パーティ その1
揺れる馬車の中で、僕と姉さんは話をしていた。
「だいぶ遅くなりましたね。姉さん」
「まあ、しょうがないでしょ。大物は後から現れるものよ」
今日は王宮でパーティが開かれる日だった。姉は衣装の準備に時間がかかり、せっかちな父は母を連れて先にパーティに行ってしまった。王宮に向かう馬車の中にいるのは僕と姉だけだった。
「今日はわかっているわね」
「ヨーク家の兄妹のことですね」
ヨーク家の兄妹、ジュリアン・ヨークとマーガレット・ヨーク。王立学校では姉と対立しブラッドフォード家を崩壊させようとする予定となる人物たちだった。
当然、ジュリアンの方は、姉の攻略対象に入っている4人のうちの一人だった。
「彼らと関係がこじれる前に、なんらかの手を打つ必要がありますね」
「そうね、でも、今はライバルとは言っても特に敵対関係までではないみたい。まあ、周りは煽っているみたいだけどね。つまり、これから4年後になるまでに何か重大なことが起きるってことよ」
「アーサー王太子との婚約争いが関係しているのですか?」
王立学校に行くまでの間、彼らに何が起こったのか、過去にゲームをやっていた姉に聞いてみた。
「すぐに決着がついていたから、関係ないと思うわ。もっと深刻なことで恨みを持っていたはずなんだけど…… 覚えていないわ」
「覚えていない?」
「いや、あまりジュリアンルート好きじゃなかったし、最後までやったかどうか忘れているのよ」
「そうですか、何か手がかりがあればいいのですが」
「まあ、相手を破滅させようと思うくらい憎んでいたんだから、相当な理由があるはずよ。それより、もしかして、私が誰のルートが一番好きか気になる?」
「いえ、別に……」
「ねえ、ねえ、どうなの?」
「とにかく、今日は彼らとうまく接触して、親交を深めましょう。そのほうが何かあった時に動きやすくなるので」
「ジュリアンはシスコンだから、妹のマーガレットと仲良くなるのが一番ね。シャーロットがジュリアンと仲良くなるきっかけは、マーガレットを助けたことが最初だったはず」
シャーロットとは乙女ゲームの主人公で、王立学校で姉と対決する予定の人物である。
「いいこと、ジュリアンルートになると、ブラッドフォード家自体が破滅するかも知れないのよ。あなたも人ごとじゃないんだからね」
「わかってますよ姉さん」
馬車が王宮の門のところまで到達した。一度馬車が止まり、門で従者がやりとりしている。外からの風景を見ると広大な敷地の奥に勇壮な城が目に入ってきた。通行の許可をもらうとさらに馬車は奥へと進み、そして目的地に到着した。
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