第8話 姉の見合い相手
「伺いましたわあ、、、、アイリーン様、ペイン国の王太子殿下とご婚約ですって?さすがですわああ、、、、」
「ねえ。やはり読み通り、大国に嫁がれるのですねえ、、、素敵ですわあ」
「・・・いや、まだ、、、これからお見合いらしいですよ?」
教室で言うのはやめてほしい、、、ダリはいたって普通に本を読んでいるけど、、、、
「まあ、だって、《《あの》》アイリーン様ですもの!何の心配もいりませんわ!お相手の方は年上のようですし、楽しみですわよねえ、、」
「今まで婚約者様がお決まりにならなかったのは、こういう事情?」
きゃーきゃー言いながら盛り上がっている。帰りたい、、、、
「次は、イングリット様ですわ!きゃああ、、、どのような方と結ばれるんでしょうねえ、、、、」
「そうですわねえ、、、、」
とりあえず、、、にこやかに微笑んでみる。
いや、、、政略結婚、だろ?どうせ。
いや、、、、私は姉ほど期待されていないから、、、、どうかな?
10月の舞踏会前に、少し早めに来るという姉の見合い相手、、、、見定めてやろう、、、と、決心する。まあ、別に私が見定めたところで、どうなるわけでもないがな、、、
・・・・でも、、、あんまりひどい奴なら、、、、、いや、、、どうする?
ちらりとダリを見る。
あれから、、、お弁当もない。まあ、仕方がないわよね、、、。
・・・くそオヤジ!!!
*****
姉は、、、、見合いをしたらしい。別に何の問題もなく。
・・・・そう、、、、
正直、、、姉に相談されたわけでもない、、、
姉が良いというなら、まあ、良いんだろう、、、、?
お相手の方は、17歳。ペイン国の王太子。カルロス、、、、自由な男?けっ。
こげ茶色のサラサラヘアーと、濃いブルーの瞳をお持ちだ。
折角来たので、と、王立学院に短期留学してきた。やめてほしい。
姉と同学年。年上って、、、半年ぐらい?
背も高く、整った顔をなさっているので、これまた、ご令嬢が騒ぐな?
姉は、、、、あれ以来、制服はスカート着用だ。靴も、少しヒールのある物。
髪型は、毎朝、侍女が張り切っているらしく、、、今日は両脇で編んだ三つ編みがゆるく、流れる銀髪をおさえている。化粧も薄くしているなあ、、、、男子生徒が、、、頬を染めて、必ず振りかえる。
「ご覧になった?あのお二人が並ぶと、なんだか、目がつぶれそうですわ!」
「見ましたわあ、、、、お似合いですよねえ、、、今日から揃ってご登校なさってますもの、、、、はあああ、、、、」
つぶれちゃえ、、、、同級生のはしゃぎについていけない。
「イングも、、、あの方がお兄様だなんて、、、もう、、、素敵!!」
「ホントに気軽に声を掛けてくださって、、、この学院には美人さんしかいないんだねえ、とかおっしゃるのよお、、、、きゃああ、、、」
「ですわよねえ、、、、」
ほほほっと笑ってみる。
海の男は信用できないな。軽すぎる。
軽そうなのに、、、姉と同じクラスだったみたい、、、まあ、一国の王太子がお粗末でも困るしね、、、、
「ん?体を動かしてないからなあ、、、あまり食欲もないな。」
そんなことを言いながら、今日も姉は、朝食も少ししか食べなかった。
大盛のお弁当を、デザート付きで食べてた人がよ???
ああ、、、、家にいても、学校に行ってもイライラする。
*****
「どうも僕は、あなたに好かれていないみたいですね?イングリット様?」
「・・・・・」
「仲のいいお姉さんを取られたみたいで?くくっ、、、焼きもちですか?」
ペイン国の王太子の歓迎晩さん会で、姉と踊った後、一曲誘われた。断れないので踊る。にやにや笑いが、ムカつく。
「・・・いえ、、、そんなことはございませんわ、、、、」
「おとなしい方ですね、、、聞いてはおりましたが、、、、」
「・・・はあ、、、、いえ、、、カルロス様があまりにも素敵な方なので、近寄りがたいだけですの。」
「ふふっ、、、思ってもいませんよね?そのくらいはわかりますよ。」
ステップを急に変えるカルロスに本気でムカつく。でも、ついて行けるもん。だてじゃないのよかぶっている猫。愛想笑いだってできる。
「お姉さまは、、、聞いていたより、おとなしい方ですねえ、、、もう少し、面白みのある方かと思っていましたが、、、、まあ、お姉様を正妃で、貴方を側妃でも、、、離れたくないんでしょ?」
「は?」
カールーロース!!!何だこいつ??
「まあ、、、そんなことも出来そうだなあ、、、って。二人共、綺麗なんだもの。ね?」
「・・・・・」
ね?・・・・じゃねえんだよ!!!
黙り込んだ私を見て、いいように解釈したカルロスは、私の指に口づけして、次の令嬢を口説きに行ったようだ、、、、今に見ていろ、、、、
まあ、、、、、策は何一つないが、、、、