緋色
赤と違いまた紅とも違うただの緋色だ。
わたしは、血を食するのだから当然なのかもしれない。
そう、アタシは人ではないだからといって悲しむこともなく、嘆くこともなかった。
気ずくと月の下に生まれおり
またその月もただ朧気ながらアタシを見下ろしていた。
緋色に美しく映えていたでも、
アタシはアタシ自身の瞳が緋色なのでわないのかと自問しソレが確信できるまで途方もなく時を削っていくのだった。
もう、気ずいていると思うけれど、アタシは血を食する吸血鬼。
そうなると、吸血鬼は野蛮で恐ろしい観念をもっているかもしれないけど吸血鬼は悲しく寂しいものだった。
さぁ聞いて、悲しいながらもかなげな、吸血鬼姉妹のいつかな時のお話を...
館は緋色、どこをみても緋色なのは当然だった。
壁も床も全てが緋色でしかなかった。
そこからは澄んだ歌声が響いて聞こえる上から下へと
どこから?
緋色より濃くて暗い地下室の中一人歌っているでることもできず、でることせず
彼女は地下室へ閉じ込められている数百年間歌うことしかできず、歌うことしか知らない
どうして?
アタシの妹は生まれてはいけない恐ろしい吸血鬼だった。
親の愛情に縁もなく、幼い妹は泣くことも騒ぐことなく
笑いながら地下室へ閉じ込められた。
それが運命のように、玩具のように遊ばれ...
笑いながらいつもあの歌を歌っている。
何を考え何に期待しなにを見ているのかなんて
アタシに分かる訳がなかった。