そうですか、これはなんとかしないといけないですね」


「そう。それでまず私があなたを救ってあげたってわけよ」


「……そうですか、ありがとうございます」


 少し納得がいかない点があったが、女たらしになって姉を殺す人生になるよりはマシな気がした。


「あと、何気に恐ろしいことを言ってましたが、魔王は4年後復活するんですか?」


 魔王は20年前くらいに、アン女王の時代に倒したはずだった。その後、王国は魔族の襲撃に怯えることが少なくなり、長い間続いていた戦争は遠い昔の思い出になっていた。


「まあ、そういうことになるわね。まあ、その辺は細かいところを忘れちゃったけど。まずは私がこの試練を切り抜けるかどうかが問題であって、世界がどうなるかは二の次ね」


「ええっ」

 いや、そこ大切なところだと思うんだけど。


「とにかく、私が主人公シャーロットに先んじて、この4人のイケメンたちを掻っ攫っていけば問題ないわけよ。彼女が舞台に登場する4年後までにね。一番難しいのはジュリアンかもしれない。もともとヨーク家とブラッドフォード家は仲良くなかったし」


「これから入学までの4年間でどのくらいできるかですね。そういえば僕は4年後、まだ王立学校には入れませんよ」


 入学は16歳からのはずだった。姉はちょうど16歳になっているが、自分はまだ14歳で2年足りない。


「あなたは魔法の才能を認められて、特例で2年飛び級になるのよ。だから、これから魔法の修行がんばってね」


「はあ」


「そうだ。あなたにこれまでの話を信じてもらえるために、一つ、あなたにいいことをしてあげるわ」


「なんですか?」


「あなたがブラッドフォード家ででうまくいっていないのは、隠し子疑惑のせいなんだけど、それがなくなれば、格段にあなたの立場は良くなるわね」


「そりゃ、そうでしょうけど」


「あなたは父の子供ではないわ。その証拠があるのよ」


「どこにですか?」


「それは秘密。ただ、四年後、ゲームの主人公であるシャーロットがあなたのために発見する予定のものを私が先取りしちゃうだけよ。まあ一種のチートよね。あとはそれを母に見せれば今までの問題は解消。晴れてあなたはこの家の一員になる」


 チートってなんだ?


「父様はその証拠のことを知らないんですか?」


「父は知らないわ。だから、母をうまく説得できないでいるのよ。まあ、もう数日待ってちょうだい。それがうまくいったら、私の今までの話を信じてね」


 姉は自信ありげな顔でにこりと笑って見せた。

お読みいただいてありがとうございます。


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よろしくお願いいたします。

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