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詩小説へのはるかな道 第104話 言葉の芯

作者: 水谷れい

原詩: 裸ん坊になった響き


まとっていた言葉を はぎとって

裸ん坊になった響き ふたつ

あい せい


I  愛  哀

生  性  聖


ーーーーーーー


詩小説: 言葉の芯


同僚の山本さんは、最近「言葉の芯を見抜く練習をしている」と言い出しました。

会話の飾りを取り去って、本音を探る遊びらしいです。


昼休み、わたしがコンビニの袋を置くと、山本さんが言いました。

「それ、新作のサンドイッチ? いいなあ、僕も食べたかったんですよね」

わたしは「半分食べます?」と聞きました。

すると山本さんは、指を一本立てて言いました。

「今の、飾りを取ると『あげたくない』ですね」

図星だったので、苦笑いするしかありませんでした。


別の日、上司が会議で言いました。

「この案、悪くないと思うけど、もう少し検討したいね」

会議後、山本さんが小声で囁きました。

「言葉の芯は『却下』です」

確かに、その後その案は二度と議題に上がりませんでした。

そんな調子で、彼の言葉の芯はよく当たります。


仕事帰りに二人で駅まで歩いていたとき、山本さんがふいに言いました。

「れいさんって、いつも優しいですよね」

わたしは照れ隠しに笑いながら返しました。

「いやいや、そんなことないですよ」

すると彼は、こちらをちらっと見ると言いました。

「今の、飾りを取ると『照れてる』です」

図星すぎて、何も言えません。


電車が来るアナウンスが流れる中、彼はわたしに言いました。

「じゃあ、また明日。飾りのない言葉で話せるといいですね」

背中を見送りながら、わたしは思いました。

――飾りを取ったら、わたしの中に残る言葉は何でしょう。

たぶん、たった一言。

「好き」


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:言葉の芯


サンドイッチ

差し出すふりの 指先に

飾りを外す ためらいがある


「半分どうぞ」

声より先に 胸が言う

ほんとは全部 自分の昼だ


会議室

曖昧な語尾 拾い上げ

芯だけ抜けば 静かな却下


言葉より

早く頬だけ 本音出す

見抜かれたまま 歩く帰り道


「優しいね」

飾りを取れば ただの恋

気づく気づかぬ ふりをする風


電車待つ

アナウンスより 胸が先

飾りを脱いで 残るひとこと


好きだよと

言えないままの 言葉の芯

明日こそはと 息を整える

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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