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トランプゲーム  作者: 咲夜
Episode
10/10

垣間見る疑心暗鬼




 更新遅!!







 【0日目 8時間 10分 23秒】


「待てよ……未来済……それってジョーカーの奴を殺すってことなのか?」

「そうよ……それしか生き残る手はないわ」

「まだ分からない!! それにそうなると俺たちの仲間割れは免れないんだぞ!?」


 俺は必死に叫んだ。未来済が言っていることはそういうことなんだ。

 ジョーカーを殺すことをモットーとして作られているこのゲーム。それの思うツボそのものじゃないか! 絶対になにかあるはずなんだ! それがまだ分からない今、早とちりして全員がバラバラになるのは良くない。

 そんな事は未来済……お前もわかってるはずだ。

 

 未来済は小さく息を吐いてから河野から離れた。河野が「あ……」と声を漏らしもう一度未来済に近づこうとするのを未来済自ら制する。


「ここで別れましょう。私は……ここで死にたくないわ」

「未来済! まだ別の手が――」

「それを探すまでに誰かがジョーカーを殺害したら? ……そうでしょ」

「未来済……」


 こいつ……精神的ななにかに追い込まれている?

 そりゃあ無理はない。この誰に殺され、いつどのタイミングで誘拐犯に殺されるか分からない極限状態なのだから俺みたいに平静でいれるほうがどうかしてるのかもしれない。

 そうだ……俺だってどうしてここまで平静で落ち着いていられるんだ? いつ、どのタイミングで殺さrてもおかしくないのに……。


「未来済さん……」

「ごめんね……鈴加ちゃん」


 そのまま歩き出す未来済。その姿をただ見送ることしかできない俺。なぜ追わないのか? 今、止めたところでどうなる? だって俺が言っていることは根拠がなくて確かに綺麗事だ。それなのに俺はここまで主張している、とても冷静に、落ち着いて。

 おかしいのは未来済や鳳凰寺、他の連中じゃなくて俺だった……?

 そんなことない! そう思って頭を振る。だけど、今までのようにすっと消えていかなくて、ずっとその不安が頭に回る。

 そうだ……最初からこいつらは俺を信用していないじゃないか……。


 そう思って俺は扉へと向かって歩く未来済、半分困惑半分泣き顔で立ち尽くす河野、座って俺と未来済のやりとりを見ていた月原。こいつらは俺にトランプを見せていない。確かに俺も見せてはいないが、一緒に動こうと決めてた時点で信用したなら見せるべきじゃないのか? ジョーカーの保有も今、俺たちの手持ちで出来ることがあるのか……見せ合ったほうが効率がよかったはずだ。なのに……なのに……。


 俺は……騙されている……?


 心臓が高くなる。吐き気がしてきた。

 扉を開けて消えていった未来済。それを見て安堵に似た感覚と吐き出しそうな嫌悪感が一気に溢れ出す。

 そばにいる二人がいつ道化師の仮面を取って行動するか……月原だって俺と出会うまでは単独で動いていたんだ……俺たちを殺す術を持っていてもおかしくない……。

 次から次へと頭の中に恐怖と不安が浮かんでくる。

 俺はこいつらのそばにいたらいけない……?


「九重くん……? どうしたの?」

「あ……!?」


 背後。まだ床に座っている月原の言葉にハッとする。こちらに覗き込んでくる顔は道化師の仮面。そう見えてならない。そんな奴を背後に回していた……。

 こんなことでどうするんだ俺……ここで死ぬわけにはいかない。

 こんな奴らに……殺されてたまるか……!


「未来済を止めてくる……」


 そう言って俺も未来済の消えた扉に向かう。もちろん、この場から逃げ出す口実だ。実際、探す気なんてさらさらない。


「待って。それなら私たちも……」


 月原が立ち上がる。河野もゆっくりながらも頷いた。だが、俺はその二人を置いて扉を開けた。




 【0日目 10時間 33分 46秒】


 このゲームに参加しているのは俺を含めて11人。そのうちの二人がこの10時間以内に死んだ。トラップとペナルティ。トラップというのがこの舘内にあるというのはさすがにびっくりしたが多分、あれは生き残っているプレイヤーが設置したものに違いない。

 今、俺は最上階である7階にいる。階段を探してとりあえず上へと上がり続けてきた。下にチップなどがあるのも確かだろうが今7階に上がってこようとする奴はそうそういないはずだ。だから俺は真っ先に7階に上がってきた。そして、ここにくるまでトラップらしいトラップは見当たらなかった。だからこそトラップは誰かによる仕業と予測できた。

 この広すぎるくらい大きな館の7階に上がるまでに7時間消費していた俺は階段からやや離れた大部屋で体を休ましていた。

 この大部屋はきっと10畳程度の部屋だろう。かなり広めでその隅には俺の腰ぐらいまでの二段木箱が置かれていた。

 中身は……サブマシンガン。

 最初は目を疑った。殺し合うというのだからもちろん武器が存在しているのはわかっていた。でもいくらなんでもサブマシンガンはやりすぎだと……だが現実は違う。目の前には黒光りするまだ新品に近いサブマシンガンが大量の弾薬と共に収納されていた。

 こんな簡単に、しかも強力な武器を手に入れることができる。他の奴らもこんな銃を持っていると考えていていいだろう。

 そして下の木箱には青色のチップが入っていた。

 そのチップがルール記載に関する事だというのはもう分かっていたので俺は10時間目にして初めてチップをインストールした。

 完了するまでの間……いや完了してからももう少しここにいるつもりだがとりあえず身を休ませる。


 開始から10時間過ぎてそろそろ体力的に限界を迎えるやつも出てくるはずだ。このままここに居続けるという手もあるが他の奴らにジョーカーを殺されて自分が退場の対象になるという可能性も大いに有り得る。

 そう簡単にジョーカーが殺されることはないだろうけど……よし。2日目に入ると同時に動き出そう。それまでに7階をできる限り闊歩し、武器とチップを取得する。

 頭に巻いたバンダナの中が蒸されてじめじめしている。


「なんで……俺はこんなところに連れて来られたんだろうか?」


 バイトの帰りに変な男に変な勧誘をされ、断ったらスタンガンで……。あの手さばきと体さばきはかなり慣れていると見える。俺たちを連れ去った誘拐犯は何度も同じような事をしているということだ。全く洒落にならない。

 ブーっとケータイがバイブレーションを発する。

 インストールが完了した事を知らせるメッセージがケータイ画面に映し出された。

 【新しいルールが記載されました】

 それを選ぶ。


「……な……んだと……?」


 その画面に記された新しいルール。

 それが7階で手に入るということにこのゲームの恐怖さを感じながら……。


 16、一日経過時、一階は侵入禁止区域に指定されそれ以降の侵入を禁止する。侵入を確認。又経過時に一階にいるプレイヤーは退場になる。二日経過時は二階、三日経過時は三階、四日経過時は四階。


 とんでもないルールだ。

 絶対にこれで退場になるプレイヤーは必ずいる。そしてそのプレイヤーがジョーカーである可能性もある。

 となると一つ引っかかることがある。

 それはごく単純に思いつくだろう。

 ジョーカーがペナルティやルールによって殺された場合、勝利者の確定はどうやって決定する?


「くそ……ルールが少なすぎる」


 そのことに関する事は必ずチップに書かれているに違いない。それをいち早く調べなくては後後大変な事になる。チップの回収も一日が経過するまでに一階を捜索し終えないと手に入れられない内容も出てくる。

 予定変更だ。


「とりあえずは一階だな」


 ずっしりと重量のあるサブマシンガンを抱えて歩き始めた。







 が、頑張らないと……。

 とりあえず更新のため短くなってしまいました。

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