反省会
「おーほほほほほ」
部屋の中で姉の高笑いが鳴り響いていた。
晩餐会は無事終了し、子供たちの出番はもう終わっていた。広間はもう大人たちの世界となっていることだろう。
少し腹を立てていた僕は、すぐに自分の部屋へ帰ろうとしたが、姉に呼び止められてしまった。今、姉の部屋の中にいる。
「うん、うん、愉快愉快。これで少しは、あいつもこりたでしょう。それにしてもあんなに母親に弱いだなんて、思いもしなかったわ」
僕は黙って姉を見ていた。
「何怒っているのよ、ウィリアム。まさに大勝利じゃない」
「姉さんは僕の言ってたことを覚えていましたか?」
「もちろん、つまり、あいつの弱みにつけ込めってことでしょ」
「全然、違いますよ。アーサー殿下は反省している様子を見せていたので、彼の失敗をうまくフォローできれば、《《仲良くなるきっかけ》》になるんじゃないかって言ったんですよ」
「なんで、仲良くなる必要あるのよ」
「だって、敵に回したら後で困るっていったじゃないですか」
「母親っていう弱みを握ったんだから大丈夫でしょ。いざとなれば、いいつけてやればいいんだし」
「いつまでも、彼は子供じゃないんですよ。姉さん」
僕は少し深呼吸をしてからさらに話を続けた。
「母親に反抗するようになれば状況は変わってくるし、恨みを持った相手はこちらに対してどのように行動してくるか予測がつきません。それに、このままだと本当に悪役令嬢になっちゃいますよ」
「どういうことよ」
「このままだと王妃は姉さんとの婚約を強行するでしょう。そして、時間は経って、舞台は王立学校。愛のない婚約をしている王太子に、心から愛することのできる女性が現れて、そして、二人で力を合わせて、交際の障害である姉さんを追放し、二人はめでたくご結婚……」
姉は急に動きが固まり、みるみるうちに顔が青ざめてきた。
「ああ、運命ってなんて恐ろしいの。どんなに抗っても破滅に追い込まれるなんて、なんという宿命を私は背負っているのかしら」
嘆く姉に対してわざと冷たい調子で答えた。
「いや、ほとんど自分でまいた種じゃないですか」
「ウィリアム、私、一体どうすれば……助けてウィリアム、私にはあなたしか頼る相手がいないのよ」
涙目になった姉は、呆れ返る僕にすがりついてきた。少し、かわいそうになってきたので、僕は頭を働かせて打開策を考えてみた。
「しょうがないなあ姉さんは、では、まず第一に……」
言いかけていたところで急にノックの音がなった。
「マリア様。王太子殿下が、御用事があるとのことで部屋までいらっしゃってますが、お通ししてもよろしいですか?」
ノノアさんの声がドア越しに聞こえてきた。
「どうする、どうする」
慌てた様子で、こちらを見る姉に対して僕はこう答えた。
「直接話し合うしかないと思います」
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