いじめた子を転校させるべき
※タイトルと同じ考えの人には不快な文章です。
※虫の話が比喩程度にあります。
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テレビは見ていないのだが、ニュースで橋本知事(大阪の知事でしたっけ?)が「イジメられた子が転校させられるのはおかしい。イジメた子を転校させるべきだ」とイジメた子を転校させる案を提出したらしい。
筆者にしてみれば善悪のみで判断し、全く意味のない行動をしているように思える。おそらく橋本知事はイジメられた経験がないのだろう。筆者としても『経験のない事を深く考えろ』という話が酷だとは思うが。
まあそれはどうでもいい。
問題は「イジメた子を転校させても意味がない」ということである。理由はイジメの原因が「イジメられた側にある」からだ。
多くの方に反感を買いそうな語感だが、興味を持った人は冷静に文を読んで欲しい。
筆者が主張するにあたって共通の認識を得たいので、少し回り道をしよう。
まず、蚊(カ。小型の吸血生物)を潰した経験がない方……というのはほとんどいないだろう。
何故かと言うと、潰す時に反撃される恐れがないからであり、羽音やかゆみなど人間に害を与えるからである。
反撃される恐れがない、というのは非常に重要である。外敵を排除しようと行動をしても、痛い思いをすることもなければ、金銭が失われることもない。排除することによるデメリットが発生しないのだ。
反対に外敵を排除することはメリットだらけである。自分の生活を脅かす存在が消えてくれるのだから、これをデメリットと感じる人はいないだろう。
ノーリスクミドルリターン。これは行わない人間はいない。ゆえに「1カ月で簡単に100万稼げちゃうよ!」という広告に何人もの人が釣られてしまうである。ハイリスクだと感じる人は釣られはしないが。
反対に蜂(ハチ。攻撃性のある昆虫)を潰そうと思う人はごく少ないだろう。勇気と正しい知恵を持つ方ならあるいはと思うが、大多数の人間はそんなことを考えない。
何故なら反撃される恐れがあるからである。
尻に針を内蔵しており、高速で飛来するため敵視されてしまえば避けるのは困難だ。また運良く刺される前に潰せたとしても仲間を呼ばれてしまい、救急隊が来るまで包囲攻撃を受けることは必至である。
また種類によっては致死性の毒を持っているものもあり、まさか追い払うためだけに命をベットして攻撃しようとは思うまい。
ゆえにハチが近くで飛び回っていて、内心で「邪魔だな」と思っていても攻撃することはできないのだ。反感を買わないように黙って通り過ぎるのを待つばかりである。
そして最後だが、蟻(アリ。落ちている食物を集める昆虫)を進んで潰そうと思う人は稀だろう。我々に害をなす存在ではないからである。
しかし積極的に避けようという人も稀だと思う。アリは非常に小さく視認困難で、下ばかり見て歩いていたら自転車に轢かれてしまう。またアリの事を考えれば乗り物に乗ることもできまい。
つまりはどうでもいい存在である。生きてようが死んでようが、我々には関係ない。
筆者の家に侵入してきたら、潰さずに優しくつまみだしてやるだろう。体液が指についたら嫌なので。
これが基本的な上位者がそれぞれに対する行動である。
上位者という言葉はここで初めて使ったが、意味は理解できるだろう。ハチに反撃されるのは嫌だが、人間側には「専門の人に頼んで討伐してもらう」という最終手段がある。
殺生与奪権は上位者(人間)が握っているのだ。
察しの良い方は気付いていると思うが、イジメられている人間は例外なく【カ型】の人間である。
つまり攻撃することにデメリットがなく、攻撃することによってメリットが発生する人間だ。
罵っても言い返さない、殴っても殴り返さない、イジメられても友達に親に教師にカウンセラーに相談しない。反撃をしないなら、やはり攻撃することはノーリスクである。
また、【カ型】の人間は上位者に害を与えてる場合が多い。いつもうつむいていて見ているだけでイライラさせてるだとか、身体が不自由で迷惑をかけているだとか、空気が読めないだとか色々である。
外敵を排除することが利益につながるのは先ほど説明した通りだ。
なぜ、イジメる人間が上位者か疑問に思った方がいると思うので少し補足しよう。
例えば学校の場合、最たる上位者は(例外も存在するが)基本的に担任教師である。この担任教師がイジメ側である場合は「イジメる人間は上位者」が成り立つ。
次に、担任教師がイジメ撲滅の姿勢の時は、イジメる生徒がいたとしても直ちに淘汰されてしまう。この場合は「イジメる人間は上位者」が成り立つ。何故なら、イジメてる人間が存在しないので命題を否定しようがないからである。
最後に担任教師が生徒間の問題を不干渉と決めている場合、次の上位者はクラスを台頭する生徒である。この状況で、台頭する生徒は実質の最上位者(咎める存在がいないので)であり、イジメる側/撲滅姿勢/不干渉にどれかに該当するためやはり「イジメる人間は上位者」が成り立つ。ちなみに全員不干渉の場合はイジメが発生しないので撲滅と同意義である。
会社でも同じようなものだ。担任教師=部長、台頭する生徒=課長とでも思っておけばいい。
まあ一言でいってしまえば「イジメられる人間は反撃できないゆえに、イジメる側は上位者」ということだ。
ここで最初の文章を思い出していただきたい。筆者が提示したのは「イジメる側を転校させても意味がない」という話である。
例えば中学2年でイジメられ、イジメた子供が転校したとしよう。
【カ型】の人間は、矯正しない限りは永遠に【カ型】である。そして上位者はころころ変わる。
中学3年の上位者はイジメないだろうか? 高校、大学、新卒で入る会社、転職して入る会社は?
これだけ上位者が簡単に変わってしまう環境で、全員がイジメないという保証はあるか?
答えは限りなく否に近い。そして将来イジメられてしまうのならば結局は問題の先送りである。
【カ型】の人間が【ハチ型】や【益虫型】(後述)の人間になる方法はいくらでもある。その簡単な努力をしていなかったのならば、過去の筆者含めイジメられてしまうのは仕方のないことだ。
例えば【ハチ型】になりたいのなら単純にボクシングでも空手でも合気道でもいいが、格闘術を始めれば良い。普通はガタイの良い人間に攻撃はしないし、してきたとしても返り討ちにすれば【ハチ型】と認識してイジメられることはないだろう。
あとは仲間を作ることでも良い。怖い先輩に取り入るのが一番手っ取り早いが、友達が10人いるだけでも十分である。10人もの人間をイジメるにはクラス1つではとても足りないのでイジメ対策になってると言えるだろう。
単純に弁護士を雇って脅す方法をとっても良い。親も巻きこんで相手の家に乗り込めば、イジメた側の親は大事になるのをきらって子供に言い聞かせるだろう。
先ほど【益虫型】という言葉を使ったが、これは周りにメリットをもたらす存在である。メリットをもたらす存在を排除しようという上位者は存在しないと言って良い。
例えばいつも笑顔でいるだけでも大丈夫だ。笑顔が気に入らないという人間はほぼいないし、いたとしてもそれが上位者である確率はかなり低い。ただし『ニコニコ』という形容詞がつくものに限られる。
他にはは話術を鍛えるでも良い。楽しい話をして一緒に笑えば協調性が生まれ、攻撃性は薄れる。
金のかかる方法も厭わないのならば何かにつけて贈り物を配るでも良い。女子ならばバレンタインで義理チョコを配るとか、他には運動会や体育祭で飲み物を配って回るだとか、部活で大会があるなら何か気の効いた差し入れを持っていくとか、旅行に行ったら土産を配るとか。
要するにコミュ力(コミュニケーション能力)を人並みに上げろというだけである。
【アリ型】になるというのも手ではあるが、これは難易度が高い。
【カ型】は無意識で周囲に害をバラまいている場合が多いが、【アリ型】は無意識下でも害を与えたりはしない。無意識の行動を改めるのはクセを直すという認識で相違ないだろう。
例えば見た目に気をつける。いつも周りは綺麗にしておき、身につけるモノあるいは自身を清潔に保つ。奇抜な髪形はもってのほかで、服装も常識の範囲内で気をつける。体系も痩せすぎず太りすぎず。
行動も、馴れ馴れしくならないようにだとか、マナーを守るだとか、「そうなんだぁ」「すごいね」「ちゃんと聞いてるよ」など敵を作らない程度に空気を読む。相手がウザくても鉄の心で顔に出さない。
つまりは究極的な模範人であり、空気的(いてもいなくても変わらない)存在を目指すのが【アリ型】と言える。
ネットスラング的にはキョロ充が一番近い。単純に空気も同義。
また、イジメの諦観をする多くの人は【アリ型】であるが彼らに罪はない。
なぜなら「害をなす存在を“かばう存在”も害をなす」と認識されるからである。【アリ型】の彼らが【カ型】に転落してしまえば、再び【アリ型】に戻るのは不可能だ。
「自分を助けるために、お前もイジメられてくれ」という要請がすでに合理的ではない。自分を助けるために迷惑をかけるのならば、それに見合うだけの利を出して交渉すべきである。
まあ10人近くの【アリ型】が一斉に【カ型】に墜ちることになれば、「10人をイジメるのはクラス1つじゃ不可能」という原則で不可能ではないのだが、空気的な存在を目指す彼らにそれを求めるのは酷だろう。【アリ型】個人で考えるならば静観は有効な手段の1つである。
また、ここまで語っておいて恐縮だが、イジメられた後ではこれらの方法もほとんど無意味である。
例えばイジメられてから強くなっても軽く見られるし、イジメられてから友好的になってもやはり軽く見られるだけである。イジメられてから仲間を作ることは裏でかなり手を回さないと不可能だ。それだけの力があるなら、イジメられる前にやれという話である。
例外は弁護士の話くらいだ。
だが、全く無意味ではない。【ハチ型】や【益虫型】になったあと、環境が変わればイジメはなくなる。
進学、就職、転職……色々あるがもちろん“転校”も含む。
そう、イジメ問題で転校しなければならないのはやはり“イジメられた側”なのだ。“イジメた側”が転校して無意味なのは先ほど話した通りであり、「いじめた側が転校すべし」という意見は全くもって見当違いとしか言いようがない。
まあ【カ型】のまま転校しても無意味なのは確かだが。
筆者は『小学校での教育を強化』とかの政策なら評価していただろう。
イジメの原因は先ほどでも話したが『攻撃されても反撃せず、攻撃してメリットのある人間』の存在がそもそもの問題である。
であれば、幼少の頃にしっかりと教育して「【カ型】の人間を出さないこと」がイジメ撲滅への近道だろう。
就職の条件でも「コミュ力」というのが重要項目であり、【益虫型】ならば教育するのに将来性も申し分ない。
または現状の教育方針でイジメ撲滅を目指すなら『教師を一斉指導』するのも1つの手だろう。
先にも言ったが最上位者(担任教師)がイジメ撲滅姿勢をとっているならそもそもイジメが発生しようがない。
指導をして効果がある教師がどれほどいるかは甚だ疑問ではあるが、現状取りえる策としては有効な手の1つだろう。『人事見直し』でも良いが。
【カ型】の人間が将来いじめられるという心配はあるが、「いじめた子の転校」と違ってこちらは予防である。効果の確実性はないが、あちらは再発予防ができていないため即時性に利点は見い出せないならこちらの方がよほど建設的だろう。
最後になるが「イジメが許せない! 存在することがそもそもおかしい!」という方がいたら、ぜひ教師になって【カ型】の人間をなくして欲しい。そうすればあなたの生徒は一生イジメで悩むことはないだろう。
著:ビークル