「泣き虫な少女へ綴る言葉たち。」
或るところに、泣き虫な少女がいました。
少女はひどく臆病で、いつも母親の後ろに隠れていました。
今まで慰めるばかりだった母親は、ある時病気で入院することになってしまいました。
母親と一緒にいられなくなった少女は大きな声で泣きました。
そこで母親は泣き虫な娘に手紙を書きました。
そこに心がけるべきことを19個ほど綴りました。
少女はそれを肌身離さず持ち歩き、泣きそうになった時にはそれを見るようにしました。
気づけば少女は、泣くことが無くなりました。
母親の想いが込められた19個の哲学が、少女の人生を変えたのです。
そして間もなく、母親は亡くなりました。
その時も少女は、ぼろぼろになった手紙を見て涙を堪えようとしました。
ですが頬に一筋雫が零れると、とめどなく溢れ、
少女は大きな声で泣きました。
その哲学に、大事な人を無くした時の事など書いてはありませんでした。
ですから少女は、母親の手紙の空白に付け加えました。
大切な人、大切だった人の為に前を向きなさい、と。
こうして少女は泣き虫ではなくなりました。