魔女さん
生き返った女は、高々と笑った。
目をつぶり、横たわる子どもを見向きもせず……。
「ふふふふふふふふっ。 ふふふ、はははははははーっっっ! あぁ、笑っちゃうわ。 すこーし、優しく接してただけなのに、笑っちゃう。」
「ねぇ? 魔女さんもそうは思わない? 」
女は我の答えを聞くことなくしゃべり続ける。
「私を救いたいと純粋に思って生き返らせてくれてありがとうねぇー。 でも、もういらないや。 息子なんて面倒だし、私は遊んでいたかったのに……。 貴方がいたから、遊べなくなってしまったのよ。 だから、貴方にはこの母の……貴方の慕った優しい母のためにいなくなって頂戴ね? 最期の最後に貴方を活かしてあげるのだから……喜んで……ね?」
女はうっとりと笑う。
でも、目は薄暗かった。
女は魔女の方にゆっくり向いた。
「ねぇ、魔女さん。 この子を私の代償にして、私が死んだという記憶を人々から無くして欲しいの。 できないかしら?」
「貴方の子どもを代償として、記憶を改竄して欲しいと?」
「ぇえ、ええっ! ええっ!! そうよっ! 話しが早くて助かるわ。 この子は私のために死んだのだから、私のためにもっと役立てるならば、喜ぶわよ。 そういう子なんだもの。 ねぇ、できないの?」
心底不思議そうに、でも、にっこりと笑って女は聞いた。
「いえ、できます。 しかし、その場合は貴方の息子さんの存在が世の中から消えます。 命を貴方のために落としているわけで……。」
「そんなのは当たり前よっ! 私が苦労して育ててやってたんだからっ!! 遊びもできなくて、ストレス溜まって……。 でも、存在の抹消なら子どもが産まれたことも世間からはなかったことになる。……いいこと尽くめじゃない。」
女は唇を舐めた。
そして、最後まで笑いが収まることはなかった。




