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魔女に

悲劇を話そうか。


これは、1人の少年が母親の病気を治して欲しくて通ったのだ。

我の元に……。

少年の母親は不治の病を患っていた。

寿命も後、三月(みつき)と医者に宣告されたらしい。

少年は母親に一緒に生きて欲しいのだと言った。

母君のことが好きだから、まだ教えて貰ってないこともたくさんある。

だから、生きて欲しいのだと……。

しかし、少年には、沢山の気持ちが溢れていた。


「かあさまに生きてもらって、僕はほめてもらうんだ。 僕はかあさまを救ったことで、かあさまは嬉しそうに僕を褒めるんだ! 『ありがとう』って笑うんだ。 綺麗な笑顔で……。 僕はそれを見たいから死ぬことはできないけど、かあさまを救うのに僕が死ぬ必要はないんでしょう? だったら、大丈夫なはず……。 早く、かあさまを治して? もう、二ヶ月も前から言ってるのにぜんぜーん、叶えてくれないよねぇー。」


『もしかして、魔女って! みーんな、こんな嘘くさいの?』


にんまりと笑う餓鬼が1人。

我はこのガキを蹴り飛ばしてやろうと思ったのじゃ。

イラっときたからのぅ。

得意げに笑うクソガキは鬱陶しくて敵わない。

だから、我は満面の笑みで答えてやったのじゃ。


「魔女を嘘くさいと言うのなら、帰れば良いのでは?

お主の言う通りかもしれないぞ? 嘘くさいというくせして、毎日懲りずに通うのか……主は……。」


「あれれ〜? もしかして、魔女さん怒ってる?」


「怒ってはおらぬよ。 その人を小馬鹿にしたような顔はやめといた方が良いぞ? 不細工じゃてのぅ。」


「むっ! 変なしゃべりかたしてるとしまに言われたくない〜!」


ベーっと舌を出して、扉から出て行った餓鬼。

言い逃げとは、いい度胸だ。

森で一生迷わせてやろうかのぅ。

しかし、やめておいてやる。

主がいく先は、裏切りと言われる……。



あやつの母君が死んだようだ。

死体は丁寧に保存されているらしい。

今回は生意気な様子もなく、萎れて此方に来た。


「なんでっ! 助けなかった!! 僕はかあさまを救って欲しいと何度も何度も頼んだのに……なんでよぅ……。」


我を思いっきり叩いているが、所詮子どもの力。

痛くも痒くもないわ。

それに、やっぱり気づいてなかったか。


「主は馬鹿だのぅ。 主の願いなど叶えられないに決まっておるだろ? 主は母君を救う事だけではなく、他のことも考えていた。 母君に褒められたいとか……のぅ。 純粋な思いとは一直線にたった1つを強く願うこと。 お主の邪心はだだ漏れじゃて。 母君を本当に救いたいのならお主はただそれだけを考えていれば良かったのじゃよ。 母君を救いたいとだけのぅ。」


(なんとも、哀れだ。)


笑って、笑って、笑った。

笑ってやった。

魔女だって心を持つ。

叶えたい願いも叶えたくない願いも選ぶのは自由で選択の権利は我だけが持っている。

なら、叶えたい願いだけを選ぶのは我の意志であり、何もおかしいことはない。

叶えたくない願いを気まぐれに叶えてやることもあるのじゃ。

しかし、叶えたくない願いを叶えるなんておかしい話だろう。

滑稽とさえ思えてくるわ。

我に叶えたいと思わせなかったのがいけなかったのじゃよ。

この餓鬼は今度はなんというのであろう。


そんなの知るか。

何故、教えなかった?

などと言うか。

それとも、落ち込むだけか。

または、母君を助けることを心から願うか。

我はどれでも良いが、迷惑はごめん被りたいのぅ。



「俺は思ってたよ。 かあさまを救いたいって本当に……。 でも、その先にいった気持ちがじゃまだったって言いたいの? 僕はかあさまを救えないの?」


(急にしおらしくなりおって……。)


「僕はかあさまを救いたいんだ! どんなことをしてもいい。 褒めて欲しいのは本当だけど、今は生き返って欲しい。 また、僕と歩いて欲しい。 なんでも渡す。 僕に渡せるものなら、だから……。 助けてください。 魔女さん……。」


頭を我に深く下げる子ども。

まぁ、合格じゃ。

思いは届いた。

生命を捨てる覚悟がなければ、願いは叶わない。

純粋な思いは命の重みを本当の意味で知った時。

命が関わり、生きて欲しいと願った時。

逆に、死んで欲しいと願っても同じこと。

純粋な思いは命に関わることで最も強くでてくる。


我は言う。


「その願い叶えよう。 そなたの母君の死体は残っているのなら話は早いな。 後は、主が差し出せば良いのじゃ。 代償を……。」


さぁ、何を支払うのじゃ?


少年は代償を払う。

母君を信じて……。

その選択は間違いなのだと、してはいけなかったのだと気づくことなく……。

もし、知っていたら、此れから徐々に消えていく運命に心を壊されていたであろう。


裏切りと言われることをした母君の心や行動に……。




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